F1第9戦木曜会見:2026年導入の新世代マシンに注目。ドライバーは「劇的な変化が起きる」「力関係は大きくなる」と予想

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2024年06月07日 15:40  AUTOSPORT web

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2024年F1第9戦カナダGP FIA会見 ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)
 2024年F1第9戦カナダGP開催前のタイミングで、レッドブルはセルジオ・ペレスの契約延長を発表した。この契約が意味するところは何なのか。現時点のペレスは必ずしも絶好調とは言えないだけに、記者たちは口々に「おめでとう」と祝意を述べながらも、時に辛辣な質問を発していた。

Q:チェコ、契約延長おめでとう。レッドブルとの契約はあと2年。交渉はどれくらいスムーズでしたか?
ペレス:レースの合間に契約交渉するのは、必ずしも簡単なことじゃなかった。でもこれでチームと僕の双方で邪魔になるものがなくなり、純粋なパフォーマンスに集中できる。最善の結果だと思うよ。

Q:この契約は2026年の新技術規則まで続きます。2年後のレッドブルの競争力についてどう考えていますか。
ペレス:レッドブルは絶え間なく進歩を重ねているチームだ。僕らはすでにレギュレーション変更への対応作業に取り組んでいて、いろんなアイデアを出し合っている。そんなチームの一員でいられるのは、本当に素晴らしいことだ。

Q:契約延長は、チームメイトのマックス・フェルスタッペンを満足させるためだけだったという論調もありました。
ペレス:いろいろな意見があることはわかっている。でも僕はどんな時でも、バイザーを閉じて自分の仕事に集中し、ベストを尽くすことだけに集中する。そして自分がこれまで達成したことに、心から満足しているよ。

Q:他のチームとも交渉していた?
ペレス:確かに他にも選択肢はあった。でも僕にとってプランA、B、Cは、すべてレッドブル残留だったんだ。僕はここで、F1キャリアを終えたいと思っている。レッドブルは僕に本当に多くのものを与えてくれた。最後の1ラップまで、このチームでベストを尽くしたいと思っているよ。

 前戦モナコGP終了後には、エステバン・オコンが今シーズンいっぱいでアルピーヌから離脱することも発表された。一方でピエール・ガスリーは、来季の動向が決まっていない。

Q:ピエール、オコン離脱のニュースは、2025年のあなたの計画にどのような影響を与えますか?
ガスリー:はっきり言うと、(影響は)何もない。僕の将来について、今のところは特に発表することはないしね。そのうちみなさんも、知ることになると思うけど。

Q:ではエステバンについて聞かせてください。アルピーヌで彼はどんなチームメイトでしたか?
ガスリー:その質問については、みなさんが僕の言葉のひとつひとつをどう受け止めるかわかっている(苦笑)。エステバンと僕の間には、長い長い物語がある。でもこの1年半の僕たちはお互いプロに徹して、協力し合ってきた。もちろんみなさんご存知のように、僕らはお互い、すごく競争心の強いドライバーだから、いつも楽だったわけではない。でも今までの経緯を思えば、うまくいっていたと思う。

 今週末、母国グランプリを戦うランス・ストロール(アストンマーティン)も来季以降の契約は未定だが、本人は非常に楽観的に見えた。

Q:ランス、あなたはアストンマーティンのF1プロジェクトにコミットしていると言っていますね。それは来季2025年も、あなたとグリッドで会えるという意味なのでしょうか? 今週末が、その発表のベストタイミングだったりしますか?
ストロール:どうだろう。確かに言えるのは、ファクトリーで今起きていること、チームのプロジェクトの進捗具合、そしてここ数年の僕たちの成長、それらすべてに手応えを感じていると言うことだ。そして僕も間違いなく、その一部であり続けることを念頭に置いているよ。

 一時はF1引退の憶測も流れたストロールだが、今はすっかりやる気モードが入っているようだ。となると角田裕毅のアストンマーティン移籍の可能性は、薄くなったということなのだろうか。

 一方この週末には、2026年以降の規約変更の詳細がFIAから発表された。

Q:ルイス、あなたはずっと、今のクルマは重すぎるし幅が広すぎると言っていました。2026年に向けて正しい方向に一歩踏み出したと言えそうですか?
ルイス・ハミルトン:軽量化は大歓迎だし、正しい方向に進んでいるとは思う。でもたったの30kgだからね。まだ重すぎる。シミュレーターで運転したドライバー数人と話もしたけど、彼らはまだかなり遅いと言っていた。とはいえ持続可能性の観点、特にパワーユニットに関しては、本当に大胆な一歩だし、正しい方向に進んでいると思う。

Q:実際にシミュレーターで26年規約のマシンを運転したドライバーがいたら、感想を聞かせてください。初期段階での発見は何でしたか。
ニコ・ヒュルケンベルグ:かなり違う感触だったし、興味深い領域がいくつかあった。一番違いを感じたのは、高速コーナーだね、ダウンフォースが大幅に減少しているんだ。なので今とはまったく違うシナリオになりそうだ。劇的な変化が起きるんじゃないかな。

Q:2026年の大幅な規約変更によって、せっかく縮まりつつあるチーム間の性能差が、再び大きく開いてしまう恐れはないのでしょうか。
オスカー・ピアストリ:確かにF1ではレギュレーションが変更されるたびに、特にエンジンの規約変更で、大きな差が生まれてきた。2014年のパワーユニット導入で、メルセデスが勝ちまくったのがその典型例だよね。それが今は、絶対王者のレッドブルに僕たちが追いつき始めている。技術レギュレーションが長く変わらなかったことが、その大きな理由のひとつだと思う。一方で僕たちは、テクノロジーとイノベーションの最前線に立つという重要な立場にある。それがF1の大きな目的のひとつだ。でも時にはそんな技術的な挑戦が、レースを犠牲にする側面もある。その観点から言うと、2026年の大変更でチーム間の力関係が今より大きくなる恐れは、十分あるだろうね。

 F1デビュー2年目、若干23歳のピアストリだが、発言の真っ当さは堂々たるもの。ハミルトン以下のベテランドライバーたちが、彼の話をしっかり傾聴していた。

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