日本のウェルネス市場拡大へ 大谷翔平や大坂なおみも愛用する「ハイパーアイス」

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2024年07月28日 08:01  Fashionsnap.com

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 「ハイパーアイス(Hyperice)」というブランドを聞いたことはあるだろうか。日本ではまだ馴染みが薄く、知っていたとしても“マッサージガンの売り場に置かれているプロダクト”というイメージがあるかもしれない。だが、グローバルでは「ナイキ(NIKE)」などのスポーツメーカーだけではなく、大谷翔平や大坂なおみら名だたるプロアスリートからも支持されるフィットネスプロダクトブランドとして名を馳せている。  そんなハイパーアイスは、今年6月からリカバリーシューズブランドとして名高い「ウーフォス(OOFOS)」などを手掛けるアルコインターナショナルと日本における輸入代理店契約を締結。日本市場におけるリブランディングと展開拡大を進めている。

大谷翔平や大坂なおみも採用、ナイキとはコラボ新作を開発
 ハイパーアイスは2011年にアメリカで設立。創業者でアスリート経験者のAnthony Katz氏はスポーツ後の身体のリカバリーに着目し、最高峰レベルの選手や理学療法士からの協力を得て多くの研究を繰り返しながら、より効果的で持続性が高く、アスリートが使いたいと思える製品としてポータブル式アイスコンプレッションデバイスを開発したのがブランドのはじまりだ。
 プロダクトは、グローバルで販売台数約100万台を突破した緊張と凝りをほぐすパーカッション・デバイス「ハイパーボルト(Hypervolt)」シリーズをはじめ、足全体を覆い、好きな部分を加圧することができるエアーコンプレッション「ノルマテック(Normatec)」、凝りや痛みを和らげる温熱ケア「ベノム(Venom)」、高強度振動で緊張をほぐす「バイパー(Vyper)」や「ハイパースフィア(Hypersphere)」などがあり、ブランドデビュー10年強でラインナップも拡大。価格帯は2万円台から10万円を超えるものまで幅広い。現在では世界60ヶ国以上で愛用され、2021年にはニューヨークのビジネスメディア「Fast Company」から「世界で最も革新的な企業」の1社に選ばれた。

 愛用アスリートも、大谷選手や大坂選手に加えて、マンチェスター・シティ所属でノルウェー代表としても活躍するアーリング・ハーランド、NBAプレイヤーのジェイソン・テイタム、プロゴルファーのローリー・マキロイ、MLBプレーヤーのフェルナンド・タティス・ジュニアといった豪華な顔ぶれが揃う。また、NBAやMLBなどがリカバリールームに公式にハイパーアイスを設置するなど、確かな開発技術は高い評価を得ている。先日にはナイキからウォームアップとリカバリーを高める機能を搭載した共同開発のブーツとベストが発表され、注目を集めた。

 ハイパーアイスが日本に上陸したのは2015年。スポーツ用品およびトレーニング機器の輸出入を行うモントルーが1社目の代理店となり、その後2022年からツインズと契約。アルコインターナショナルは3社目の代理店契約となる。
 アルコインターナショナルはウーフォスやアメリカ発のランニングシューズブランド「トポアスレチック(Topo Athletic)」といったスポーツやアウトドア領域に強みを持ち、代表取締役CEOの降幡昌弘氏自身も習慣的にスポーツを楽しんでいる。代理店契約はハイパーアイス側から持ちかけられたといい、降幡代表が実際に試して検討した結果、取り扱いを決めた。アルコインターナショナルは国内でのリブランディングを再度仕切り直す。
日本のリカバリー産業をどう見るか
 本国のハイパーアイスによると、2023年のマッサージガン市場は5億4260万米ドルと評価されており、今後数年間で10億米ドルをはるかに超えると予想されている。日本を含め「世界中の消費者が長寿、セルフケア、ウェルネスを意識するようになり、そのようなライフスタイルが多くの人にとって身近になるにつれて、リカバリー産業が飛躍的に成長するだろう」とハイパーアイスも期待する。
 現時点におけるハイパーアイスの日本展開は、家電量販店など全国約100店舗。堅調に拡大しているが、国内のブランディングに課題があったという。
 「これまでは“マッサージガンのブランド”として売られ、競合のマッサージガンと比較した一覧の表では価格や重さで比較されていたが、そうなると“ただ高い”“ただ重たい”という見え方になってしまう。また、ただのマッサージガンではなく『振動や温熱で体全体をリカバリーしていくトータルのフィットネスプロダクトブランド』として売り出したかった。その課題を解決したかったと聞いている」(アルコインターナショナル担当者)

 たとえば、看板商品のハイパーボルトは肌の表面からの振動の深さを指すストロークが高く、最も小型の「ハイパーボルト ゴー 2(Hypervolt Go 2)」でも10ミリのストロークを実現。競合ブランドでは頭皮や顔にも使えると謳っている商品が多い中、ハイパーボルトはストロークが深いが故には頭皮や顔への使用を禁じている。
 「製品自体の重量にも意味があり、それをちゃんと説明していけば広がっていく」。競合他社にはない高い機能性をしっかり発信することで、“マッサージガンのブランド”に留まっていたブランドイメージを一新したい考えだ。
日本はアジアの中でも「重要な国」
 ここまでの説明で、ハイパーアイスはアスリート向けのイメージが先行するかもしれない。だが、本国では腰痛改善や身体のリラックスのための“ウェルネス商品”として一般層にも浸透しているのだという。日本では一般層の認知はまだ広がっていないものの、ハイパーアイスの本国チームは日本市場を「インターナショナル領域での成長にとって重要な国」と位置付ける。
 「日本はすでにその伝統として、温泉や森林浴、瞑想など、ウェルネスの概念を取り入れている。ハイパーアイスのテクノロジーはウェルネスへの意識を強化し、すべての人にとってウェルネスをより身近で便利なものにすることができる」(米国ハイパーアイス担当者)
 先日開かれたアルコインターナショナルでの展示会では大手企業の来場もあり、手応えを感じたという。今後は家電量販店以外にスポーツショップやゴルフショップ、学生スポーツ、ジム、リゾート、ホテル、医療施設関連の売り場にも卸していきたい考えで、ポップアップショップの出店も検討。販路を広げることにより国内でのブランド認知拡大を目指す。アルコインターナショナルが得意とするSNSマーケティングにも本腰を入れていく。
 アルコインターナショナルの担当者は、「スポーツの中でも“速く走れる”や“グリップ力が高い”といったパフォーマンスの部分に目を向けられがちだが、スポーツを行う前のリカバリーウォーミングアップへの意識がまだ浸透していないように感じる。健康に長くスポーツを楽しむために、まずは身体をケアしていくという部分でこのハイパーアイスはかなり理想的なブランドだと思っている」と自信を示し、日本展開拡大に意欲を示した。
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