昨夏甲子園優勝の慶應・丸田湊斗が語る、プロ入りと目指す人物像「いい教育者になりたい」の真意とは?

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2024年08月11日 07:30  webスポルティーバ

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慶應大 丸田湊斗 インタビュー後編(全3回)

 昨夏、107年ぶりに高校野球の頂点に輝いた慶應高。自主性を重んじた「エンジョイ・ベースボール」で高校野球界の常識を覆してきた同校にあって、「慶應のプリンス」とひと際注目を集めていたのが、丸田湊斗だ。現在は慶應大野球部に所属する彼の大学生活に迫る。

【六大学野球の球威にずいぶん悩んだ】

ーー大学生活には慣れましたか?

丸田湊斗(以下同) まあ慣れたと思います。野球部で言うと、高校も学年に40人くらいいたからけっこう多かったですけど、大学はスタッフを含めると全部で200人近くいる大所帯だから練習の規模が違うのが大きな差だと感じました。

 あとは基本リーグ戦で、負けても次があるっていうのは新鮮でした。負けた瞬間にベンチ裏で先輩たちが「明日だ、明日」って切り替えの声を出しているのはトーナメントにはないなと。

 野球というスポーツの特性上、3割打っていいバッターって言われるくらい不確定なもので、リーグ戦が合っているって意見が多いのもごもっともだと思いました。

ーー甲子園優勝から鳴り物入りでの入部になったかと思います。

 優勝メンバーが入部したとニュースにもなったりして若干プレッシャーはありましたけど、特別扱いされるわけでもないので大丈夫でした。

ーー練習量は高校時代に比べてどうですか? 慶應高は全体練習の短さがメディアで取り上げられることもありますが。

 実際はそんなことないですよ。全体練習4時間プラス個人練習がありましたから。でも大学生のほうが授業の兼ね合いによっては時間的な余裕はあるので、練習量も多くなります。

ーー東京六大学春季リーグは1年生でメンバー入りして5試合でスタメン出場し、打率は.286(14打数4安打)でした。

 ずいぶん悩みました。高校生に比べて投手の球速も速いし、それ以上に球威をすごく感じます。春のリーグ戦ではまだ押されていたので、秋のリーグ戦にはしっかり対応したい。

【未来よりも今を全力で】

ーーまだ先の話ですが、今後の展望は? プロ入りを目指していますか?

 高校の時からですけど、とにかく「今を全力」って気持ちでその時その時やっているだけなので、4年になった時にどうなってるかという感じです。

ーー仮に4年生でプロを目指せるとなったら。

 うーん、阪神ファンではあるんですけど。(仙台育英出身で同学年の)山田修也もいるし、森下翔太選手は地元が一緒で僕の兄が幼馴染なんですよ。かぶってはないけど、僕も保育園と中学校が同じなんで、そういう縁もありますね。

ーー海の向こうでは大谷翔平選手も大活躍しています。

 もちろんメジャーの試合は見ますけど......僕、あんまり海外が好きじゃないです(笑)。海外旅行に行ったりすると、日本が一番落ち着いてるなって思う。"海外住みたい欲"もないし、安定を重視するんです。

ーー学部は法学部法律学科だそうですね。

 内部(付属高)から進学して野球続ける人は商学部とかが多いんですけど、寮生活なので普段から野球部と関わることが多くなるんです。

 別のコミュニティに入りたかったというわけじゃないですが、学校生活の刺激もほしいなって部分もありました。

ーー恩師とも言える慶應高野球部の森林貴彦監督も法学部法律学科だそうで、影響されたのでしょうか?

 そうみたいですね。それは最近知りました(笑)。

ーー授業はどうですか?

 基本記述で、答えがひとつじゃないから難しいですね。でも法律って自分を守るためのものでもあると思うし、知ってそうで全然知らないことばかりなので、面白いですよ。でも、ようやく大変だったテストも終わって、夏休みは野球漬けになると思います。

【後悔するタイプだからこそやりきる】

ーー法律の勉強のほかに、大学で新たに始めたことはありますか?

 車の運転をするようになりました。まだまだ初心者で下手くそなんでうまくなりたい。この前も、塾高の神奈川県予選を(大学野球部の)同期の人たちと車で見に行きましたよ。行きは(チームメイトの)渡辺憩が平塚まで運転して、帰りは僕が運転しました。

ーー乗りたい車は?

 LEXUS(レクサス)に乗りたいとは思ってるんです。塾高の同窓会会報誌(『JK(Jukuko)』)のアンケートでも「LEXUSに乗れる生活をする」と回答したら、その記事がネット記事に引用されてしまい......。「お前、LEXUS乗りたいんだ」ってけっこうイジられました(笑)。

ーーでは、野球選手としての今後の展望を教えてください。

 ありきたりですけど、プロだろうが学生だろうが、やめるときにやりきったって思えたらいいと思います。

 のちのち、選択をしたことに後悔することが多いタイプなので、その時その時の選択に後悔しないで、納得して野球を終えていたいですね。

ーー後悔する、とは意外です。

 いろいろありますけど、具体的に何で後悔したのかを言うのは控えておきます(笑)。

ーーでは人としてどうなっていたいですか?

 いい教育者になりたい。学校の先生になるという意味ではなく、たとえば家庭を持ったとしても、みんな誰もがいち教育者になるとは思うので。見本になれるような人間......じゃなくてもいいと思うんですけど、いい教育者になれたらいいですね。

終わり

前編<夏の甲子園・慶應フィーバーの過熱報道に「怖さあった」 丸田湊斗が明かす夢の舞台の裏側>を読む

中編<慶應高優勝メンバー・丸田湊斗が高校球児へ日焼け対策のススメ「長丁場の甲子園を戦い抜くために」>を読む

【プロフィール】
丸田湊斗 まるた・みなと 
2005年、横浜市生まれ。小学3年から野球を始め、日限山中時代は横浜泉中央ボーイズでプレー。慶應高では2年春からベンチ入りし、2023年には春夏ともに甲子園に出場。全国制覇を果たした夏は1番・センターとして5試合で打率4割超、決勝で先頭打者本塁打を放った。2024年、慶應大法学部に進学。東京六大学春季リーグで5試合にスタメン出場した。

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