フェラーリ、イモラの失態を“反省”/昨年より大幅に遅いラップタイム/今季初ソフトetc.【WECスパ木曜Topics】

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2024年05月10日 12:20  AUTOSPORT web

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51号車フェラーリ499P(フェラーリAFコルセ) 2024WEC第3戦スパ
 5月9日(木)、ベルギーのスパ・フランコルシャンで、WEC世界耐久選手権第3戦のフリープラクティスが始まった。スパとしては珍しい安定した好天のもと、参戦する37台の車両は大きな混乱もなく、計180分のセッションを走行した。

 そんな木曜日のスパのパドックから、各種トピックスをお届けする。

■昨年より遅いタイムは路面のせい?

 走行初日の木曜日、最速タイムを記録したのポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのケビン・エストーレだった。そのタイムは2分04秒162。昨年のスパ戦での初日最速は、フェラーリ499Pのアントニオ・ジョビナッツィがマークした2分01秒871であり、昨年よりもはるかにタイムが遅いことになる。

 TOYOTA GAZOO Racingの小林可夢偉は、スパで最近作業が行われたことに関連した路面上のバンプが、おそらくこれに影響しているものと考えている。

「これほどまで変わってしまったことに、少し驚いています」と可夢偉はSportscar365に語っている。

「バンプはとくにターン15(スタブロー)、最終シケイン、ターン1(ラ・ソース)でかなりひどいですが、正直に言うとどこにでも少しはあります」

 FP1でこの日のLMGT3クラス最速タイムを記録したTFスポーツのダニエル・ジュンカデラも、木曜日のタイムの遅さについて言及している。

「テストでここに来たときは2分18秒台だったが、いまは2分20秒台にギリギリ入っている」とジュンカデラ。 「現時点ではコースは路面ができあがっておらず非常に遅いと感じているが、週末が進むにつれて速くなるだろう」。

■初日のペナルティもろもろ

 オープニングセッション中のフルコースイエローの下でのスピード違反により、FP2の間に6台に5分間のストップペナルティが命じられた。 影響を受けた車両は、ハーツ・チーム・JOTAの2台のポルシェ963、アイアン・リンクスとアイアン・デイムスのランボルギーニ・ウラカンGT3、ハート・オブ・レーシングチームとDステーション・レーシングのアストンマーティン・バンテージAMR GT3だ。

 一方、20号車BMW Mハイブリッド V8には、レースディレクターの指示に従わなかったシェルドン・ファン・デル・リンデに対する罰として、より厳しい10分間のストップ・アンド・ホールドが与えられた。

 スチュワードは、南アフリカ人選手が「ターン5でコースアウトし、エスケープロードからターン7に復帰せず、危険な状態でコースに復帰した」と認定した。

■フェラーリが行ったイモラ戦の“反省”

 フェラーリのパフォーマンス&レギュレーションマネージャーのマウロ・バルビエリは記者団に対し、コンディションが変化する中、ホームレースの第2戦イモラで跳ね馬が勝利する可能性を失った戦略上のミスを受け、フェラーリは「事後分析」を行ったと語った。

 イモラ戦ではレース後半に雨が降り出すなか、ウエットタイヤへの交換判断が遅れたことが、フェラーリ499Pの致命的な敗因となっていた。

「それは優れたマネージャーが事後分析と呼ぶものであり、フィルターを設けず、完全な透明性を持ってアイデアを交換するということが行われてきた」とバルビエリ。

「そのことが、意思決定をサポートするために必要なツールやソフトウェアの面でいくつかのステップを踏むことにつながった。そして、そのような状況が二度と起こらないようにするために、我々が従うべき手順についてもそうだ」

 バルビエリは、WECのトップクラスでの相対的な経験不足をそのような見落としの「言い訳」として使うことはできないと付け加えている。

「どれだけのレースを経験しても、学習は継続的であり、失敗は何らかの形で歓迎され、受け入れられなければいけない。失敗は何かを適切に学び、改善するためにアプローチを変える機会を与えてくれるからだ」

