元プロ野球選手の父・許銘傑も認めたチャーハンが自慢 行列の町中華『東東』のジェンジェンに突撃インタビュー

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2024年07月09日 10:21  webスポルティーバ

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『東東』許維娟さんインタビュー前編(全2回)

 SNSでバズり、各メディアもこぞって取り上げる今話題の町中華が、千葉県松戸市の『東東』だ。この店が行列の絶えない人気店にしたのは、インパクト抜群のデカ盛りメニューもさることながら、元気いっぱいに店を切り盛りする大学生の看板娘ふたりの存在がある。

 ひとりは3代目店主の池田穂乃花さん。そして、もうひとりが穂乃花さんの幼馴染、"ジェンジェン"さんこと許維娟(シュウ・ウェイジェン)さんだ。

 ジェンジェンさんの父親は2000年から14年間、プロ野球の西武とオリックスで投手として活躍した許銘傑さん(シュウ・ミンチェ/現・楽天モンキーズ投手コーチ)だという。

 なぜ、台湾出身の元プロ野球選手のひとり娘が日本で町中華を? 『東東』を訪ねてジェンジェンさんにインタビューさせてもらった。

【幼馴染と思い出の店を切り盛り】

 6月のある平日。店舗を訪れると、ピークタイムをすぎた14時にもかかわらず、店前にはお客さんが列をなしている。なかを覗いてみると、ジェンジェンさんが戦場のような厨房でテキパキと鍋を振り、店を取り仕切っていた。

 この日は店主の穂乃花さんが大学の授業ということもあって、ジェンジェンさんは大忙し。混雑は店が休憩に入る15時まで続いていた。

 そして、ようやくひと段落したタイミングで「お待たせしてすみません!」と、激務の直後にもかかわらず、疲れを感じさせないさわやかな笑顔のジェンジェンさんがやってきた。

ーーすごい人気店ですね。もともと料理は得意だったんですか?

ジェンジェンさん(以下同) いえ、まったく。高校の時はむしろお父さんにお弁当をつくってもらってました(笑)。

ーーそうなんですか! そのお父さんの許銘傑さんは2000年に西武ライオンズに入団。ジェンジェンさんは2002年に日本で生まれましたが、現在、ご両親は台湾に帰国しています。ジェンジェンさんが『東東』で働くようになったきっかけは?

 4年前、穂乃花も私も大学の推薦入学が決まっていたので、久しぶりに一緒に焼肉に行ったんです。そうしたら、(先代店主の)おじいちゃんが亡くなって、穂乃花がお店を継いだという話を聞いて驚きました。

 私も小さい頃によく来ていたお店ですし、2021年から父は台湾でコーチをすることが決まっていて、私ひとりが日本に残る。だったら、穂乃花と一緒に暮らしながらお店を手伝わせてもらったら、いろいろと助かるかなって。

ーーふたりの思い出のお店だったんですね。

 当時は、お互い西武の本拠地の埼玉・所沢に住んでいて、穂乃花と一緒にディズニーランドへ行く時に寄ったり、『東東』で飼ってた犬に会いに行ったり。ちょこちょこ来ていましたね。

【親子そろって大食い!? デカ盛りを完食】

ーー料理未経験でいきなり中華料理は大変だったのではないですか?

 最初はホールスタッフとして働いてましたが、人手不足で厨房に入るようなりました。でも、鍋を振るにも、たとえば、チャーハン1人前は具込みで300グラム、それを一気に5人分、中華鍋も含めると4キロくらいになるんですよ。

 重いしヤケドもするから初めは「やだー、(鍋を)振りたくないー」って駄々こねてました(笑)。それが最近はキッチンが楽しいです。チャーハンには自信がありますよ!

ーーお父さんにふるまったことは?

