「アクシデントがなければ勝てたと思う」トヨタ、ル・マンで悔しい2位表彰台。優勝まであと一歩届かず

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2024年06月17日 14:20  AUTOSPORT web

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2位表彰台を獲得したホセ-マリア・ロペス/小林可夢偉/ブレンドン・ハートレー組(TOYOTA GAZOO Racing/7号車トヨタGR010ハイブリッド) 2024年WEC第4戦ル・マン24時間
 フランス、ル・マンで開催されたWEC世界耐久選手権第4戦『第92回ル・マン24時間レース』決勝レースが、現地6月16日(日)の16時過ぎにフィニッシュを迎えた。2台のトヨタGR010ハイブリッドで出場したTOYOTA GAZOO Racingは、前年2位のセバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮組8号車が総合5位。予選タイム抹消によりクラス最後尾の23番手から追い上げることとなったホセ-マリア・ロペス/小林可夢偉/ニック・デ・フリース組7号車は総合2位表彰台を獲得したが、トヨタにとって2年ぶりとなる総合優勝にはあと一歩届かなかった。

 不安定な天候が予想されるなかで迎えた15日(土)の決勝日、サルト・サーキットには30万人を超える大観衆が詰めかけた。現地16時、晴れ間も見える曇り空の下、24時間の決勝レースがスタート。11番手と23番手からスタートした2台のトヨタGR010ハイブリッドは先行するライバルをオーバーテイクし続け、着実にポジションを上げていく。

 ときおり降雨に見舞われながらも、8号車はレース序盤の段階で表彰台争いに加わる位置につけ、姉妹車7号車もトップ6を狙える位置まで挽回してきた。コース上のアクシデントによりセーフティカー(SC)が導入されると、各車間のギャップがリセットされ、追い上げる7号車にとってはさらに好機となった。

 リスタート後は難しいコンディションのなか2台のトヨタGR010ハイブリッドがトップ争いに加わる。8号車は9時間目から18時間目まで、雨のなかで平川が素晴らしいパフォーマンスを見せ、ピットストップのタイミング以外の大半でレースをリードしてみせる。4時間以上にわたった夜間の長いSCランのあと、19時間目に再度出されたSCが解除されると、再スタート時にはトップ7台がわずか4秒の中に入る接戦となり、この激戦はレース終盤まで続いていくことに。

 8号車を駆るハートレーはハイペースで周回を重ね、首位を行くフェラーリ50号車を猛追する。残り2時間15分、ふたたび強い雨が降り始めたため、ほとんどの車両が一斉にピットインする。この直後2番手の座を51号車フェラーリと争う8号車がミュルサンヌ・コーナーで接触されスピン。6番手まで順位を落とすこととなった。

 レースの最終盤、トヨタチームは2度にわたるパンクでタイムを失いながらも濡れた路面で圧倒的なハイペースで追い上げを見せる、ロペスの7号車に勝利の望みを託す。3番手を走行していたロペスは、フェラーリ51号車をかわして2番手へと浮上。残り2時間の時点で一旦はトップに立った。

 しかし7号車トヨタはフィニッシュまでにもう1回の給油が必要だった。その最後のピットインを終えた時点から、レース終了までのおよそ30分間は、ぎりぎりの残り燃料でトップチェッカーを目指すフェラーリ50号車と、それを猛追する2番手7号車によるバトルに。ここまでハイパースを見せてきたロペスは、ここでも当初40秒あった首位との差をじりじりと詰めていったものの、惜しくも逆転には至らず。7号車トヨタはフェラーリ50号車から14.221秒おくれて2位でチェッカーを受け、姉妹車の8号車トヨタはブエミのドライブで総合5位でフィニッシュすることとなった。

■「雪辱を果たしたかった」「来年こそはもっと強くなって帰ってくる」/TGRドライバーコメント

●小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車ドライバー)

「我々にとって非常に厳しいレースでした。勝てそうでしたが、いくつかのトラブルで叶いませんでした。我々の7号車にとって順調な24時間ではありませんでしたが、チーム全員が、この大変だった一週間を通して、素晴らしい仕事をしてくれました。すべてのマニュファクチャラーが、24時間ずっと最後まで戦い続ける、信じられないようなレースでした。すべてのチームが望む勝利に、我々はあと一歩のところまで近付きました。こんな接戦での今日の結果に、来年こそはもっと強くなって帰ってくるという意欲が沸いてきましたし、そのために全力を尽くします」

