SPRINTS『ランニングキャップ』とTEMBEA『バケットトート』。大人の男にこそポップな総柄アイテムをすすめたい理由

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2024年07月23日 18:11  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
いよいよ夏本番の昨今。

僕がヘビーローテーションで使っているのがこちら、SPRINTSというアメリカブランドの『ランニングキャップ』である。



ランナー向けの本格スポーツギアゆえ非常に高性能なキャップだけど、僕はランニングはしないのでただのお出かけ用として使っている。

それはハイスペックの無駄遣いかもしれないが、別に走らずとも真夏の炎天下で快適さをもたらしてくれるキャップなのだから、これでいいのだ。


○■娘に「パパっぽい」と言われて買った、少しおバカな総柄アイテム



クイックドライの超軽量ポリエステル生地を使用しており、重量はわずか45g。

確かに、頭に乗っけていることを忘れるくらい軽やか、かつ爽やかなかぶり心地だ。

4箇所のメッシュベンチレーションと吸汗速乾性のあるスウェットバンドを備え、生地は紫外線を98%ブロックする性能というから、これから盛夏に向けてますます出番が多くなりそうである。


このキャップを買った最大の決め手は、デザインだった。

SPRINTS『ランニングキャップ』は色柄のバリエーションが豊富で、どのパターンも動物や植物、その他様々なアイテムが総柄でプリントされている。

僕は店頭でいくつか試着し、最終的には同行していた高校生の娘が「これが一番パパっぽくて似合ってる」と太鼓判を押した柄に決めた。

アメコミタッチのカメのキャラクターが様々なポーズをとっている、ちょっとユニーク、というか相当変なプリントだ。


父に対して一体どんなイメージを持ってるのかと、いささかモヤつくものはあったが、確かにしっくりくるような気がして購入。

実際、かぶっていると人から褒められることが多く、僕自身とても気に入って日々かぶっているのだから、娘の目に狂いはなかったのかもしれない。



季節ものでもう一つ。

毎年暑さが厳しくなってくるこの時期に決まって引っ張り出し、やはりヘビロテするバッグがある。

TEMBEAというドメスティックブランドの肩掛けバッグ『バゲットトート』だ。


僕はどちらかというとバッグパック派なのだが、夏場は背中が熱くなって汗をびっしょりかいてしまうので、肩掛けバッグに切り替えることにしている。

短い一本のショルダーストラップを備えたやや特殊な形の『バゲットトート』は、縦型でサイズ感がちょうど良く、使い勝手抜群。

そしてやはり、デザインが非常に気に入っている。


このバッグは、自分で買ったものではない。

最初は妻が使っていたのだが、「やっぱりあなたの方が似合いそう」ということで、僕にくれたのだ。

こちらもイラスト総柄で、さまざまな様子のピザ配達人が描かれている。


こんな柄が「似合いそう」って……。

まったく、娘も妻もなんなんだ。

まあ、僕はどちらもとても気に入り、がっつり使っているのだからいいんだけど。


○■なぜか急に地味化、おっさん化する世の男性たち



ここで話はガラッと変わる。

生涯にわたり、オシャレにこだわりを持ち続けられる男性というのは、どれほどいるだろうか?

僕は、とても少ないのではないかと思っている。

これはエビデンスのない主観だが、僕はかつてそれなりに名の知れた男性向けファッション誌の編集長を務めていたので、それなりの信憑性がある見解として受け止めていただきたい。



もちろん、生涯オシャレでいられる男性もいるにはいるが、彼らは言うなれば“ファッションオタク”である。

そしておそらく男性の“ファッションオタク”は、他の趣味に没頭しているオタク、例えば“車オタク”や“アニメオタク”、“アイドルオタク”、“カメラオタク”、“音楽オタク”なんかと比べると、ずっと少数派だ。もしかしたら、桁違いの少なさかもしれない。



そんな男も10代半ばから20代にかけての頃だけは、多少オシャレ意識の昂まる人が多い。

言うまでもないがその年代の男性は、異性(とは限らないけど)の目を強く意識し、できるだけ自分を良く見せようと努めるためだ。



だがそうした時期を過ぎ30代になると、多くの男性は急速にファッションに対する興味を失う。

一昔前だったら、どうせ平日はお定りのスーツにネクタイしか着られないし、休日は家族と過ごすばかりだから、オシャレしてもしょうがないと考えた結果だと推察できる。

ところが最近は、多くの職場でカジュアルな服装が許されるようになり、オンとオフの境目が曖昧になってきているにもかかわらず、やはり男性は30になるころ無難に走りはじめ、ただコスパ重視で地味な服を選ぶようになる。


せっかく社会の規範が変わりつつあるのだから、もっと自由にオシャレを楽しめばいいのではと思うが、どうもそうはならないようだ。

○■おすすめの総柄アイテムだが、トゥーマッチにはならないように



で、そんなことを偉そうに言っているお前はどうなんだ? という話だが、僕もご多分にもれず、オシャレに大して興味のないおっさんである。

さっき「ファッション誌の編集長をやっていた云々」と、マウントを取るような書き方をしたが、実は、ファッション誌の編集をやってる頃から、至って冷めた目でオシャレ界隈を見ていた。



僕の属性はというと、どちらかと言えば“音楽オタク”。

若い頃から服装にこだわりはあったが、好きな音楽がらみのファッション、例えばモッズやパンク、マンチェスター系の着こなしを好んだ。それはあくまで音楽ありきのオシャレであり、真性のファッションオタクとは違う動機によるものだったのだ。



そしてもうすっかり仕上がった親父になった現在、夏場は短パンにバンドTシャツばかり。

見ようによってはたいへん痛い親父なのかもしれない。



こんな僕だがファッションで常に気にかけているのは、地味で無難な(言い換えれば「年齢相応」なのかもしれないが)アイテムだけは避けるということだ。

普段からカジュアルでいることが許されるフリーランスなのだし、できるだけポップで個性的なアイテムを選ぶことで、しょぼくれオヤジ化になんとか抗っているのである。



ご紹介した総柄アイテムは、一般的にはなかなか使いにくいものなのかもしれない。だがあえてこうしたアイテムをコーディネートにぶち込むこむと、そこがフックとなりグッと華やかに見えるものなのだ。

僕はこのほかにも、シャツやパンツでポップな総柄アイテムをいくつも持っており、それらを取っ替え引っ替え活用している。


ただし総柄アイテムは、使い方にややコツがある。

間違いなく言えるのは、使いすぎないこと。用いる場合、コーディネートの一箇所だけにするということだ。

例えばシャツ&キャップ、あるいはバッグ&パンツなどと一度に二つ以上の総柄アイテムを使うと、たちまちトゥーマッチ感が漂い、ただの変なおじさんになってしまう。



もしかしたらあまり参考にならぬ話だったかもしれないが、何かピンとくるものがあればぜひお試しあれ。

気持ちが少しは若返ること請け合いである。



佐藤誠二朗 さとうせいじろう 編集者/ライター、コラムニスト。1969年東京生まれ。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わり、2000〜2009年は「smart」編集長。カルチャー、ファッションを中心にしながら、アウトドア、デュアルライフ、時事、エンタメ、旅行、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動中。著書『ストリート・トラッド〜メンズファッションは温故知新』(集英社 2018)、『日本懐かしスニーカー大全』(辰巳出版 2020)、『オフィシャル・サブカルオヤジ・ハンドブック』(集英社 2021)。ほか編著書多数。新刊『山の家のスローバラード 東京⇆山中湖 行ったり来たりのデュアルライフ』発売。
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