「もう勝てないと思ってた」苦しみ続け、ついにSF初優勝を成し遂げた牧野任祐。第3戦SUGOこそ正念場

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2024年06月13日 18:10  AUTOSPORT web

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スーパーフォーミュラ第2戦オートポリスで勝ちマシンの上で喜びを爆発させる牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
「もうオレ、勝てないと思ってた、SF(スーパーフォーミュラ)。アレックス(・パロウ)が勝って、(⼤湯)都史樹が勝って、(福住)仁嶺も勝って、(太⽥)格之進も勝って。みんな勝って……もうオレは勝てないと思ってた」

 全日本スーパーフォーミュラ選手権第2戦オートポリス。そのチェッカー直後、勝った喜びを爆発させ、涙にむせぶ牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)の無線が頭から離れない。

 F1候補⽣として2017年に渡欧した牧野だが、苦戦を強いられ、2019年からは活動の場を⽇本に移した。その国内復帰最初のスーパーフォーミュラ開幕戦予選では、いきなりポールポジションを獲得。鮮烈なデビューを飾った。

 そんな牧野なら『勝つは時間の問題』と誰もが思っていた。ところが、実際にはそれから5年間、フォーミュラでは勝利から⾒放され続けた。その間、牧野は⾃分よりもキャリアの少ない歳下のチームメイトが次々とポディウムの頂点に上がっていく姿を、残酷にも⾒せつけられてきた。

 何より牧野の⼼を決定的に追い詰めていたのは、昨季2023年のスーパーフォーミュラ最終戦だと思っている。チームメイトである太⽥格之進が真っ向勝負で宮⽥莉朋、リアム・ローソン、そして野尻智紀に競り勝ったあのレース。

 チームメイト=絶対に負けられない相⼿であることはフォーミュラレースの常だが、牧野は僚友であり、しかもルーキーである太⽥にまで先を越されるかたちになってしまったことだ。太⽥のレース内容が秀逸であればあるほど、“敗者・牧野” とのコントラストは強烈なものとなっていった。

 さらに今回、ポールポジションの座を奪われたのは、チームこそ違うもののSFデビュー2戦⽬のルーキー・岩佐歩夢(TEAM MUGEN)。ひょっとすると、もしこのレースで負けていたら、牧野の精神的なダメージはさらに深刻なものになっていたかもしれない。

 牧野が2018年のFIA F2第19戦モンツァで勝った直後、無線で感情を爆発させて叫んだ「⾒たか、コラァ!」はあまりにも有名。ただその後、「⺟親には⾔葉遣いを注意されました(笑)」とも語っていた。

 あれから6年が経った今回の無線と聞き⽐べると、牧野がどれだけ追い詰められていたかが痛いほど伝わってくる。FIA F2では勝った翌⽇のレース2で、スタート直後に勝負権を失ってしまった苦い経験がある。6年前からの成⻑シロは、次戦SUGOで証明される。

●auto sport 2024年7月号(No.1597)電子版
https://www.as-books.jp/books/info.php?no=AST20240529

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