強豪スチュワート・ハース・レーシングが2024年限りで解散へ「バトンを渡す時期が来た」/NASCAR

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2024年05月30日 07:20  AUTOSPORT web

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NASCARカップシリーズで一時代を築き上げた強豪Stewart-Haas Racing(SHR)が、今季限りでその表舞台から去ることが決まった
 アメリカン・モータースポーツを代表するビッグネーム、トニー・スチュワートとジーン・ハースの両名は、現地5月28日(火)にリリースされた共同声明において、改めてスチュワート・ハース・レーシング(SHR)の運営停止を発表。「我々はそれぞれの人生とビジネス生活において、バトンを渡す時期が来ている」とし、NASCARカップシリーズで一時代を築き上げた強豪が、今季限りでその表舞台から去ることが決まった。

 今季2024年はジョシュ・ベリー、ノア・グラグソン、ライアン・プリース、そしてチェイス・ブリスコの4名がカップ戦レギュラーを務め、同じくNASCARエクスフィニティ・シリーズではコール・カスターとライリー・ハーべストの2台をフル参戦させているSHRだが、2002年後半に『ハースCNCレーシング』としてカップ挑戦を開始した組織は、2009年にスチュワートの参画を得てライアン・ニューマンとの2台体制へと発展し、その後もトップチームへの道のりを歩み続けてきた。

「2024年シーズン終了時にスチュワート・ハース・レーシングを閉鎖するという難しい決断を下しました」との書き出しで始まった共同声明では、現在71歳になりF1チームも所有するハースと、同じく53歳ながらNHRA全米ホットロッド協会への挑戦を続けるスチュワートによる決断の背景が記された。

「これは簡単に下せた決断ではなく、すぐに決定できたものでもありません。レースとは労働集約的で、謙虚さが求められるスポーツです。揺るぎないコミットメントと膨大なリソース、そして誰よりも優れようという365日の弛まぬ心構えが必要です。それが成功をやりがいのあるものにする理由のひとつです」

「しかし最大限のパフォーマンスを引き出すと同時に、持続可能性を提供するべく必要なコミットメントを続けるのは信じられないほど過酷であり、我々はそれぞれの人生とビジネス生活において、バトンを渡す時期が来ています」

 そのSHRは2011年のスチュワートによる初タイトル獲得を経て、2013年にはダニカ・パトリックを招聘して3台体制へとプログラム拡充。その翌年にはケビン・ハーヴィックとカート・ブッシュが加わり、現在に続く4台体制となる。

■通算69勝、タイトルは2011年と14年の2度獲得

 移籍初年度のハーヴィックは年間5勝を挙げ、通算2137周をリードしてチームに2度目のシリーズチャンピオンをもたらした。そんな組織を牽引したスチュワートは2016年シーズンを最後にカップシリーズから退き、ハーヴィックも昨季2023年限りでフルタイムからの引退を表明。ここまでカップ通算1892回の出走で69勝と2回のタイトルを勝ち獲った強豪が、その歴史に幕を閉じる。

「2009年にトニー・スチュワートと一緒になって以来、我々が獲得してきたすべての勝利とチャンピオンシップを誇りに思っていますが、さらに特別なのは、レースに勝ち、トロフィーを獲得するという共通の目的にコミットする中で築き上げた文化と友情です」とリリースは続く。

「これは今季に入ってスタッフ、パートナー、ファンに対して行ったのと同じコミットメントであり、フェニックスでのシーズン最終戦までそのコミットメントは続きます。我々はすべての従業員に大きな敬意と感謝の気持ちを抱いており、この移行期間中も2024年のレースシーズンを超え新しい機会を見つけるために、彼らを支援するべく熱心に取り組んでいきます」

 そんなスチュワートは、前述のとおり自らのチーム(トニー・スチュワート・レーシング/TSR)を率いて2022年からNHRAへのフル参戦を開始しており、2023年もタイトル争いを展開した妻リア・プルーエットが「家庭を築くことに専念する」ため今季より第一線から退くことを表明。そのシートを引き継いでの最高峰カテゴリー“トップフューエル・ドラッグスター”への挑戦を続けている。

 そんなチーム解散の報を受け、2021年からSHRでカップを戦ってきたチェイス・ブリスコは、自身のSNSに動画を投稿し「クレイジーな時間で、こんな日が来るとは思ってもみなかった」と、その心境を語った。

「僕はこの7年間スチュワート・ハースで過ごし、ここは本当に我が家のようで家族のように感じている。この場所には素晴らしいメンバーがいて、毎日仕事に来るのが楽しく感じられたよ」と続けたブリスコ。

「何よりもまず、この場所にいる男女全員が素晴らしい機会を見つけられることを願っている。ここにいるひとりひとりがそれに値するからだ。今年が14号車をドライブする最後の年になると思うと……子供の頃から憧れていたクルマだしクレイジーな時期であることは確かだ。こんなことが起こるとは思ってもいなかったよ」

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