接触多発、乱戦の週末でレッドブル艦隊が撃沈。伏兵パーカットとウォーターズが勝利/RSC第8戦

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2024年08月22日 18:01  AUTOSPORT web

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日曜はトーマス・ランドル(ティックフォード・レーシング/フォード・マスタング)とタイトル候補のブロック・フィーニー(レッドブル・アンポル・レーシング/シボレー・カマロZL1)がクラッシュに散る
 オーストラリア本土から南東に約240kmのタスマニア島に上陸したRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップは、8月16〜18日にシモンズプレイン・レースウェイにて『NED Whisky Tasmania SuperSprint(ネッドウイスキー・タスマニア・スーパースプリント)』の週末を迎え、土日の両ヒートともに名門トリプルエイト・レースエンジニアリング(T8)のレッドブル・アンポル・レーシング陣営が、予選の赤旗から集団内バトル、接触アクシデントにより受難の展開を強いられることに。

 そんななかレース1で4番グリッドからスタートを切った“伏兵”ニック・パーカット(マット・ストーン・レーシング/シボレー・カマロZL1)が、チャズ・モスタート(ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド/フォード・マスタング)を0.6142秒差で抑え切って勝利を飾ると、日曜はトーマス・ランドル(ティックフォード・レーシング/フォード・マスタング)とタイトル候補のブロック・フィーニー(レッドブル・アンポル・レーシング/シボレー・カマロZL1)がクラッシュに散るなか、キャメロン・ウォーターズ(ティックフォード・レーシング/フォード・マスタング)が今季3勝目を手にしている。

 ここ数戦で好調を維持してきた第7世代マスタングのフォード陣営だが、この週末は様相が変化し、FP1では今季移籍による心機一転からここまで存在感を発揮できずにいたデビッド・レイノルズ(チーム18/シボレー・カマロZL1)が最速発進を決めることに。続くFP2はまとまった雨量によるウエットセッションへ転じるなか、こちらもシリーズ本格復帰から苦戦を強いられてきたリッチー・スタナウェイ(ペンライト・グローブ・レーシング/フォード・マスタング)がトップタイムを記録してみせる。

 そんな結果も受け、予選トップ10シュートアウトではGMシボレー陣営との拮抗したバトルが期待されるなか、まずは新世代の王者候補であるフィーニーがウォーターズを撃破し、今季4度目のポールポジションを獲得する。対照的に選手権首位で乗り込んできたウィル・ブラウン(レッドブル・アンポル・レーシング/シボレー・カマロZL1)は、赤旗中断による影響で16番手スタートという悪夢のような予選となった。

 迎えたレース1は、スタートスティントから背後のウォーターズや王者ブロディ・コステッキ(エレバス・モータースポーツ/シボレー・カマロZL1)らを従えたフィーニーだったが、最初の義務ピット後は早めの作業を終えていた中段勢のバトルに引っ掛かり、目の前で繰り広げられるスタナウェイやジャック・ルブローク(エレバス・モータースポーツ/シボレー・カマロZL1)らの接触バトルに行手を阻まれる。

 ここで主導権を握ったのが予選4番手だったパーカットと、同5番手発進のモスタートで、残り5周の段階で2番手フィーニーを仕留めた前戦シドニー連勝のモスタートが、首位パーカットの背後に迫る。しかし周回数が足りずあと一歩が届かず。55周を走破したパーカットがF1併催メルボルン以来となる今季2勝目を挙げている。

「スピンオフするクルマが数多くいたとして、僕らに対し『運が良かっただけ』などと言う人はいないと思う」と、これでランキングでも6位に浮上したパーカット。

「僕らのクルマはトラックインした瞬間から速く、ドライブするのが楽しかった。製作とセットアップに携わった全員に感謝しても仕切れないよ。信念はここにあるし、信念があればすべてうまくいく」

「このクルマはジェット機のようだったし、背後からチャズ(・モスタート)が3輪走行で、文字どおり飛ぶような勢いで迫ってきていたとしても、レースをコントロールできると感じていたよ」

■接触で遺恨の残る結果「どこかで彼を捕まえ謝りに行く」
 明けた日曜のレース2はフォードvsシボレーの肉弾戦となり、ポールポジション発進を決めたランドルに対し、フロントロウに控えたウォーターズがオープニングラップで首位を奪っていく。

 その後、7周目にはレイノルズのシボレーが技術的な問題でコース上に停止したことでセーフティカー(SC)が導入されると、残り11周で選手権首位ブラウンとランドルのマスタングによる接触上等のバトルが繰り広げられる。

 ヘアピン進入で何度もコンタクトを繰り返し、続くバックストレートではホイールをぶつけ合いながら並走した2台は、最終コーナーへの飛び込みでふたたび接触し、コースを横切って大きくランオフへはみ出したランドルは、無線で不満を爆発させる。

 一方のブラウンは数周後にチームメイトのフィーニーをパスしてポジションを上げると、そのレッドブル艦隊の背後にランドルが急追を見せる。残り5周で先ほどのバトルの余韻が残るランドルは、ヘアピンへのブレーキングでフィーニーのリヤに激突。堪らずスピンを喫したカマロZL1に対し、マスタングには15秒加算のペナルティが与えられ、フィーニーが6位、ランドルは18位に沈む結果となってしまった。

 その前方でブラウンに対し6秒差で勝利したウォーターズとは対照的に、マシンを降りたその足でT8陣営のピットへ謝罪に向かったランドルを、首脳陣のひとりであるマーク・ダットンがガレージの外へ押し戻す光景も演じられ、謝罪の意を汲んだチーム代表のジェイミー・ウインカップが介入してなだめる場面も見受けられた。

「そうだね、ヘアピンでかなり激しくレースをしていた。ウィル(・ブラウン)はぶつかって走るのが好きらしく、ヘアピンで彼がやりたいことをやっただけだ」と直後のインタビューに応じたランドル。

「彼はコーナー出口で僕をグラスエリアに強く押しやろうとしてきた。僕が追い抜いた後、ターン6で僕にぶつかって来たような感じだった。そして明らかに彼はポジションを奪い取ったんだ。でも、フィーニーに起こったことは完全に僕の責任だった。でもウィルとの勝負がきちんとできていれば、この事態は避けられたはずだ」と付け加えたランドル。

「残り5周でターン4に入ったときにミスを犯してしまい、本当に悔しい。すべて僕の責任だ。自分以外に責める人はいないし、ここしばらくは自分を責め続けるだろう。ブロックに謝りに行きたいだけだったが、まだガレージにはいなかった。どこかで彼を捕まえ謝りに行く。それが僕にできるすべてだ。ダットー(T8のチームマネージャー)には目に見えない境界線がある。ジェイミーは大丈夫だったし、彼はいつだったOKさ。僕に出来るのは、謝って先に進むことだけだね」

 土曜のレース1では16番手発進から巧みな戦略で7位までカムバックし、日曜の2位で選手権リードを維持したブラウンに対し、同じく日曜の11番グリッドから4位まで順位を上げたモスタートが81点差で追う展開となった2024年のRSCシーズン。続く第9戦は9月14〜15日の『Sandown 500(サンダウン500)』にて、今季初の耐久フォーマット戦が争われる。

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