松本まりかの“暴走する復讐サレ妻”は何位?夏ドラマ「怖い女」ランキング!朝ドラ&月9からも

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2024年08月21日 09:20  女子SPA!

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(画像:『夫の家庭を壊すまで』テレビ東京公式サイトより)
夏だからなのかはわからないが、2024年の夏ドラマには、怖い、恐ろしい女性キャラクターが目立つ。本稿では、この猛暑にひとときの涼を与えそうな、背筋の凍る「怖い女」たちをランキング形式で紹介したい。

◆5位 森口美佐江(片岡凛)NHK『虎に翼』/朝ドラに登場した異質な“闇”

ほっこりしたり、シリアスなテーマで考えさせられたりする、この朝ドラの中で、異色の存在感を見せたのが、「新潟編」(第17週〜19週)に登場した高校生の美佐江だ。

大地主の娘で、容姿端麗、学業も優秀。法学部志望ということで、裁判官として新潟の家裁に赴任した主人公の寅子(伊藤沙莉)に接近する。だが、勉強熱心で真面目な少女と思われた美佐江には“闇”があることが仄(ほの)めかされる。

新潟市内で起こっていたひったくり事件に関与した少年たちが、美佐江が「特別な人にだけ」贈るという「赤いビーズの腕飾り」をしていたからだ。さらに、第19週では売春事件への関与が疑われる。

美佐江は問題なしとして帰されるが、疑った寅子は美佐江を追及。すると美佐江は、そもそも「どうして悪い人から物を盗んじゃいけないのか。どうして自分の体を好きに使ってはいけないのか。どうして人を殺しちゃいけないのか」、その“悪”の定義がわからないと正直に答えながらも、尻尾は見せない。

そして誰にも咎(とが)められることなくそのまま進学していく。この美佐江の告白の場面はさながらホラーやサスペンスの様相だった。

“怖さ”の一端をのぞかせただけで退場してしまった美佐江。現時点では、全25週あるなかで3週だけの登場だが、そのインパクトと、再登場もあると期待を込めて5位に。

◆4位 南雲水季(古川琴音)フジテレビ系『海のはじまり』/台風のように周囲を振り回す女

真夏の台風のように関わる者すべてを振り回す女、水季。かつての月9『東京ラブストーリー』の赤名リカ(鈴木保奈美)の系譜にあるようなキャラクターでもある。

主人公・夏(目黒蓮)が学生時代に交際していた元カノであり、一方的に別れを告げられて7年後、水季が亡くなったと聞いて夏が葬式に向かうと、自分の娘が生まれていた――というストーリーなのだが、夏は水季から求められるままに中絶同意書にサインしたにもかかわらず、知らぬうちに水季は出産を決意、彼女から電話だけの一方的な通知で強引に別れを切り出される。

そして水季は、自身が病気だとわかると夏との娘・海(泉谷星奈)がひとりで夏の家に行けるように練習させていたことが後々わかる。何も知らなかった夏の目線で見れば、子どもをつくった責任があるとはいえ、ちょっとしたホラーだろう。

しかも第7話では、水季が図書館の同僚・津野(池松壮亮)が自分に好意を抱いていることをわかったうえで子育てに巻き込んでいたことが発覚。

津野の気持ちを利用していることについて「最低」であることは自覚していたし、津野と友人以上の関係にならないように距離を置いていたのは死期が近いがゆえの遠慮だったのかもしれないが、自分への気持ちに気づいていながらわざわざ自宅に招き、「付き合ってる人とか、いるんですか?」と訊ねる場面にゾクっとした人も少なくないのではないだろうか。

◆3位 清家浩子(高岡早紀)TBS系『笑うマトリョーシカ』/高岡早紀の「悪女」新たな代表作

新聞記者の道上(水川あさみ)が、若き人気政治家・清家一郎(櫻井翔)を追っていくうちに、清家は誰かに操られているだけなのではないかと疑問を持ち、その背後を探っていく政治サスペンス。

清家を操り、支配しようとしている/していた(と思われる)候補は複数いて、なかでも回を追うごとに不穏な存在感が増しているのが、高岡早紀演じる清家の実母・浩子。

息子を政治家にするためには、のちに秘書としてブレーンとなる息子の同級生を誘惑するなど、ありとあらゆる手を使う。周囲では不審な事故死が絶えない。

第8話では、自分を追ってきた道上が車に轢かれそうになったところに笑顔で現れ、道上に8歳の息子がいることに触れたうえで「人のことをかぎ回ってばかりいないで、自分の身の回りのことを心配したほうがいいんじゃない?」と脅迫めいた警告をする。

