アウディ、フル電動化の『A6』を本国発表。フラットフロア採用のPPEでCd値は極限の0.21に

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2024年08月06日 17:40  AUTOSPORT web

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7月31日にフル電動モデルへと刷新された『A6 e-tron』をドイツ本国で発表
 偶数が電動モデルを、奇数は内燃エンジン搭載モデルを表す方針を掲げるアウディは、その戦略に基づき『A4』から『A5』へとファミリーネームを変更した主軸モデルに続き、7月31日にフル電動モデルへと刷新された『A6 e-tron』をドイツ本国で発表。新型『A5』ファミリーと同様に、新世代のプレミアムプラットフォームコンバッション(PPC)を採用した第2弾モデルは、そのPPEにおける初のフラットフロアコンセプトなどによる驚異的なCd値(空気抵抗係数)0.21を達成し、最長756kmの一充電航続距離を誇る革新的な1台となっている。

 おなじみのSportback(スポーツバック)とAvant(アバント)のボディタイプで登場した新型『A6 e-tron』は、パフォーマンス、一充電航続距離、効率、充電というアウディの強みを受け継ぎつつ、第2世代のバーチャルエクステリアミラーやボタンを押すと不透明になるパノラマガラスルーフ、リヤのライティングリングなど多くの革新的な機能が提供されるという。

 先進運転支援システム(ADAS)のセンサー類やエアインテークなど、機能要素を“ダークマスク”に統合したフロントから、スリムなグリーンハウスに掛けてクリーンなラインを描くエクステリアは、歴代のミッドサイズセグメントを支えたモデルらと同じく優れたエアロダイナミクスが追求され「アウディ史上もっとも空力性能が優れたモデル」であるだけでなく「フォルクスワーゲングループ全体の中でももっとも優れたエアロダイナミックを備えたモデル」とされる。

 サイドスリットによりホイールハウス周辺をシールして乱流を制御するエアカーテンを筆頭に、シングルフレーム下にある制御可能な冷却エアインテークによりフロント側の空気が最小限のロスで流れるようデザインされ、特別に用意されたホイールトリムやフロントホイール前方の3Dバンプ(空力最適化パーツ)が後方へ向かう気流を整える。

 アンダーボディも高い密閉性と各種コンポーネントの細かな最適化が図られ、幅広く空力的に最適化されたディフューザーにより、リヤアクスルの揚力とCd値の最適なバランスが実現する。さらにアバントではディフューザーに追加のスポイラーも装備され、リヤにサイドスポイラー形状の空力エレメントを追加。また低いルーフエッジスポイラーは車両後方に小さな「静水域」(空気の流れがほとんどない領域)を作り出し、これもまた空力性能を向上させる。

 そのほか、コンパクトなカメラにより空力最適化を狙った形状を採用しつつ、電動で格納することも可能なバーチャルエクステリアミラーもオプションで用意され、これらの成果によりスポーツバックで0.21、アバントも0.24という非常に優れたCd値を達成している。

 さらに近年のアウディを象徴するライティングテクノロジーの面でも、第2世代のデジタルOLED(有機EL)リヤライトを導入。このデジタルOLEDリヤライト2.0には450のセグメントを持つOLEDパネル10枚が使用され、特別に開発されたアルゴリズムによって毎秒数回新しい画像を生成。通常のテールライトグラフィックスに加えて、近接検知機能などと強調して特定の点灯パターンの警告シンボルを表示するなど、Car-to-X通信を可能にし道路上の安全性を向上させる。

 マトリックスLEDヘッドライトの新しいデジタルデイタイムランニングライトも含め、この技術はドライバーの好みや個性に合わせたそれぞれ8つのデジタルライトシグネチャーも可能とし、装備に応じてリヤのフォーリングスも点灯。新しい『A6 e-tron』に独自の個性が与えられる。

■高性能な“S”モデルも健在

 一方のインテリアでも、MMIパノラマディスプレイにはカーブデザインとOLED技術が採用され、11.9インチのアウディ・バーチャルコックピットと14.5インチのMMIタッチディスプレイで構成。10.9インチのMMIフロントパッセンジャーディスプレイと合わせて、視覚的に明確なデザインによるデジタルステージを形成している。

 アクティブ・プライバシーモードでは、運転中に助手席のパッセンジャーが映画を見たりストリーミングを楽しむ際に、ドライバーの邪魔をすることなくエンターテイメントコンテンツを楽しむことができ、オプションのARヘッドアップディスプレイ(AR HuD)では、ドライバーに向けフロントガラス全体に大きく傾斜した画像を投影。速度、交通標識、アシスト情報、ナビゲーションシンボルなどの関連情報を表示する。

 さらにオプションでスマートパノラマガラスルーフも設定し、ポリマー分散液晶(PDLC)技術により電気的に透明から不透明に切り替え可能なガラスコンポーネントには、2枚のPDLCフィルムが液晶を挟むように構成され、電圧オフの場合に液晶は不透明な層を形成し、電圧オンで液晶が再配列。ルーフが透明になり光を通す効果がもたらされる。これにより、必要な場合には直接の日光を最小限に抑え、ルーフモジュールのボタンで4つのプリセットから「デジタルカーテン」のように個別に制御することが可能となっている。

 新たに開発された総電力量100kWh(正味容量94.9 kWh)のPPE用リチウムイオンバッテリーは、合計180個のプリズマティックセルを持つ12のモジュールで構成され、システム出力270kW(約367PS)のアウトプットでから0-100km/h加速は5.4秒、最高速度は210km/hを誇る。それでいながらスポーツバックで最長756km、同アバントで最長720kmの一充電航続距離を実現する。

 そして従来と同様の高性能版“S”モデルとなる『S6 e-tron』では、システム出力が370kW(約503PS、ローンチコントロール時は405kW/約550PS)となり、同じく0-100km/h加速は3.9秒、最高速度は240km/hに到達。それでいて一充電航続距離もそれぞれ最長675km、647kmが確保される。

 こちらもe-tronモデルでおなじみの統合ブレーキシステム(iBS)も大幅に強化、最適化され、基本はリヤ駆動としつつ『S6 e-tron』を含む伝統のquattro(クワトロ)四輪駆動モデルも設定。本国ドイツでは2024年9月から注文可能となり、今後はより小型のバッテリーを搭載したエントリーモデルの追加なども予定され、日本市場への導入時期や価格は追ってアナウンスされる。

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