〈JR〉往復乗車券2026年3月廃止へ 駅で切符を買わない文化が定着、徐々になくなる「昭和の鉄道ルール」

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2024年12月04日 14:50  リアルサウンド

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photo:shuken nakamura(unsplash)
■往復割引って何?

   JRグループは、2026年3月で往復乗車券を廃止すると発表した。同時に、“往復割引”もなくなることが決まった。SNS上では鉄道ファンを中心にまたまた騒動になっているが、一方で「往復割引って何?」という意見も聞かれる。みどりの窓口で切符を買う人が減少している今、切符のルールを知らない人が増えているのだろう。


 往復割引とは、片道601キロ以上の距離を往復する場合、往路(ゆき)と復路(かえり)の運賃(乗車券)がそれぞれ1割引になる仕組みである。例えば、東京から岡山を移動する場合、片道601キロ以上あるため、往復割引の対象になる。したがって、行きと帰りをばらばらに買うよりも、往復乗車券として買っておいたほうがお安くなるのである。


 ただ、SNSでもよく話題になるのだが、往復乗車券の存在や往復割引のルール自体を知らない人が多いので、しばしこんな騒動が起こる。みどりの窓口で、客が東京から新神戸までの新幹線の往復乗車券を買おうとしていた。窓口の職員は気を利かせて「この先の西明石駅まで買うと、切符が安くなりますよ」とアドバイスする。


 東京から新神戸の片道は、ギリギリ601キロを超えない。ところが、西明石までなら601キロ以上なので往復割引の対象になり、千数百円少々安くなる。切符のルールを熟知している職員が、少しでも客がお得に新幹線を利用できるように配慮してくれたのだと思う。ところが、客は職員の言う意味がわからない。そのため、以下のような会話が展開される。


客「なんで、先まで買う必要があるんだよ!」
職員「往復割引という制度があって、西明石までの乗車券を往復で買っていただくと、お安くなるのです」
客「俺は新神戸まで行きたいの!」
職員「その場合でも、切符は西明石行きですが、新神戸で降りてもいいんです」
客「????????????」
職員「いかがいたしましょう」
客「新神戸までほしいんだよ! わけのわからないことを言うな!」
職員「申し訳ございません」


■難しい切符のルール


 この区間の切符は途中下車ができるため、新神戸で降りて、その先の切符は使わずに破棄してもいいのだ。そして、帰りの切符は券面に西明石から東京までの区間が印字されているが、途中の新神戸から乗ってもいい。しかし、こういったルールはなかなかわかりにくい。切符は券面に書いてある駅から使わないといけない、と考えている人は多いだろう。


 この場合、職員はおとなしく、客が言うとおりのルートで発券するのが正解だと思う。そもそも、乗車券と特急券の違いをわかっていない人だって多い。切符のルールはとにかく複雑であり、誰もが鉄道ファンのようにルールを把握しているわけではないのであるし、鉄道ファンも間違って覚えていることがある。


 往復割引に鉄道ファンからは残念がる声が多く寄せられているが、JRグループは廃止の理由として「発券することが少なくなっているため」と説明する。新幹線の切符などはスマホでは予約することが増えている現在、そうした制度の存在そのものを知らない人が多くなっている証拠といえるのかもしれない。



このニュースに関するつぶやき

  • 利用客も知らないとしても駅員の言うことに耳を傾ける余裕がないのか・・。残念なことだ。 運賃体系もひところに比べ、複雑になりすぎたようだ。
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