同作では、学生時代の清家の恋人で、清家をコントロールしようとしていた亜里沙(田辺桃子)の傍若無人ぶりも強烈だったが、悪女としては浩子のほうが一枚も二枚も上手か。

さまざまな悪女を演じてきた高岡早紀だが、この浩子はその代表作のひとつになるだろう。

とはいえ、浩子に関する疑惑はいずれも証拠がなく、また浩子自身も母親(清家にとっては祖母)の影響下にあることが示唆されているため、「怖い女」としては暫定的にこの順位に。

◆2位 蒲生美智留(内田理央)フジテレビ系『嗤う淑女』/他人を操り、破滅に導く「THE悪女」

東海テレビ制作のこの土ドラは『笑ゥせぇるすまん』的世界観をさらにダークに演出したような作品。

主人公の美智留はコンサルタントを名乗って、悩みを相談してきた人たちの欲望を利用し、次々と破滅させていく。買い物依存症の女には「ちょっと借りておくだけ」として働き先の銀行からの横領をそそのかし、夫のモラハラに悩む主婦には多額の生命保険をかけたうえで夫を事故に見せかけて殺すよう誘導するのだ。

それだけでも恐ろしいが、美智留の怖さがとくに際立つのは、いとこの恭子(松井玲奈)との関係。

中学時代、恭子の難病を治療するため美智留が骨髄を提供したことをきっかけに、恭子は美智留に傾倒していく。そして美智留を虐待していた父親を恭子は事故に見せかけて殺してしまうが、実はそれは美智留による誘導。学校で恭子がいじめられていたのも、美智留が裏で仕掛けていたことだった。

次第に美智留の恐ろしさに気づき始めた恭子はその支配から逃れようとするが、ことごとく見破られ、美智留から逃げられない。美智留の悪事に加担することにまっとうな罪悪感を抱いていたはずの恭子は、第4話ではすっかり美智留のよきパートナーに……。

他人の心理を意のままに操作し、破滅させていく美智留はまさに稀代の悪女であり、絶対に関わりたくない「怖い女」だろう。

◆1位 如月みのり(松本まりか)テレビ東京系『夫の家庭を壊すまで』/その女、危険につき――純愛の裏返しにある怖さ

学生時代から交際していた夫との、純愛を貫いた幸せな家庭。しかしそれは幻想で、夫・勇大(竹財輝之助)は結婚前から理子(野波麻帆)というシングルマザーとも交際していて、理子の息子・渉(野村康太)と3人で「もうひとつの家庭」を築いていた――。

17年も前から裏切られていたことを知った主人公・みのりによる復讐劇だが、ただの夫の不倫ではないところがミソで、みのりとの結婚には愛はなく、ただの財産目当て。しかも、みのりに常に優しかった義母・裕美(麻生祐未)も息子の不倫を容認し、「もうひとつの家庭」で楽しくやっていた。

これだけの地獄にあって、みのりの復讐は視聴者から応援されるものではあるが、同時にみのりの“暴走”もすごい。高校生の渉が通う塾に講師として現れて急接近したり、理子の勤める美容室をそしらぬ顔で訪れて指名した理子にプレッシャーをかけたりと、ものすごい行動力を見せていく。

◆松本まりかの怪演がもたらす「復讐する女」としての説得力

第1話終盤、ずっと騙(だま)されていたことを知ったみのりがフォークで夫の写真を刺していく“泣き笑い”の場面からして、“怒らせるとヤバい女”であることもわかる。

第1話では親友から「昔から被害妄想強すぎ」と指摘されていたが、この妄想癖もたびたび発揮され、第2話では鬼の表情でハサミを夫に突き立てる妄想シーンも。

ホラーとコメディのきわどい境界を酔歩するような独特の演出の中で、やはり際立つのは松本まりかの演技。

泣くときはまさに「号泣」という表現が合う泣きっぷりで、鼻水が垂れるのもいとわない。怒りや悲しみ、さまざまな感情が爆発した第4話の序盤のシーンは圧巻で、まさに怪演というべきこうした演技が、ただの「サレ妻」で終わらない「復讐する女」としての説得力を持たせる。

勇大は開けてはならない扉を開けてしまった――思わずそう思ってしまう「怖い女」だ。

<文/新城優征>

【新城優征】
ドラマウォッチャー。俳優インタビュー、Netflix配信の海外ドラマの取材経験などもあり。

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