「いつでも走れる環境を」=視覚障害ランナーの伴走者養成―ブラインドマラソン協会・東京〔パラリンピック〕

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2024年09月02日 14:01  時事通信社

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「伴走者養成研修会」に参加した視覚障害ランナー(左)と伴走者(中央)=7月15日、東京都新宿区
 視覚障害者の体力向上や社会参加につなげようとブラインドマラソンの普及・発展に奮闘する人たちがいる。視覚障害者のランニング機会拡大や、伴走者の養成に取り組む「日本ブラインドマラソン協会」(東京都文京区)だ。原田清生事務局長(64)は「視覚障害のある人たちが、いつでも走れる環境をつくりたい」と力を込める。

 「あと1メートルで左カーブです」。7月中旬、都内の体育館には、視覚障害ランナーに声を掛けながら走る伴走者の姿があった。この日開かれていたのは、協会が主催する「伴走者養成研修会」。男女14人が参加し、講義と実技を通して伴走への理解を深めた。

 講義では、伴走時の注意点などを紹介する動画を全員で視聴した。講師を務めた原田さんは「伴走で一番大事なのは安全の確保」とした上で「一緒に走る視覚障害ランナーの見え方を知り、どんな支援が必要か理解することが大切」と呼び掛けた。実技では、実際に視覚障害ランナーと走ることに。序盤こそ「声を掛けるタイミングが難しい」と戸惑っていた参加者たちだったが、講師らのアドバイスを受け、次第に具体的な指示を出せるようになっていった。

 原田さんは「喜びが2倍になって、苦しさは分け合える」と伴走の魅力を語る。一方で、伴走者の養成や確保には難しさも伴うという。

 例えば、協会では毎月第1日曜日に代々木公園(渋谷区)で伴走練習会を開催している。ただ、参加しても走りたい距離やペースに合う視覚障害ランナーがいなければ、伴走できない場合もある。「何度足を運んでも一緒に走れる視覚障害ランナーがいなければ、興味を持ち続けてもらうのは難しい」と原田さんは残念がる。

 視覚障害者が走るとき、伴走者の存在は欠かせない。解決策を模索する日々が続くが、「視覚障害ランナーが『走りたい』と思ったときにいつでも走れる環境」(原田さん)をつくるため、今後も活動を続けていくつもりだ。 

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