日曜劇場『アンチヒーロー』(TBS系)が終盤に差し掛かり、注目度を増している。法廷での緊迫したシーンは思わず手に汗握ってしまう。
ネット上では、法廷での主人公の「ある行動」に注目が集まっていて…
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■明墨の法廷での「行動」に疑問の声
『アンチヒーロー』は司法組織を舞台にしたオリジナル作品。長谷川博己演じる主人公・明墨正樹が、犯罪者である証拠が揃っている人物でも無罪を勝ち取ることにこだわる姿を描いている。
作中で、明墨は裁判中に席を離れて話したり、出廷した検察側の証人に顔が近付くほど接近するといった行動が見受けられる。
こうしたシーンに対して、ネット上では、「法廷歩き回ったら注意されるのでは?」「ハセヒロの証人への圧がすごい」「明墨、証人脅迫してない?」など、疑問の声があがっている。
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■「書類の確認、読み上げるのが基本」
実際の刑事事件の裁判において、法定内を歩いたり、弁護士が検察側の証人に接近することは問題ないのだろうか。弁護士法人「C-ens法律事務所」代表・森崎秀昭弁護士に話を聞いた。森崎弁護士によれば、ドラマのように法廷を歩き回ることはないという。
森崎弁護士は、「裁判手続は、書類ベースで進むのが基本なので、お互いの書類を確認し合ったり、読み上げたりというのが一般的です。尋問は録音していて、後日尋問の内容が書面に書き起こされますので、それぞれの席(証人、検察官、弁護人、裁判官の席)にマイクが設置されています。席から離れて歩き回ると、マイクが音を拾えなくなることがあります。ドラマのように、法廷の中を歩き回ると裁判官から『席に戻って尋問してください』など注意されることもあると思います」と話す。
基本的には、席に座ってマイクに向かって話すが、被告人や証人に証拠を示すため、検察官や弁護士が真ん中の被告人や証人の席に行き、「こちらに見覚えはありませんか?」と証拠を見てもらうことはあるという。
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■弁護士は「威迫と受け取られる可能性」
作中では、明墨が検察側の証人に至近距離で迫り、不敵な笑みを浮かべるシーンが印象的。ただ、実際の法廷でこうした行動は裁判に影響を与える可能性があるという。
森崎弁護士からは、「証人尋問は、証人が実際に見聞きし、体験した事実に関する供述を証拠として裁判に用いる手続きです。そのため、顔を近づけるなどのように、証人の素直な証言ではない、過度の圧力がかかった状況での証言については、その真実性などに疑問が生じてしまいます」という回答が寄せられている。
仮に、そうした行動を取った場合、リスクもあるようだ。森崎弁護士は、「歩き回るケースと同じように裁判官から止められ、席に戻るよう指示されると思います。なお、証人に対する圧力は、場合によっては、証人に対する威迫などと受け取られたり、質問内容によっては尋問で禁止されている事項に該当して、裁判所からたしなめられることもあります。通常は、そうなる前に検察官などから異議が述べられたり、裁判官から質問の仕方を変えるよう指摘されると思います」と話す。
ドラマでは緊張感のあるシーンを表現するため、あえてそうした言動を描いているのかもしれない。
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■今後の展開に期待
ちなみに、森崎弁護士も『アンチヒーロー』は欠かさず見ているという。森崎弁護士は、「ドラマは面白く見てもらうために、現実とは違う演出もされていると思います。現実を知ることで、さらにドラマの見方の幅が広がってもらえたら嬉しいです」と笑顔を見せる。
取材の最後に、森崎弁護士から、「事件の一つ一つに様々なドラマがあるので、社会で起きている事件一つについても、その背景にある人間ドラマに思いを馳せて見てもらえたら嬉しいです。『アンチヒーロー』も今後、どのような展開を見せるか楽しみですね」というコメントが得られたのが印象的だった。
リアルな裁判事情を知ってから見ると、『アンチヒーロー』がさらにおもしろくなるかもしれない。
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■執筆者プロフィール
斎藤聡人:1991年生まれ。『Sirabee』編集部記者。
某週刊誌の芸能記者を経て現職に。旧ジャニーズネタなど、芸能ニュースを中心に様々なジャンルを取材する。
チェーン店からローカル店まで様々な飲食店をめぐり、グルメ記事も手がける。仕事も兼ねた毎日のドラマ鑑賞が日課。
今期の推しは、『95』(テレビ東京系)、『Believe─君にかける橋─』(テレビ朝日系)、『イップス』(フジテレビ系)、『アンチヒーロー』(TBS系)。
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人 取材協力/弁護士法人「C-ens 法律事務所」代表・森崎秀昭弁護士)