最終戦のF1第24戦アブダビGPに角田裕毅が所属するRBは、アップデートパーツを投入してきた。
国際自動車連盟(FIA)によれば、持ち込まれた新パーツはフロントウイング。メインプレートとフラップ、そして翼端板が新しくなっているという。チームによると、「フロントウイングの荷重配分が変更され、空気の流れが改善されているということだ。
金曜日のフリー走行1回目に岩佐歩夢が走らせたマシンに、その新しいフロントウイングが装着されていた。その岩佐のマシンに空力のデータ取りを行うレーキが装着されていたのは、新しくなったフロントウイングから流れてくる空気の流れを確認するためだった。
さらに岩佐はセッション序盤に計測ラップをまったく行わずに、ピットインとピットアウトを繰り返し、そのたびにフロントウイングのフラップを調整していた。これは岩佐がオーバーステアやアンダーステアに悩まされていたわけではなく、ジョナサン・エドルズ(リライアビリティマネージャー)によれば、「セッション前から予定していたプログラム」だった。フラップの上げ下げによって、空気の流れがどのように変わり、ドライビングにどう影響するかをテストしていたのである。
その新しいフロントウイングの使用は金曜日で終了。土曜日のフリー走行3回目からRBは従来のフロントウイングに戻した。これはアップデートに失敗したのではなく、「来年の開発のために金曜日に走らせて、データ取りをした」(角田)からだった。
2025年のためのデータ取りを行いながらも、角田とRBは着実にマシンをセットアップしていった。
「セッションが進むごとにクルマがよくなっていった」と言う角田。フリー走行3回目は11番手だったが、これは予選に向けてソフトタイヤを1セット温存したためだと思われる。
フリー走行3回目の走行データを元に、さらにセットアップを微調整した角田は、「予選が一番いい状態となっていたので、セットアップは順調だったと思います」というなかで、Q1を突破。トップ10を賭けた戦いへ進んだ。
ここでRBは新品のソフトタイヤを2セット投入し、勝負をかけた。しかし、2セット目のタイヤでのアタックで、セクター1とセクター2で1セット目のタイヤでの区間タイムを上回れなかった。セクター1で100分1秒、セクター2で100分3秒、それぞれ失った。セクター3でその遅れを取り戻したものの、タイムは1セット目をわずかに上回る1分23秒419にとどまり、11番手に終わった。10番手のセルジオ・ペレス(レッドブル)との差は、100分の4秒だった。
「特に何か(ミスが)あったわけではないのですが、本当に完璧にラップをまとめないとQ3進出は難しかったと思います。わずかな差だったので、完璧なラップでQ3に行って今シーズン最後の予選を締めたかったですが、仕方ないです。あとほんの少しクルマにペースがあれば」
コンストラクターズ選手権争いをしているアルピーヌとハースの2台がQ3に進出。コンストラクターズ選手権はかなり厳しい状況となった。それでも角田はあきらめない。
「サンパウロGPでアルピーヌがダブル表彰台で状況が一変したように、レースでは何が起きるかわからないので、最後までベストを尽くしたい」
最終戦、最後の1ラップまで戦い抜いてほしい。