2000年――もう四半世紀近く前の話だ。
現在50代の女性・Tさんは当時、幼い2人の子供を連れて電車に乗っていた。
長時間の乗車の疲れからか、2人は降りる駅に近付いてもぐっすり眠って起きなくて......。
<Tさんからのお便り>
2000年の秋のことです。その日は片道2時間半ほどかかる私の実家へ、4歳と1歳半の子供たちを連れて日帰りで行っていました。
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帰りに乗った通勤ラッシュより前の時間の京浜東北線。長い時間揺られていたため、座っていた子供たちはぐっすり。
あと二駅で降車という所で子供たちを起こそうとするも全く起きません。
下の子も歩けるので、抱っこ紐などは持ち合わせておらず、かなり焦って起こそうと頑張ったのですが起きなくて......。
エレベーターもエスカレーターもない駅で
降車駅の川崎駅はもう川を渡ったらすぐ。その時、近くに座っていた女性に声をかけられました。
「私も降りるから、1人抱っこしましょう」
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1人をおんぶして1人を抱っこしたことはありましたが、それも子供達が起きていた時のこと。
寝ている子供達2人は私1人ではどうしようもなく、その女性の言葉に甘えることに。
女性客の厚意に甘えることに(画像はイメージ)
当時の川崎駅はホームから改札口までは階段だけで、エスカレーターもエレベーターも無かったのです。
本当にその女性には申し訳なかったのですが、体重の軽い下の子を彼女に任せ一緒に運んでもらいました。
女性は子供を下ろした後、ホームの方へ
あと少しで改札口というところで、子供達が2人とも起きました。
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すると、その女性は下の子を下ろし、「では、私はここで」と言って、ホームに戻っていってしまったのです。
多分彼女の降車駅はここではなかったのでしょう。
女性は再びホームへ(画像はイメージ)
申し訳なく、何よりもありがたく、その時は「ありがとうございました」と頭を下げることしかできませんでした。今思えばお名前をお聞きしておけばと悔やまれてなりません。
あの時はありがとうございました。
私もいつか困っている人が居たら助けてあげられる人になろうと思い、54歳で資格をとり、現在保育士をしています。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな誰かに伝えたい「ありがとう」や「ごめんなさい」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
Jタウンネットでは読者の皆さんの「『ありがとう』と伝えたいエピソード」「『ごめんなさい』を伝えたいエピソード」を募集している。
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