困窮の程度に応じて必要な保護をおこなう生活保護によって、多くの人たちが助けられています。しかし、都内で事務員として働くAさんは、友人のBさんが生活保護のお金をどのように使っているのか、気にかけています。
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数年前から仕事を転々としはじめ、ついに働くことをやめてしまったBさんは、生活保護を受給しています。仕事が続かなかったBさんの事情を知っているAさんは、生活保護を受けての生活も不自由がないか案じており、最近どんな生活を送っているのか、Bさんに聞きました。
Aさんの問いにBさんは、平日は家でゲームや動画を見て過ごし、土日になると競馬を楽しんでいることを話します。そして競馬で勝った時に豪華な食事をすることも楽しいとイキイキした様子で語りました。この話を聞いたAさんは安心する半面、「生活保護のお金でギャンブルをしてもいいの?」と生活保護が停止になってしまわないか、心配になってしまいました。
生活保護受給者が競馬などのギャンブルにお金を使っても問題ないのでしょうか。まこと法律事務所の北村真一さんに聞いてみました。
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ーそもそも生活保護が受給できるのはどのような人ですか
生活保護を受給するためには、下記の5つの条件を満たしている必要があります。
・総収入が各市町村が定める「最低生活費」を下回っている
・預金や不動産・車・有価証券などの資産を保有していない
・病気やケガなどにより働くことができない
・親族からの援助を受けられないこと
・ほかの制度を利用しても生活が困窮している
また、借金を背負ってしまっている場合、生活保護を受給できたとしても、そこから借金の返済はできません。生活保護で借金を返済すると、打ち切られてしまう場合があります。
ー生活保護を受給した場合、出費に制限はかかるのでしょうか
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生活保護の目的は「困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長すること」であるため、遊興費として使用することは適していません。ただ、生活保護者がやってはいけないこととして「高価なものや資産を所有すること」や「生活保護費を借金の返済に充てること」などは定められていますが、ギャンブルはやってはいけないこととして定められていないのです。
過去には生活保護費を使ったギャンブルに否定的だった自治体が「遊技場には立ち入らない」という誓約書を書かせ、それを破った人に生活保護費の支払いを止めた例もありましたが、現在では、国や県から「生活保護法ではギャンブルを禁じていないため、この対応は不適切」という是正要求を受けて撤回しています。
ー生活保護の使用状況はチェックされているのでしょうか
生活保護を受給すると、生活指導をおこなう担当者によって使用状況も含めて定期的にチェックされます。しかしすべてを完全に把握できているわけではないでしょう。
ー競馬などのギャンブルで使用したことが見つかったらどうなるのでしょうか
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仮にギャンブルで勝った場合、これは所得にあたるため本来であれば生活保護を返還しなければなりません。もし3000円で購入した馬券が、9000円になった場合、差額の6000円が収益と見なされます。ただし、勝った金額が口座に振り込まれたりすれば確認できますが、現金で使用されてしまえば把握することは困難です。
生活保護受給者が競馬などのギャンブルをしていたとしても、現状では生活指導の担当者が、注意をすることくらいしかできません。
◆北村真一(きたむら・しんいち)弁護士 「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないといわれる大人気ローカル弁護士。猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。
(まいどなニュース特約・長澤 芳子)
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