前回からの続き。私(メイコ)は、夫と小学生と幼稚園児の息子(ナオト)の4人家族。穏やかで優しい夫に見守られ、毎日幸せに過ごしていました。息子たちも、明るく優しくスクスクと育ってくれており、今が一番幸せと思える毎日を過ごしています。しかし私には過去にいじめられた経験があります。小中学校のクラスメイトであった「工藤タクヤ」に、ずっと悪口を言われ、蔑まれていたのでした。こんな世界から一秒でも早く抜け出したい。その一心で、高校は遠方の進学校へ。都内の大学に進学し、自分の人生から工藤タクヤを消して生きてきました。穏やかで順調な毎日を過ごしている中で、出会ったアンナさん親子。すっかり意気投合したのに、アンナさんが工藤タクヤの奥さんであるということが発覚してしまうのです。その事実は私の平穏な暮らしを一変させました。できることなら関わらないで生活をしたい。そうアンナさんに伝えたのでした。
大丈夫……大丈夫。そう深く息を吸いながら、自分自身に言い聞かせていました。このことは夫にも話しています。
「このままだと、小学校も一緒なんだろ? まったく関わらないで生活するっていうのも……厳しくないか? いざとなったら引っ越しとかも検討するからな」
私に寄り添って考えてくれる夫には本当に感謝しています。
本当なら遠くへ引っ越したいけれど……私はいつまで「工藤タクヤ」から逃げないといけないのでしょうか。いつまで彼に怯えて暮らさないといけないのでしょうか。
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そんなある日、幼稚園のお迎えに行くと門の前に保護者が集まっていました。
近くにいた保護者に「何かあったの?」と聞くと……。
「アサヒくんが、お父さんの急な転勤で引っ越すことになったんだって」
え……保護者たちは「えー寂しい」「急だったね」「元気でね」そう声を掛けています。アサヒくんとアンナさん、そして最後ということで工藤タクヤも来て先生に挨拶をしていました。
「メイコさん!!!」
私を見つけたアンナさんが近づいてきます。工藤タクヤも一緒です。
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突然の引っ越しに正直驚きました。でも……。
「これでもう工藤タクヤに会わずに済む」
と思うとホッとしている自分がいるのも事実でした。
寂しがるナオトを前に、親としての情けなさと申し訳なさを感じます。
いじめは、やられた方に深い傷を負わせます。
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少なくとも、工藤タクヤは自ら私から離れてくれました。
その分だけ、きっと彼も大人になったのだなと思います。
子どもたちが同じ想いをしないように親として見守っていきたいです。
原案・ママスタコミュニティ 脚本・渡辺多絵 作画・よし田 編集・石井弥沙