宮田莉朋が語る「SF王者としてリスペクトしてくれた」ゼイン・マローニ/FIA F2第14戦プレビュー

0

2024年12月04日 08:50  AUTOSPORT web

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AUTOSPORT web

2024年FIA F2第13戦ルサイル 宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)
 11月29日〜12月1日に開催された2024年FIA F2第13戦。フィーチャーレースで6レースぶりの入賞を果たした宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)は、「ルサイルは昼と夜に走行があり、路面温度もかなり上下したので、セッションごとにクルマから感じとれるグリップ感が変わるという難しさもありました」と、レースウイーク明けに行われた取材会で振り返った。

「ハイスピードコーナーが多く、特にセクター3はタイヤを使いすぎるとレースでは厳しくなるレイアウトでした。ただ、逆に予選は走行初日だったこともあってか、走れば走るほどタイムが上がりました」

「予選は日没後の走行で路面温度も低めでしたが、F1のフリー走行後で路面にラバーが乗ったこともあり、タイヤのデグラデーション(性能劣化)もあまり感じませんでしたね」

 宮田はフリー走行を10番手で終えるも、予選は苦戦し15番手に。しかし、スプリントレースでは果敢に前方のライバルにオーバーテイクを仕掛け7番手でチェッカー。ただ、混戦のさなかでの接触により2度のペナルティが科せられ、最終結果は13位となってしまった。

 それでも、スプリントレースで見せた好走ぶりは荒れたフィーチャーレースでも発揮され、タイヤ戦略的に不利な状況となるも耐え切って10位でチェッカーを受け、6レースぶりのポイントを持ち帰ることが叶った。

「レースは予選とは真逆で、タイヤのデグラデーションが厳しかったので、どこまでタイヤへの負担を減らせるクルマを作れるか、タイヤに負担があっても走り切れるクルマの作り方という部分の技量が求められました。また、意外とオーバーテイクもできたので楽しいサーキットでした」と宮田は振り返った。

 今回のルサイル戦は、宮田のチームメイトのゼイン・マローニにとってFIA F2ラストレースでもあった。ザウバー育成ドライバーとしてFIA F2フル参戦2年目を迎え、第12戦バクー終了時点ではシリーズランキング3位につけていたマローニ。そんなマローニはローラ・ヤマハABT(アプト)に加入し、2024年/2025年シーズン11からABB FIAフォーミュラE世界選手権に参戦する。

 ただ、フォーミュラEの開幕戦サンパウロE-Prixが、FIA F2最終戦/第14戦ヤス・マリーナとバッティングしたため、マローニはルサイルを最後に慣れ親しんだFIA F2のパドックを去ることになった。改めて、宮田にとってマローニというチームメイトはどのような存在だったのだろうか。

「シングルシーターのレースにおいて、1番のライバルはチームメイトだと思っています。どんなに調子が良かったり、どんなに悪かったりしてもチームメイトよりも速ければその先のチャンスはあると、自分の中でそう思いながらこれまでのレースキャリアを戦ってきました。2024年シーズンはFIA F2参戦1年目で、練習走行の時間も少ない状況だったので、チームメイトの経験やデータを参考にして戦うしかないというシーズンでした」と、宮田。

「そういう状況でも、チームメイトが同じ日本人だったら話もしやすいとは思うのですけど、僕はヨーロッパ1年目で、外国籍のチームメイトと経験やデータの話をしても、どこまで本当なのかという判断ができません。また、チームメイトといえど自分が積み上げてきた経験やデータについて話したくないという人もいます。その点はすごく不安でしたが、ゼインはそういうことはなく、出会った当初から僕のことをスーパーフォーミュラのチャンピオンとしてリスペクトしてくれていました」

「日本のレースに対しても興味を持ってくれたり、僕の今までのレースのやり方、彼のやり方をお互いにオープンマインドで話ができ、僕にとってはすごく助かりました。今回のルサイルはお互いに初走行だったので、初走行同士で『このコーナーは難しい』とか『あそこはこう走ればいいんじゃない?』という話ができたのは、僕にとっては嬉しかったし、楽しかったですね」

 そんなマローニとフィーチャーレース終了後撮影された2ショット写真は宮田のInstagramで見ることができる。

「ゼインとは『お互いに頑張ろう』と話しました。また、僕のことをリスペクトしてくれているためか『君は絶対にFIA F2で成功できると僕は感じている』と言ってくれました。僕は日本で戦っていたころから変わらず、オープンマインドでチームメイトに接してきたつもりです。今年、僕というチームメイトとオープンマインドで言葉を交わせたことが、彼にとってもいい経験になっていたらいいなと、そう感じた週末でした」

 次戦ヤス・マリーナはFIA F2、そしてF1にとっても2024年シーズンの最終戦となる。そんな一戦でTOYOTA GAZOO Racingでは宮田の先輩にあたる平川亮がマクラーレンからFP1に出走することが発表された。

「F1の公式セッションで平川選手の走りを見ることができるのは楽しみです。ただ、僕もFIA F2の準備があるのでリアルタイムに状況を追えるかといえば厳しいのですけど、平川選手の走りを見て、僕もFIA F2をどう頑張ろうかを考えたいと思います」と、宮田。

 そして取材会の最後、宮田にヤス・マリーナでの目標を聞いた。

「ルサイルは予選で少し苦戦しましたが、チームメイトより前で終えることができました。スプリントレースもペナルティがあり、入賞には届きませんでしたがレースペースも悪くはありませんでした。フィーチャーレースでの入賞も踏まえて『周りと同じスタート位置、経験値であれば戦える』としっかりと感じることができました」

「ヤス・マリーナは2023年のポスト・シーズン・テストで走りましたが、実戦での経験はありません。まずは予選からトップ10に入り、スプリントレースもフィーチャーレースもともにポイントを獲ることが最初の目標で、最大の目標は優勝です。少なからずポイントを獲って、いいかたちでシーズンを終えたいと思います」

 2024年のFIA F2、次戦となる第14戦/最終戦は、12月6〜8日にアブダビのヤス・マリーナ・サーキットで行われる。宮田にとってFIA F2参戦1年目の集大成となる一戦だけに、未来に繋がる走りを楽しみにしたい。

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定