■ミシュランの“ソフト”が今季初登場

 ミシュランは今季初めて、ミディアムタイヤとともに白いサイドウォールを持つソフトコンパウンドのスリックタイヤをスパに導入することを選択した。カタールとイモラでの開幕2ラウンドでは、黄色のマーキングがされたミディアムと、赤のハードが使用されていた。

 フェラーリのバルビエリは、アントニオ・フォコのピットアウト時など、昨年のスパでハードタイヤで発生した事故を受けて、この決定は「安全」のために行われたと示唆している。

「それは、ここでのタイヤ選択の説明になるかもしれないが、それは誰にとっても同じだ」と彼は語った。

「それは自分ではコントロールできない外部要因であり、与えられたもので最善を尽くさなければならない」

■カラム・アイロットの将来

 ハーツ・チーム・JOTAドライバー、カラム・アイロットは、先月末にアロー・チーム・マクラーレンからデビッド・マルカスが解雇されたことを受けて、インディカーレースと日程が重複するWECの残り3レースに出場することに「100パーセント全力で取り組んでいる」とSportscar365に語った。

 アイロットはセント・ピーターズバーグとザ・サーマルクラブの2戦で負傷したマルカスの代役を務め、今月のインディアナポリス500でも空席となった6号車のシートを埋めることが有力視されている。

 アイロットは、今週末ノルマン・ナトがフォーミュラEで不在のため、12号車ポルシェ963をウィル・スティーブンスとふたりだけでシェアすることについて次のように語った。

「通常どおり(ナトと)一緒に働きたいと思っていたので残念だが、クルマに乗る時間が増えるのは良いことだ。ドライバーはときどき、スティント終了後のタイヤや燃料満タンなど、クルマに乗っているときの状況に少し迷ってしまうことがあるが、乗っている時間が長くなると、より多くの異なる段階を経験できるようになる」

■ドライバー3名体制を維持するトヨタ

 トヨタのテクニカル・ディレクターであるデビッド フローリーは、特定のレースで2名のドライバーがマシンを共有することの利点は、とくに3名のドライバーが必要なル・マン24時間レースを考慮すると、継続性の欠如というデメリットの方が上回ると考えている。

 フローリーは次のように語った。

「暑いコンディションのレースと、(カタールのような)10時間フォーマットでは、ドライバーが2名だけでは難しい。 気温が低い6時間レースの場合は、選択肢になるだろう。しかし、いずれにせよ、シーズンを通じて特定のレース、とくにル・マンでは(規則上)3名のドライバーが必要であり、3名のドライバーでチームを編成し、リズムに乗るのは良いことだ。ル・マン以外のすべてのレースを、たったふたりのドライバーで走るという選択肢はないと思う」

■5名のドライバーが迎える母国レース

 これまでのWECで最大の数となる、5名のベルギー人ドライバーがスパ戦にはエントリーしている。すなわち、 ローレンス・ファントール(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)、弟のドリス(BMW MチームWRT)、マキシム・マルタン(チームWRT)、サラ・ボビー(アイアン・デイムス)、トム・ファン・ロンパウ(TFスポーツ)が、それぞれ母国の旗を掲げて今週末のレースに挑む。

 メルセデスAMGのカスタマーレーシング責任者ステファン・ウェンドルが木曜日、スパのパドックで元ファクトリードライバーで現在はBMWに所属するラファエレ・マルチェッロや、今週末はアルピーヌから代役出場するジュール・グーノンと会話している様子が目撃された。

 ウェンドルは以前、Sportscar365に対し、自社のGT3カーをヨーロピアン・ル・マン・シリーズのレースに参加させる可能性についてACOと会談するため、スパに行く予定だと語っていた。

 今週末のサポートレースとなっているランボルギーニ・スーパートロフェオに参戦するイゴール・オルジェフは、2018年にLMP1クラスのBR1(SMPレーシング)のステアリングを握って記録した328.4km/hというWECのスパ戦最高速度記録を現在も保持している。ハイパーカークラスの最高速度は、昨年フェラーリ499Pのジェームス・カラドが記録した321.5km/hである。

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 WEC第3戦スパ走行2日目となる10日(金)は、現地時間11時(日本時間18時)から60分間のフリープラクティス3が行われたあと、14時45分(同21時45分)から予選およびハイパーポールのセッションが行われる。

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