12月3日は国際障害者デーだった。そして12月9日まで日本は「障害者週間」だ。視覚・聴覚障害者の暮らしに関する調査(花王)によると、障害のある人に対する「できないだろう」という先入観が当事者に悲しい思いをさせている実態などが浮かび上がった。善意での手伝いではあっても、まずは思い込みを排してきちんとコミュニケーションをとる必要であることが分かる。
「生活者の意識と行動に関する調査」は、9月に首都圏在住の20〜70代の3600人に、「視覚障害者・聴覚障害者の暮らしに関する調査」は5月に視覚、聴覚いずれかに主な障害のある436人を対象に実施。「困っている人がいたら声をかけるようにしている」人は63%。逆にコミュニケーションで困難を感じる障害者は4割で、職場での配慮に満足している人は3割前後。浮かび上がったのは、周囲の理解不足や無意識の思い込みによって生じる課題だった。「見えないからできないと思うと勝手に判断され、悲しい思いをした」「聴者と行動していると、自分のことでも自分に話しかけてもらえず、自分が無力な存在のようで悲しい気持ちになる」などだ。
視覚・聴覚障害と一口にいっても、見えない、聞こえない程度は人それぞれ。白杖や補聴器、手話を使っている人だけでなく、外見からはわからないケースも多い。マスクを取って口を見せて話すことや、筆談、音声認識アプリなどのデジタルツールを活用する方法もある。「伝えられない」と思い込むのではなく、まずはコミュニケーションをとってみることが大切だ。
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