前回からの続き。私(ユキナ)は、夫と小学2年生の長女、年長の長男の4人暮らしです。今日はママ友4人でランチ会。夏休みの予定について話をしていたところ、マキコさんが「旅行が羨ましい!」と言いはじめました。彼女のところは夫婦ともに遠方に実家があり、双方の実家に帰省するだけで長期休みが終わってしまうのだとか。子どもたちも祖父母も帰省をとても楽しみにしているのに、マキコさんは本当に面倒くさいと感じているようです。それでも私は、ちょっと羨ましかったのです。
「帰省のことで悩むっていいなぁって思ってさ」
今日のママ友とのランチ会での出来事を思い返しながら私は言いました。
私と夫は、中学の同級生同士で地元で結婚したため、もちろん実家もすぐそばにあります。つまり、居住地と実家が近すぎて、帰省という概念がないのです。
だから、地元から出てきている人たちが、長期休みになると、帰省といって地元に帰っていくことに憧れを抱いていたのです。
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地元が遠方の人は、帰省という概念があって、リフレッシュできていいな〜って思っていました。
しかし、こういうことを話すと、大抵は「実家が近くにある方がいいよ!」と言われてきました。もちろん、実家が近くて助かることはたくさんあります。でも実は、近すぎるがゆえの問題もあるんですよね。
マキコさんは帰省がない私たちを羨ましいと言っていましたが、私はそんなマキコさんを見て、実は心底羨ましかったのです。
帰省は確かに大変なことも面倒くさいことも多いかもしれません。
しかし地元で結婚・出産をした私は、自宅も実家もすべて地元でまとまっているため、気持ちの切り替えができる場所もないのです。
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隣の芝生は青く見えるとはこのことなんだな……そんな風に思います。
【第4話】へ続く。
原案・編集部 脚本・渡辺多絵 作画・よしはな 編集・石井弥沙