中国AYANEOが液晶付きミニPCやポータブルゲーミングデバイスの新製品を一挙発表

0

2024年11月21日 12:31  ITmedia PC USER

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ITmedia PC USER

「Pocket DMG」を手にするAYANEOのアーサー・チャンCEO

 中国の深センに拠点を構えるゲーミングデバイスメーカー「AYANEO(アヤネオ)」が、Androidゲーミングデバイスの国内投入を発表した。縦型デザインの「AYANEO Pocket DMG」、7型有機ELディスプレイ搭載の「AYANEO Pocket EVO」と、既存モデル「AYANEO Pocket S」の新色などだ。


【その他の画像】


 その多くは、過去に発売された“何か”を思い出させるような外観をしている。しかし、AYANEOのアーサー・チャンCEOは、「(過去の他社製品を)オマージュはするがパクリはしない」と語る。この記事では、チャンCEOが語った新製品の見どころを紹介する。


→速報記事


●“クラシック”を再定義する「Pocket DMG」


 「真のゲーマー、ゲーマーを知る」(Real gamers know gamers)――これがAYANEOの理念だ。チャンCEO自身、100台以上のMD(ミニディスク)プレーヤーを所有し、ソニーの工業デザインに関する本を執筆したという経歴を持つ、コアなガジェットファンだ。


 そんな彼が率いる同社が、満を持して投入したのが初代ゲームボーイから着想を得た「Pocket DMG」だ。


 「感覚的に似せているが、形は全く似せていない」というチャン氏の言葉通り、Pocket DMGはゲームボーイを想起させながらも、独自の“美学”を備えている。


 物理ボタンとタッチ操作の融合、クラシカルな外観と最新テクノロジーの調和など、随所にAYANEOのクラフトマンシップが光る。チャンCEOによると、Pocket DMGはゲームボーイだけでなく、ソニーのMDプレーヤーやのPDA「CLIE(クリエ)」など、往年のガジェットからも着想を得ているという。言われてみると「なるほどな」と思うポイントも見受けられる。


 ゲーム機として見た場合の本機は、3.92型有機ELディスプレイ(1240×1080ピクセル)と、QualcommのSoC「Snapdragon G3x Gen 2」を組み合わせていることが特徴だ。


 ディスプレイは419ppiの高精細で、アスペクト比と解像度はレトロゲームの表示に最適なものを選定したという。有機ELの特性を生かして、画面の非表示部分(黒枠)が目立たないため、表示された画面への没入感は高い。


 「縦型ゲーム機で2つの物理スティックを搭載すると不細工になる」というチャンCEOの美意識から生まれた独自のソリューションが、左ジョイスティックの左側にあるタッチパッドだ。半年の開発期間を経て、物理スティックに迫る操作性を実現したという。


 左側面に配置された「マジックスクロールホイール」も、単なるボリューム調整ホイールを超える機能を持つ。日本の部品メーカー「アルプスアルパイン」製のこのホイールは、長押しでメニューの呼び出し、回転で項目選択、クリックで決定という多機能な操作系を実現している。画面輝度や冷却ファンの回転数、振動強度など、さまざまな設定をその場で調整できる。


 Snapdragon G3x Gen 2は、ゲーミングデバイスでの利用を想定したSoCだ。それだけに、システムに高い負荷がかかり続けると発熱が大きくなる。


 その点、Pocket DMGでは約1万3300mm2の大型冷却機構により、Snapdragon G3x Gen 2の性能を最大限に引き出せるようにしている。手持ちのレトロゲームをエミュレーターを介して遊ぶ際はもちろん、最新のモバイルゲームもストレスなく動く。


 バッテリーの容量は6000mAhで、レトロゲームなら10時間以上のプレイが可能だという


 Pocket DMGは2025年1月31日の発売予定で、価格は8GB/128GBモデルが8万4800円、16GB/512GBモデルが10万9800円、特別なレトロカラーモデル(16GB/1TB)が12万4800円となる。通常モデルのカラーはムーンホワイトとアークティックブラックから選べる。


 なお、本製品を12月1日までに予約して購入すると、本体価格が5%引きとなる。また予約特典として専用メッシュケース、液晶ガラスフィルム、ジョイスティックキャップが付属する。


●3〜4年かけて実現した「夢」を搭載した「Pocket EVO」


 「Pocket EVO」は、世界初となるフルHD(1920×1080ピクセル)の7型有機ELディスプレイを搭載し、最大165Hzのリフレッシュレートと最大800ニトの輝度、HDR対応により、モバイルゲーミングの新次元を切り開くという。チャンCEOによれば、このディスプレイは「3〜4年かけて実現した夢」だという。


 本製品で注目すべきは冷却設計だ。本製品もSoCとしてSnapdragon G3x Gen 2を採用しているが、大型の冷却ファンを搭載することでその性能を長時間持続させることが可能だ。


 この冷却ファンは、特にPC用エミュレーターを稼働する際に真価を発揮するという。一部ユーザーは、PCゲーム「グランド・セフト・オートV」のPC版をフルHD(1080p)で動作させることにも成功しているという。


 振動機能にも独自の工夫が施されている。Nintendo Switchと同じリニアモーターを採用し、4種類の振動モードを実装。さらに「SoundTAPMagic」という独自機能により、バイブレーション非対応のモバイルゲームでも、ゲームサウンドを解析して適切な振動フィードバックを生成できる。


 8600mAhの大容量バッテリーを搭載しつつも、重量は500g未満に抑えられている。ベゼルレスデザインによる視認性の高さと相まって、長時間のゲームプレイでも快適な使用感を実現した。