 このお店に3回来ましたよ。最初は昨年のオフかな。まだ私も未熟だったから「しょっぱい!」って言われて(笑)。悔しかったので、おいしいって言ってもらえるように頑張りました。

 次が去年の11月。日本で開催された(国際大会の)「アジアプロ野球チャンピオンシップ」でお父さんは台湾代表の投手コーチをしていたので、その時もここで食事してくれましたが、とくに何も言われなかったような......。今年のオフはおばあちゃんたちを連れてきてくれて、そこでようやく「おいしい」って言ってもらえました。

ーーその時は何を食べたんですか?

 天津丼とチャーハンと純レバかな。体が大きいから大食いなんです。

ーージェンジェンさんと穂乃花さんもかなりの大食いだと聞きました。

 そうですね。最近、お店のTikTokで、ふたりでソース焼きそば7人前を完食する動画を投稿しましたし、私はお酒が飲めないのに居酒屋で5000円以上注文したこともあります。

「ステーキチャーハン」や「スタミナ冷やし」のトリプルとか、私たちが考案した『東東』のデカ盛りメニューはすべてひとりで完食できますよ。

ーーすごい......。SNS映えするメニューも豊富で取材が絶えませんね。メディア露出にはもう慣れましたか?

 全然ですよ! 今日だって(写真を)撮ってもらってる時にどこを見ていいか全然わからなかった(笑)。

【大学では夢の通訳に向け勉強中】

ーー『東東』にはどのくらいの頻度で働いていますか?

 週5日、働いてます。朝から夜までフルの日もあれば、大学の授業が終わったあとに夜だけ働く日もあります。お店の定休日には授業を詰め込んでます。

ーー大学では何の勉強を?

 大学ではスペイン語を勉強してます。小さい頃から通訳に憧れがあって、調べたら世界で英語、中国語の次にスペイン語の話者が多いそうなんです。一応、中国語と英語は話せるので、「スペイン語もマスターしたらどこでも行けるじゃん!」と思ったのですが......難しすぎてヤバいです。

ーーなぜ通訳に憧れたんですか?

 西武時代のお父さんの通訳さんとは家族ぐるみの付き合いがあって、その方はとてもフレンドリーだったんですけど、仕事になると顔つきが変わるんです。その姿がすごくカッコよかったから、私も通訳を目指したいなと。

ーー野球選手の通訳を目指すのもよさそう。

 先日、台湾の両親に会いに行った時、お父さんから「将来はどうするの?」と聞かれたので、「『東東』も考えてるけど、通訳の仕事も捨てきれないんだよね」と言ったら、「俺が上の役職になったら俺の通訳になるか?」って(笑)。

 そうなったら、野球選手はメキシコ人などスパニッシュも多いので、ちゃんと勉強しなくちゃですね。まだ就活はできてませんが、今後は通訳に必要な資格の勉強もしていきたいです。

ーー今後も『東東』と関わっていく場合、どのようなお店にしていきたいですか?

(最寄りの)松飛台駅は見てのとおり何もないですが、すごく人情味の溢れる町です。そんな地元の方々に愛される町中華をコンセプトに、世界中のいろんな方に『東東』で食べてもらえるようになったらいいな、って理想像はあります。

 だからまずは第2店舗、ゆくゆくは海外展開なんてできたらいいですね。その際に、語学力を生かして仲介人、橋渡し役をできたら素敵だなと思ってます。

ーー夢が広がりますね。インタビュー後編ではお父さんの許銘傑さんの素顔についてお伺いします。

後編<父は元西武・許銘傑 人気の町中華『東東』看板娘・ジェンジェンが明かす「台湾の星」の素顔「LINE返さないと拗ねる」>を読む

【プロフィール】
許維娟 シュウ ウェイジェン 
2002年、埼玉県生まれ。幼馴染の池田穂乃花さんが店主を務める『東東』で高校3年生の頃から働いている看板娘。現在、大学4年生。父は元プロ野球選手で、現在は台湾・楽天モンキーズ投手コーチの許銘傑さん。

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