「プロデューサーの貴島彩理さん(『おっさんずラブ』ほか)とお話ししたときにすごく意気投合しました。“これは面白くなる!”と思いましたし、原作も脚本も読ませていただくとやはり面白くて、噴き出すことも(笑)。“早く撮影に入りたい”とずっと楽しみにしていました」
と語るのは塩野瑛久。
実年齢は表現の枷になるような気がする
10月11日からスタートするドラマ『無能の鷹』で鶸田道人を演じる。
「“弱い鳥と書いて鶸田”という自己紹介があるので、ぜひみなさんにも名字とその響きを覚えていただけたらうれしいな」
印象が薄く、就職活動がうまくいかない鶸田がITコンサル会社の面接で見かけたのは、“超デキるオーラ”がまぶしい鷹野ツメ子(菜々緒)。晴れて同僚となるも、鷹野は想像を絶するレベルのポンコツだった……!
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「鶸田には、すごく共感します」
やや意外な答えが返ってきた。学生のときは引っ越しが多く、友達づくりや集団行動は苦手。絵や漫画を描きながら、こもっているタイプだったという。
「一生懸命やってはいるけど“前に出たらばかにされるんじゃないか”と思ったり。僕はそういう人間だったので。プレッシャーに弱く、実力を発揮できないのが鶸田の悩み。僕も俳優になりたてのころは緊張しやすく、準備してきたことがオーディションでできなかった経験もあるので。
意識して自分を変革しようとするところなど、根本にあるものは似ているのかな。ただ、鶸田はみんなが右を向くって言ったら仕方なく右を向きそう。僕はすべての物事を客観視して、迎合したくないと思うほうだから、そういう意味ではちょっと違うのかもしれないです」
やらせてみれば実は優秀な鶸田と“社内ニート”の鷹野。営業でタッグを組むと不思議なミラクルが次々と……!
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放送中の大河ドラマ『光る君へ』では一条天皇を好演。“美しすぎる天皇”と話題に。
「やっぱり多くの方に見ていただいている。幅広い世代の方に声をかけていただくことが増えたな、と肌で感じています。とはいえ、SNSの数字がわかりやすく伸びるとか、そういうこととはまた別物のようです(笑)」
世間の反響に、大きな手ごたえをつかんだのでは?
「そうですね。舞台、映画、ドラマ……やっぱり今までなんだかんだ“歴”は積んできたと思うので」
芸能界入りのきっかけは『ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』('11年)、翌'12年に俳優デビュー。そのキャリアは12年になる。
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「大河ドラマは、自分のことを知らない世代の方に初めて僕のお芝居を見ていただく機会になったと思います。その方々に恥ずかしくないものをお見せできる積み重ねは、今までできていたんじゃないかなと思っています。ひとつひとつの仕事に対して常に全力でぶつかって得た経験というか」
現在29歳、来年1月に30歳を迎える。大人の俳優へと歩みを進める中、描いている理想像は?
「“もう30代”とか、あんまり意識していないんです。例えばプロフィールに年齢が添えられることはよくあるけど、“意味あるのかな?”って思う。俳優はいろんな年齢の人物を演じるので、実年齢は表現の枷になるような気がするんですよね。
ただ、いい年の取り方はしたいです。多分、俳優って自分の中身や考えていること、素の部分などをさらけ出すことで魅力的なお芝居につながると思うので。取り繕うわけではなく、自分の年齢といい意味で向き合ってやっていくのがちょうどいいのかなと思っています」
行き詰まったら、何する?
鶸田は仕事などに煮詰まると、コロッケを揚げ続けるクセがある。行き詰まりを感じたときにやることはある?
「ちょっと前まではサウナとか。でも、忙しくてまったく行けていなくて。最近はマッサージかなぁ? 日々の疲れをリフレッシュしています」