 本製品は2025年2月7日発売予定で、価格は8GB/128GBモデルが8万9800円、12GB/256GBモデルが10万4800円、最上位の16GB/512GBモデルが11万9800円で、スカイホワイトとスターリーブラックの2色展開となる。


 なお、本製品を12月1日までに予約すると、本体価格が5%引きとなる。また予約特典として液晶ガラスフィルムとジョイスティックキャップが付属する。


●「Pocket S」には新色


 既存モデルの「Pocket S」には、新たに「さくらピンク」と「レトロパワー」の2色を追加する。特にさくらピンクは、増加傾向にある女性ゲーマー層を意識したカラーリングだという。


 Pocket Sは、先に紹介した2つの新モデルと同様にSnapdragon G3x Gen 2を搭載するAndroidベースのポータブルゲーミングマシンで、ディスプレイ部分とベゼル部分が一体成形されたガラスとなっている。ディスプレイは6型IPS液晶で、解像度はフルHD(1920×1080ピクセル)とWQHD(2560×1440ピクセル)の2種類が用意されているが、今回の新色はWQHDパネル構成の新ラインアップとして登場する。


 新色は2025年1月31日発売で、価格は12GB/128GBモデルが8万9800円、16GB/512GBモデルが11万4800円、16GB/1TBモデルが119800円。予約特典として専用ハードケースが付属する。


●レトロMacに着想を得た「AYANEO Retro Mini PC AM01」の第2世代も登場


 先に紹介したPocket DMGは、レトロデザインを現代解釈するという「AYANEO Remake」プロジェクトから生まれた製品だ。今回、本プロジェクトから2つの製品が天空を通して販売されることになった。


 その1つが、クラシックMacをモチーフにしたミニPC「AYANEO Retro Mini PC AM01S」だ。日本では先代の「AYANEO Retro Mini PC AM01」がリンクスインターナショナルを通して販売されたが、その後継モデルということになる。


 先代からAPU(GPU統合型CPU)がパワーアップされ、TDP(熱設計電力)が65WのRyzen 8040HSシリーズが搭載されている他、本体にWindowsからセカンドディスプレイとして認識される4型の「ミニディスプレイ」も備えている。ポート類も大幅に強化され、ミニPCとしての実用性が高まっていることが特徴だ。


 日本で販売されるモデルの仕様は、発売が近づいたタイミングで追って発表される予定だ。


●SFの世界観を取り入れた外付けGPUボックス「AG01 Starship」も


 AYANEO Remakeプロジェクトからは、映画「Moon」から着想を得たという宇宙船をモチーフとしたデザインの外付けGPUボックス「AG01 Starship Graphics Dock」も発売される。SF映画愛好家でもあるチャンCEOは「宇宙船は冒険の始まりであり、エネルギーの塊である」と語る。製品名の“Starship”にも、そんなSFロマンが込められている。こちらは2024年内から2025年初頭にかけての発売を予定している。


 搭載されているGPUはAMDの「Radeon RX 7600M XT」で、PCとはUSB4(Thunderbolt 3/4)端子、またはOcuLink端子を介して接続する。USB4端子については、最大100WのUSB PD(Power Delivery)電源出力をサポートしている。


 映像出力はDisplayPort 2.0×2とHDMI 2.1×2を備えている。「Graphics Dock」の名の通り、本製品はドッキングステーションとしての機能も備えており、USB4接続を行った場合はUSB 3.2 Gen 2 Standard-A端子、有線LAN(1000BASE-T)端子とSDメモリーカードリーダーも利用可能だ。


 底面にはPCI Express 3.0規格のM.2スロットも備えており、ここにPCI Express接続のSSDを搭載すれば、外部ストレージとして活用できる。なお、このスロットはOCuLink接続時でも機能する。


●新型「AYANEO 3」は12月に発表


 チャンCEOが「12月により詳しい内容の発表会を予定している」と明かしたのが、Windows搭載の次世代ポータブルゲーミングPC「AYANEO 3」だ。


→AYANEO、Ryzen AI 9搭載モデルも用意した7型ポータブルゲーミングPC「AYANEO 3」を正式発表


 AYANEO 3は7型液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイを搭載しており、APUはRyzen 7 8840UまたはRyzen AI 9 HX 370から選べる。APUにはNPU「Ryzen AI」も搭載しているので、Ryzen AIに対応するアプリではAI関連の処理パフォーマンスの向上も期待できる。


 特筆すべきは2年の開発期間を費やしたという音響システムで、スピーカーを側面から正面に移設し、より高品質な音質を実現している。従来モデルで好評だった背面ボタンも改良され、AAAタイトルとレトロゲーム向けにボタン配列を切り替えられる機能を搭載するという。


 この他、発表会では現行のポータブルゲーミングPC「AYANEO AIR 1S」をベースにした「百英雄伝」とのコラボレーションモデルも紹介された。特別なデザインが施された限定モデルは即完売となったそうだ。なお、本モデルの日本での発売は予定されていない。


 さらに、スーパーファミコンのデザインから着想を得たモバイルバッテリー「AYANEO Retro Power Bank」も開発中だ。小型ディスプレイで電力供給状況を確認できる本製品は、自社のWindows搭載ポータブルゲーミングPCと同じバッテリーセルを採用し、安全性を重視しているという。


 日本への導入も検討されているようだが、「PSE認証」の関係で時期は未定だ。


 AYANEOはAndroidゲーミングデバイスだけでなく、PC向け製品の開発も精力的に進めている。特にWindows搭載ポータブルゲーミングPCでの実績を生かした製品群に加え、レトロ機器へのリスペクトとモダンテクノロジーを融合させた幅広い製品展開を見せている。



    ランキングIT・インターネット

    前日のランキングへ

    ニュース設定