自民党総裁選で勝利した石破茂氏。第102代内閣総理大臣に指名され、石破内閣が発足しました。石破茂氏は「未確認異常現象」を考える超党派議員の集まり、通称「UFO議連」にも参加しています。総理になったら「UFO議連」の活動に変化があるのか、国の代表として宇宙人対策にもっと真剣に取り組まれるのか、注目していきたいです。
そんな石破茂氏は、陰謀論界隈でもかなり期待を集めています。それは石破という名字に由来しています。「石を破る→石屋(フリーメイソン)を破る」と解読され、フリーメイソンやイルミナティ、ディープステイト(闇の政府)の支配を終わらせる存在、とXなどでは盛り上がっていました。「石屋を破る救世主」で「ロックフェラーを粉砕する」使命を持っているとか。ちなみに9人の候補者から選出された「9」は「Q」に通じ「Qアノンの計画」を示すそうです。やはり陰謀論界隈の人の想像力はすごいです。情報筋によると、石破茂氏は「ホワイトハット」、トランプ氏と同じく「光の戦士」とのこと。
だんだん救世主の様相を帯びてきましたが、石破という名字は「石橋」が由来という説があるので、どちらかというと石業界の名字かもしれません。そして石破茂氏の母方の大叔父は、日本のフリーメイソンのグランドマスターでした。結局どちら側の人間なのでしょうか。今後の実績によって判断するしかなさそうです。
石と何かと縁がありそうな石破茂氏ですが、以前、ご本人に似ている石を発見して名付けたことがありました。2017年に「秩父珍石館」という施設を取材。国内外の珍石、奇石、人面石が展示されていて、石好きとしても外せないディープなスポットでした。初代館長で愛石家の羽山氏が長年かけて集めた人面石コレクションは、似ている人の名前が付けられていて、「都はるみ」「坂本冬美」「五木ひろし」「エリツィン」「ザキヤマ」「瀬戸内寂聴」「佐村河内守(さむらごうち・まもる)」といったキャプションが付いていました。「名前がまだ付いていない石の名前を考えたら展示しますよ」と、現館長さんにムチャぶりされ、その場で石の一つに「石破茂」と名付けさせていただきました。石だから、石破…という安易な発想と、四角っぽい顔がどことなく似ていたので命名。「石破茂」とキャプションがついた石は、今も珍石館に展示されているのでしょうか。総理になったので、少しは目立つ場所に置かれていることを願います。
【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No. 42からの転載】
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辛酸なめ子(しんさん・なめこ)/ 漫画家、イラストレーター、コラムニスト。1974年東京都生まれ、埼玉県育ち。武蔵野美大短期大学部卒業。著書に「女子校育ち」(筑摩書房)、「スピリチュアル系のトリセツ」(平凡社)、「電車のおじさん」(小学館)、「大人のマナー術」(光文社新書)など多数。7月に「川柳で追体験 江戸時代 女の一生」(三樹書房)を上梓。