今回は、寡婦年金について説明します。
Q:62歳、夫が亡くなり遺族年金をいただいていますが、「寡婦年金」ももらえるのでしょうか?
「主人が亡くなったときに、私は48歳でした。子どもたちは成人していました。以後、遺族年金をいただいていますが、【寡婦年金】とやらを耳にしました。あなたコレをもらい損ねているんじゃないの?と、助言されたのですが、実際のところどうなのか教えていただけたらと思い、質問させていただきました。私は【寡婦年金】をもらえるのでしょうか? 私は、今年62歳になります。よろしくお願いいたします」(凛湖さん)A:相談者の夫はおそらく会社員かと思いますので、相談者は寡婦年金は受け取れません
国民年金もしくは厚生年金に加入していた人などが亡くなったときに、その人に生計を維持されていた遺族は、遺族年金を受けることができます。遺族年金には、亡くなった人が加入していた年金制度によって、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があります。遺族基礎年金、遺族厚生年金を受け取るには受給要件があり、亡くなった人に年金の加入状況などによって、いずれか片方、もしくは両方の年金が支給されます。
遺族基礎年金は、国民年金の加入者が亡くなった時点で、18歳になった年度の3月31日までの子、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態の子がいたときに支給される年金です。
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死亡日の前日において自営業などの国民年金の第1号被保険者で、保険料を納めた期間(免除期間含む)が10年以上ある夫が亡くなったときに、下記の条件に当てはまる妻は60歳から65歳になるまでの間、寡婦年金を受給できます。
<条件>
・その夫と婚姻関係(事実上の婚姻関係を含む)が10年以上継続している
・死亡当時にその夫に生計を維持されていた
亡くなった相談者の夫が厚生年金加入者だったとなると、国民年金の第1号被保険者ではなく第2号被保険者になるかと思いますので、寡婦年金は受け取れません。
寡婦年金と間違えやすいもので、「中高齢寡婦加算」というものもあります。夫が死亡したときに妻が40歳以上で、子がいない場合、妻が40歳から65歳になるまでの間、中高齢寡婦加算(定額。令和6年度の中高齢寡婦加算は61万2000円)が遺族厚生年金に加算されます。妻が65歳になると自分の老齢基礎年金が受けられるため、中高齢寡婦加算はなくなります。
相談者は夫が亡くなったとき48歳とのことですので、助言されたのは「寡婦年金」のことではなく、「中高齢寡婦加算」のことではないでしょうか。年金事務所に確認してみましょう。
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都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
(文:All About 編集部)