杉野遥亮演じる渓哉は監督のほぼ分身!?「やればやるほど、自分に似てきて」『風の奏の君へ』完成披露

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2024年06月03日 13:01  cinemacafe.net

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『風の奏の君へ』 完成披露上映会 ©2024 「風の奏の君へ」製作委員会
松下奈緒主演映画『風の奏の君へ』完成披露上映会が6月1日に行われ、松下さんとともに杉野遥亮、山村隆太(flumpool)、池上季実子、大谷健太郎監督が登壇。作品の見どころや作品に込めた想いについて語った。

本作は、お茶の名産地である岡山県美作(みまさか)地域を舞台に、この地を訪れたピアニスト・青江里香(松下さん)と、茶葉屋を営む兄弟、真中渓哉(杉野さん)と淳也(山村さん)をめぐる物語。

あさのあつこの小説「透き通った風が吹いて」を原案に、物語の舞台である岡山県の美作地域にて約2年前に撮影が行われた。

主演の松下さんはようやくお披露目の日を迎え、感慨深げに「心が穏やかになるような、優しい風に吹かれる、そっと背中を押してくれるような作品です」と紹介。

松下さんはピアニストの里香を演じたが、主演に加えて劇中曲の作曲、さらに劇中の音楽シーンでは吹き替えなしで自ら演奏を披露しており「子どもの頃から好きなことを全部かなえていただけました」とニッコリ。「正直、大変でしたが、その気持ちが里香とリンクする部分が大きかったです」とふり返った。

大谷監督は「松下さんが、女優をやりながらピアノを演奏したり、作曲したりという、両方やられる作品がこれまでなかったので『この作品なら』ということで出ていただいて、ほとんど松下さんの才能に乗っかって作った作品です」と感謝を口にする。

松下さんによると、台本には“いままで書いたことのない、一番美しい曲”と書かれていたそうで、大谷監督も「『無理なんで消してください』と言われると思っていた」と言うが、この難題を受け止め、作曲に挑んだ松下さんは「いままで経験したことのない気持ちで曲を書かせていただいて、非常に心に残る作品になりました」と充実した表情を見せていた。

里香に想いを寄せる渓哉を演じた杉野さんは、現場の様子について「松下さんが現場にいらっしゃると、監督が穏やかでニコニコしていて」とコメント。さらに、兄・淳也役の山村さんとは微妙な関係にある兄弟を演じただけに、「山村さんとはほとんどお話をしていなくて、その距離感が映画に良い感じに反映されているのかなと思います」と杉野さん。

山村さんはこの言葉を受け「1か月くらい、岡山で過ごして、僕は結構、仲良くなりたかったんですけど(苦笑)、楽屋で、あんまり仲良くなりすぎると役柄に響いてくるから、お互いに撮影が終わるまでは険悪な仲でいたというか、わざとそうしてたと信じてるんですけど…」と明かすと、杉野さんは「あんまり意識してなかったんですけど…(笑)」とあっけらかんと語り、会場は笑いに包まれた。

山村さんにとっては、映画初挑戦となったが「気持ちを込めて、人生をかけて演じさせてもらいました」と言葉に力を込める。

渓哉の兄で、里香のかつての恋人である淳也を演じたが「素人が出ていいのか…?というところから始まったけど、プロの方たちを前におこがましいと思いつつ、監督やプロデューサーから『淳也は夢破れて、好きな人からも逃げてきた、素直になり切れない人物』と聞いて、そこはすごく『自分だな』と思うところが大きくて」と告白。「夢に破れたというところも、昔、バンドが活動休止になって、あきらめそうになった時もあって『その経験をそのまま使って』と言っていただき、それなら自分にもできるかもと思い、挑みました」と明かした。

大谷監督によると、杉野さんが演じた渓哉という役は監督自身が反映されているそうで“ほぼ僕の分身”とのこと。この役に杉野さんを起用したことについて「杉野くんはデビュー当時から知っていて、芝居について語り合ったこともありました。(撮影期間中に)ホテルのロビーで2人で深夜までずっと練習をしていました。やればやるほど、自分に似てきて、ラストの表情を見てもらったら、(大谷監督と)同じ顔になっています」と語る。

一方、普段は「flumpool」で音楽活動をしている山村さんを淳也役に据えたことについて、大谷監督は「遠慮なしに監督と俳優として向き合って、どう演じてもらうか真剣に話し合いました。(淳也は)ミステリアスでなくてはいけないし、渓哉が対抗してぶつかっていく壁でないといけない、乗り越えないといけない存在で、難しい役だと思ったけど、その重責を担い、大変な役をやっていただきました」とねぎらった。

そんな渓哉と淳也の祖母を演じたのが池上さん。「岡山のロケがよかったですね。みんなが作品に入り込めるきっかけになりました」と岡山ロケが作品に大きく寄与したと語りつつ、ここまでのトークを聞いていて「嫉妬しています(笑)。私は監督とあんまり役のことをお話してないですよね」と不満をこぼすと、大谷監督は「憧れの大女優さんなので、メチャクチャ緊張していました(苦笑)」と釈明。

池上さんは「淳也と渓哉と里香さんが、早めに岡山に入ってロケをされていると聞いて、『どこのロケをやってるの?』と聞いたら、家のロケをやっていると。ちょっと待って! 私の家のロケをやってて、主人の私がいないのはおかしいでしょ! 私も2〜3日早めに入って、みなさんのロケを見て、雰囲気を噛みしめながらやらせていただきました」と冗談めかしつつも、撮影の様子を明かす。

また、本作の主題歌「いきづく feat. Nao Matsushita」は、「flumpool」の阪井一生が作曲、山村さんが作詞し、松下さんと一緒に歌っている。

「撮影が終わってから主題歌をやらせていただけると決まり、僕としてもこれまで何度か主題歌は書かせてもらっていますが、ここまで自分の人生を反映させた、自分の魂を宿らせた映画に曲を書くとなると、これまでで一番熱量が高くなりました」と、山村さんは述懐。

松下さんは「初めて曲をいただいた時、『こういうことを考えてるんだ…』という見えないメッセージのようなものを感じました。映画の中では元恋人同士の設定だけど、なかなか同じシーンもなければ、笑い合う瞬間もなかったので、初めて曲を聴いて『あぁ、これでピリオドをちゃんと打てたのかな』というメッセージが込められていて、感動しました。主題歌があって、初めて映画が完成したなと思いました」と語っていた。

最後に松下さんは、これから映画を観る観客を前に「夢を追いかけたり、迷ったりする瞬間は誰でもあると思うのですが、そんな時、本当にこのキレイな風景、優しい人の想いが、みなさんの背中をそっと押してくれると思いますので、ぜひ堪能していただければと思います」と語り、温かい拍手の中で舞台挨拶は幕を閉じた。

『風の奏の君へ』は6月7日(金)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。






(シネマカフェ編集部)
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