広島、スタジアム内バトン落下事故の調査結果を報告…今後の掲出場所は変更へ

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2024年05月31日 12:34  サッカーキング

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エディオンピースウイング広島 [写真]=金田慎平
 サンフレッチェ広島は31日、今月11日に『エディオンピースウイング広島』にて発生したフラッグを掲出するバトンの落下事故を受けて、同事故の調査結果報告を発表した。クラブ公式サイトが伝えている。

 事故が発生したのは11日に『エディオンピースウイング広島』で行われた2023−24 WEリーグ第20節サンフレッチェ広島レジーナvs大宮アルディージャVENTUS戦にて、後半立ち上がりの49分ごろ、ワイヤーで吊られていた約15メートルのバトンが1階東側スタンド(バックスタンド)の上に落下した。バトンにはS広島R、大宮V、WEリーグ、リスペクトのフラッグ4枚が掲出されていた。バトンは座席に落下したものの、当日当該スタンドに観戦者の入場はなく、幸いけが人はなく、観客席のシートに一部擦れた傷がつく程度でとどまっていた。シートの破損は確認されていないことも明らかになっていた。

 13日には同事故の調査経過報告および今後の試合運営についての報告も実施されていたなか、今回、12日から24日にかけて行った調査結果を報告した。

 落下の経緯については「上空約40mの位置の吊りバトンに掲揚したフラッグが、風に煽られてバトンに巻き付いた。ハーフタイム中にフラッグを直すため、興行主である当社の運営スタッフが、手元のリモコンを操作し、吊りバトンを電動式巻上機で最下部まで下降させた」ことから始まり、「フラッグを直した後、リモコンの上昇ボタンを押して電動式巻上機で吊りバトンを上昇させた際に、瞬間的に突風が吹き、吊りバトンが揺れながら上昇したと推定される。吊りバトンの揺れにより、ワイヤーに弛みが生じ、乱巻き(電動式巻上機でワイヤーをドラムで巻き上げる際にドラムに適切に巻かれていない状態)が発生した」という。

 その後、「ワイヤーが正常に巻かれなかったため、ドラムと連動して作動する制御スイッチが誤作動を起こし、吊りバトンが上限に到達した後も電動式巻上機が稼働し続け、過巻き(上限を超えてもワイヤーを巻き上げ続ける状態)が生じ」、「過巻き状態が継続したため、吊りバトン昇降装置に想定を上回る負荷がかかる状態となり、ワイヤーを巻いているドラムとモーターとの接続箇所が破断」してしまったとされている。

 そして、「ワイヤーを巻いているドラムとモーターとの接続箇所が破断したため、ドラムとモーターの連動が失われ、ドラムはモーターで制御できない状態(空回りの状態)となった。これにより、ワイヤーが巻き上げられない状態となり、ワイヤーと吊りバトンの自重で吊りバトンが落下を始め、吊りバトンはスタンドの床面まで落下した」としながら、「落下発生時にはワイヤーは破断しておらず、吊りバトンの落下に伴い、ワイヤーがすべて送り出され、落下時の衝撃でドラムに固定されたワイヤーの接続部に力が加わり、ワイヤーの端部が欠損したものと推定される」と明らかにした。

 また、落下の原因は「吊りバトン昇降装置に影響が生じる可能性のある突風が同装置の稼働中に発生した」ことや「乱巻きの原因となった突風を把握するための風速計等が現地に設置されていなかったため、運営スタッフが風速状況を把握できなかった」こと。さらには「乱巻きおよび過巻きが生じた場合に、モーターの駆動を停止する機構を備えていなかった」ことに加え、「ドラムとモーターを接続する箇所の強度が、想定を上回る負荷に対して不足していた」ことなど複数の要因が作用して事故に至ったことを説明した。

 なお、今後の対応については「吊りバトンは既に撤去しており安全性は確認済みですが、残存しているモーター等の装置(落下の危険性はありません)についても、今後撤去する予定です。今後のフラッグ掲出場所については、観客席の上ではなく、スタジアム南東部に設置することとします。なお、設置時期については2024年夏頃となる見込みです。それまでは、施設利用者と協議のうえ暫定的なフラッグ掲出となります」と声明を発表している。

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