「ハードワークと応援で支えてくれた日本とドイツのTGRの皆さまに感謝します。また、モリゾウさんにも改めて感謝します。モリゾウさんはマイク(・コンウェイ)の骨折が明らかになってからも、また、レースウイークを通して大変なサポートを頂きました。我々はモリゾウさんと、TOYOTA GAZOO Racingとしてともに戦いました。そして、来年はさらに強くなって戻ってきます」

●ホセ-マリア・ロペス(7号車ドライバー)

「僕を信頼してこのチャンスを与えてくれて、ハードワークで支えてくれた日本やドイツ・ケルンのチームスタッフ全員に感謝したい。素晴らしい仕事をしてくれた(小林)可夢偉とニック(・デ・フリース)、そして、メカニックにも感謝している。わずか10日前に、マイクが負傷し、僕がその代役を任されることになって以来、僕の気持ちはジェットコースターのように揺れ動いた。この場で戦うことは嬉しかったが、彼にとっては残念なことだからだ」

「そして、最後尾からスタートしたレースは天候に翻弄され、スローゾーンやパンク、その他のトラブルなどでタイムを失ったこともあり、僕がこれまでに経験してきた中でもっとも過酷なレースだった。そのたびになんとか復帰し、力強いスピリットを証明してきた。この結果を成し遂げた全員を誇りに思う。ル・マンの総合優勝を争えるチャンスはそうあるものではないので、今日は忘れられない一日になるだろう」

●ニック・デ・フリース(7号車ドライバー)

「まず可夢偉とホセ(-マリア・ロペス)、そして休みなく働き続け、この本当に難しいル・マン24時間レースで素晴らしい努力をしてくれたチーム全員に感謝したい。こんなに難しいコンディションで、こんなに接近戦になるとは、信じられないようなレースだった。あと一歩のところまでいきながら、届かなかった目標は本当に遠く感じる」

「それでも、チームの皆の力強いパフォーマンスのおかげで、TOYOTA GAZOO Racingのレースドライバーとして初めて参加したル・マンで表彰台に上ることができ、特別な瞬間になったよ」

●セバスチャン・ブエミ(8号車ドライバー)

「正直なところ、5位という結果は少し残念だ。僕たちは長時間にわたって首位を走っていたし、終盤のアクシデントがなかったら勝てていたと思う。我々のペースは良く、ミスもなかっただけに、この結果はとても悔しい」

「チームは素晴らしい仕事をしてくれたし、エンジニアも的確な戦略判断をしてくれた。ブレンドン(・ハートレー)と(平川)亮の走りも素晴らしく、我々のパフォーマンスはとても良かったと思う。今は次戦ブラジルへ向け気持ちを切り替えて頑張るだけだ」

●ブレンドン・ハートレー(8号車ドライバー)

「ファンの皆にとっては最高のレースだったと思うが、この結末は本当に悔しい。我々はレースの大半で勝利を争える位置にいたが、セーフティカー導入時にいくつかポジションを下げ、その後ふたたび2番手まで巻き返して首位を狙ったが、接触されてしまった。その結果、レースの残り数時間というところで勝利の権利を失った」

「つかみかけていた勝利が逃げていってしまった感じだったよ。チーム全員での努力の結果として、1台が表彰台に上がれたことは嬉しいが、あと少しだったのに、という悔しさもある。この悔しさを忘れるには、数日かかりそうだ」

●平川亮(8号車ドライバー)

「何と言っていいかわかりません。この難しいコンディションのなかで、我々はチーム一丸となって全力を尽くしました。レースウイーク中はずっと頑張ってきましたし、昨年の雪辱を果たしたかったです。チャンスはありましたが、運がありませんでした」

「とくに長時間にわたってレースをリードし、本当に必死で頑張ってきただけに、悔しいです。我々は強くなくてはなりません。残りのシーズンへ向けて気持ちを切り替え、巻き返しを図るべく、より強くなって戻ってきます」

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