整理券交付で手話通訳=法廷内は手配せず、批判も―最高裁の障害者配慮・強制不妊訴訟

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2024年05月29日 14:02  時事通信社

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時事通信社

最高裁の建物内に掲示された障害者向けの案内表示=28日午後、東京都千代田区
 旧優生保護法に基づく強制不妊手術を巡る国家賠償訴訟の上告審弁論で、最高裁は整理券交付の際に初めて手話通訳を手配し、費用も負担するなど障害者向けに異例の配慮措置を取った。誰もが司法に参加できるような合理的配慮とは何か。判決とは別に、社会的な議論が求められそうだ。

 同訴訟では、原告や支援者に車椅子利用者や視覚、聴覚に障害などがある人も少なくない中、最高裁は原告側代理人らと交渉を重ねてきた。

 法廷外の整理券交付や所持品検査で、手話通訳者2人を配置。車椅子利用者や代理人のため、臨時の控室も用意した。また、訴訟概要をホームページ上でふりがな付きで作成したほか、点字版も用意した。

 さらに、新たに傾斜角の緩いスロープを大法廷に上がる階段に設置したり、法廷内に用意したモニター6台に訴訟資料や文字起こしした陳述内容を映したりすることを決定。盲導犬の同伴も認め、計12人分の車椅子スペースも確保した。

 ただ、原告側が求めていた廷内の手話通訳者や文字起こしする人の手配や費用負担は受け入れられず、自ら行うことになった。最高裁は「公費負担は難しく、当事者が負担するものと理解している」と説明した。

 「優生保護法問題の全面解決をめざす全国連絡会」(優生連)は「自己責任で用意しろということと同じだ」「非常に差別的だ」と最高裁の姿勢を批判している。

 当事者には知的障害者もいるため、原告側は判決文を分かりやすい内容にすることなども求めている。 

最高裁の建物内に掲示された障害者向けの案内表示=28日午後、東京都千代田区
最高裁の建物内に掲示された障害者向けの案内表示=28日午後、東京都千代田区

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