「なぜ葬儀に呼んでくれなかったんだ!」家族葬の後に“精神的苦痛”に悩まされた家族の告白

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2024年03月30日 09:20  日刊SPA!

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◆コロナ禍で急速に広まった家族葬
 葬儀のコンパクト化が近年加速している。都内の葬儀会社で働く20年以上のキャリアを持つ男性は最近の葬儀事情についてこう語る。

「“終活”という言葉が生まれてから、ご自身の葬儀についてのご希望を遺される方は増えました。そのなかの一つに、近親者とごく一部の方だけで執り行う家族葬を望まれる方が増えています。わざわざ遺された家族にお金をあまりかけさせたくない、最後は親しかった人だけで送ってほしい……という思いがあるようです。家族葬自体、新しいスタイルの葬儀ではないのですが、コロナを機に密を避けるということもあって急速に広まっています」

◆家族葬が引き起こした悲劇

 しかし、この家族葬を執り行ったことで、思わぬ事態に陥った人も少なくないという。東海地方の住むAさん(51歳)は、葬儀の後に予想だにしなかった心労を抱えることになった。

「3年前、母をガンで亡くしました。コロナ禍で密を避けるためでもあったのですが、父が『最期は母さんとゆっくり時間を共にして送ってあげたい』という希望もあり、家族葬を執り行うことにしたんです。参加したのは私たち家族、母の兄弟と親戚、そして仲のよかった生け花教室の数人だけでした」

 この家族葬を選択したことで、葬儀の後にAさん家族は1年以上心労を抱え込むことになる。

「母はとても社交的で友達も多かったのですが、家族葬をしたことで葬儀に呼ばなかった方が大勢出てしまいました。そして葬儀の後、母が亡くなったことを聞いた方からの連絡がひっきりなしにかかってきたんです。どこで調べたのか私や妹の携帯にも知らない方から電話が掛かってきましたし、自宅の電話には涙声の留守電が入っていたこともありました。

 訃報を聞いて線香をあげに来た方は一様に仏壇の前で手を合わせて涙を流すんです。そのたびに母の思い出を泣きながら語ったり、なかには『なんで葬儀に呼んでくれなかったんですか!』と父を問い詰める人もいました。そんな人たちを一年近く父は相手にしたことで、誰かがお参りに来るたびに父は亡くなった母のことを思い出してしまい、表情も暗くなり、塞ぎ込んでしまいました」

◆家族葬は間違っていたのかと自問する父親

 母親の葬儀から1年がたち、こうした状況がようやく落ち着いたある日、Aさんの父はボソッと「母さんのためには、あの葬式はよくなかったのかな……」と呟いたという。

 哀しそうに呟く父親に「かける言葉がなかった」と話すAさん。では、Aさん自身は家族葬についてどう思っているのだろうか。

「うちの場合は、母親がとても社交的で交友関係も広かったので、家族葬は間違っていたのかもしれません。亡くなった人に対する哀しみって、仕事したりして普段の生活をしていくうちに薄らいでいくもので、いい意味で『忘れられる』と思います。でも、うちのようにひっきりなしに亡くなった母のことを涙ながらに話す人を相手にしていると、ずっと哀しい気持ちのままなんです。これ、けっこうキツいですよ。ずっと家にいる父親なんかは、そうとう堪えてましたしね」

◆葬儀は生前からの準備が必要!?

 また、Aさんは「生前の準備が重要だった」と振り返る。

「亡くなる前に母の気持ちを確かめておくべきでしたし、母の交友関係で伝える人やその連絡先をまとめておくべきでしたね。闘病中の母に亡くなった後のことを聞くのは気が引けましたが、こういうことはちゃんとしといたほうがいいってことがよくわかりました。もし、母が家族葬を望んだのなら、その旨を葬儀の後にハガキなどで訃報を送ればあんなにひっきりなしの連絡はなかったと思います。それと、葬儀って亡くなったことをみんなに知らせる役割もあるんだなって。主要な人、数人に伝えるだけで話は広まっていきますからね」

 続けてAさんは「お金のこともあると思いますが、葬儀選びは故人の人となりを考慮して、慎重に選んだほうが絶対にいい」と付け加えてくれた。

 愛した伴侶と最後の時を静かに過ごしたいという、Aさんの父親の気持ちも痛いほどわかる。だが、生前に故人と親しかった友人達の気持ちも理解はできる。出会いは1対1かもしれないが、「別れは1対複数人」ということを忘れてはいけないのではなかろうか。

◆家族葬、実は意外とお金がかかる!?

 先述の葬儀会社で働く男性は、一般的にお金が掛からないとされる家族葬での金銭的なトラブルについて、こう語ってくれた。

「少人数でこぢんまりと執り行う家族葬は、一般の葬儀と異なり、費用が大幅に少なく済むとされることも人気の要因です。30万円を切る葬儀価格、なかには10万円以下を謳うケースもありますが、そういったところはプランをよくみると安置所から火葬場への直葬だったり、通夜を行わない一日葬だったりします。

 家族葬であっても通夜と告別式まで行うと100万円近くかかってしまうことも珍しくありません。一般的な葬儀価格は火葬代、飲食費、お坊さんへの謝礼などを含めると最低でも200万円ほどかかります。しかし、葬儀では参列者からの香典もありますので、参列者が増えると葬儀費用は相殺されるわけです。しかし、家族葬は参加される方が少ないため、香典があまり集まらず、費用の自己負担が予想外に増え、思ったほど安くすませることができなかったというケースもあります」

 実際、遺族から「家族葬っていってもお金かかるんですね」と何度となく言われたことがあるのだとか。

◆多様化していく葬儀

 今後、高齢化社会が進み、終活に対してもさまざまなスタイルの終活が生まれるだろう。それに伴い葬儀のスタイルも多様化していくことは想像に難くない。だが、スタイルは変われど、葬儀は故人とお別れをする場であり、偲ぶ場であることは変わらない。どうなろうと亡くなった故人が死んでも死にきれぬ思いを抱くようなものにはしたくはない。

文/谷本ススム

【谷本ススム】
グルメ、カルチャー、ギャンブルまで、面白いと思ったらとことん突っ走って取材するフットワークの軽さが売り。業界紙、週刊誌を経て、気がつけば今に至る40代ライター

このニュースに関するつぶやき

  • そもそも葬儀は見送るだけの式なんや。何で勝手に参列したがる?遺族が取り決めして、何が悪いんだ。親しくもない「他人」を呼ぶ意味があるのか?
    • イイネ!131
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