限定公開( 1 )
格安スーパー「業務スーパー」で「ちりめん」を購入したところ、木片や他の生物が混入していたという報告が一部ネット上で広まっている。「業務スーパー」を運営する神戸物産は当サイトの取材に対し、「弊社にて詳細は把握できておりませんが、各店舗に向けて改めて注意喚起は行っております」としている。
あるX(旧Twitter)ユーザがポストした内容によれば、8月に家族が「業務スーパー」で「ちりめん」を購入したところ、木片のほか、非常に小さな複数種の魚の稚魚やタツノオトシゴ、海老、タコ、フグのようなものが混ざっていたという。
「『ちりめん』は生のシラスを茹でた後に天日干しして製造するので、干す際にシラスを広げて置く木製の器具の一部が欠けて混入してしまったのかもしれない。また、収穫したシラスには当然ながら他の魚介類も混ざっており、通常は製造過程においてシラス以外のものは取り除くことになるが、手作業や目視チェックに頼る部分もあるだろうから完全に取り除くことはできない。最終的には商品を購入した消費者が使用する際に確認が必要となってくる。
たとえば、スーパーで砂抜き処理済みのアサリを買っても、実際に食べてみると砂が残っていることはあるし、骨抜き処理済みの鮮魚を買っても、小さな骨が残っていることはある。特に生鮮品ではこのようなことは避けられない。今回の『ちりめん』に関していえば、売られている商品のなかで5個のうち1個に木片が入っているようであれば回収などの対応が必要になってくるかもしれないが、1000個のうち1個というレベルであれば、小売店としてどのような対応を取るのかは判断が分かれるところだろう」(大手GMSチェーン関係者)
2000年に兵庫県三木市で1号店がオープンした業務スーパーは、22年には国内1000店舗を達成。積極的にメーカーを買収して生産能力を拡大させ、自社で企画・製造するオリジナル商品を拡大。国内に25拠点の食品加工工場を構え、さらに世界に約350の協力工場を持つことで圧倒的な低価格を実現し、急成長を遂げてきた。多くの店舗をフランチャイズ(FC)形式で運営し、業務スーパーは商品とノウハウの提供に注力することで低コスト経営を実現。運営元の神戸物産の業績も好調で、2023年10月期連結決算の売上高は前期比13.5%増の4615億円、営業利益は同10.4%増の307億円、経常利益は同6.7%減の300億円。毎月新規出店を重ねており、今年7月時点の店舗数は1071に上る。
|
|
ちなみに、その店名ゆえに「業者向けのスーパーで一般客も購入できる」というイメージが強いが、現在ではお客のうち業者と一般客が占める割合は1:9と一般客のほうが圧倒的に多いとされる。
そんな業務スーパーで目立つのは自主回数の多さだ。昨年8月から今年7月までの1年間だけでも、以下のとおり計20件もの自主回収が行われている。
(24年6月)
・オーツクランチ(ココア味)
(プラスチック片が混入)
・ホットク
(卵のアレルゲン表示がない、別商品が誤って混入の可能性)
・チーズホットク
(アレルゲン表示にない落花生が混入の恐れ)
・鶏屋さんのチキンカツ
(ビニール片が混入)
(同4月)
・マイカップDEヌードル ビーフ・カレー・チキン
(一括表示に記載がないアレルゲンが検出)
(同3月)
・トロサーモン(ハラス切り落とし)
(BHT<ジブチルヒドロキシトルエン>の残留が確認)
・金の鶏だし1kg・227g
(アレルゲン表示が欠落)
(同2月)
・グリーンアスパラ(ホール)
(基準値を超える残留農薬の検出が確認)
(同1月)
・紅生姜鶏から揚げ
(一括表示に記載のない着色料が検出)
|
|
(23年12月)
・ふんわりミニロールケーキ ブルーベリー風味
(基準値以上の添加物が検出)
・白身魚でつくったザクザク網春巻き」
(表示に記載のないアレルゲン検出)
・ショコトーネ
(安息香酸が検出)
(同11月)
・ひとくちがんも
(表示に記載のないアレルゲン検出)
・本格四川火鍋(麻辣ベース)
(一部商品でカビが検出)
・ハニーバターポップコーン・キャラメルポップコーン
(一部商品で使用できない添加物が検出)
(同10月)
・銀の胡麻ドレッシング ※他社製品
(一部商品が膨張)
・いちごグミ・ぶどうグミ・オレンジグミ
(一括表示に記載のない添加物が検出)
・ソフトワッフル ヘーゼルナッツチョコクリーム
(一括表示に記載のない添加物が検出)
・グリーンアスパラ(ホール)
(一部商品で基準値を超える残留農薬が検出)
(同9月)
・混ぜるだけ ビビンバの素
(一括表示に記載のない添加物が検出)
ちなみに昨年の1年間では計29件の自主回収が発生している。
|
|
「他の大手流通チェーンに比べて、商品回収の頻度が多いように思います。業務スーパーのオリジナル商品はアジアやヨーロッパをはじめとする海外の工場・メーカーからの直輸入が多く、なかなか監視の目が行き届きにくいという面はあるでしょう。発売前にどこまで現物を検査しているのかはわかりませんが、すべての商品の中身を検査することは不可能なので、検査が不完全になっている可能性もあるでしょう。
業務スーパーは安さを売りにする小売チェーンですが、食品の取り扱いにおいて品質の安全性確保は最優先すべきであり、多少のコストがかかっても取り組むべき事柄です。今の消費者は『安さ+安心・安全』を求めており、『安さ』だけでは消費者の信頼・支持を得続けることはできません」(流通ジャーナリストの西川立一氏/23年10月3日付当サイト記事より)
大手小売チェーン関係者はいう。
「全国各地で毎週のように新規出店をして拡大路線を緩める気配は見えない。ほぼ全店舗がFC店なので、本部としては出店すればするほど売上と利益が伸びることになるが、その一方で安全・品質管理がおざなりになってしまっていないかが気になる」
(文=Business Journal編集部)
|
|
|
|
Copyright(C) 2024 Business Journal All Rights Reserved. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。