【写真】『クラブゼロ』カルト化する食事法・・・様子のおかしい生徒たち
本作は、ミヒャエル・ハネケに師事し、物議を醸すテーマ設定と鮮烈なビジュアルで強いインパクトを放つ作品を次々と発表している気鋭監督ジェシカ・ハウスナーが、ミア・ワシコウスカ(『アリス・イン・ワンダーランド』)を主演に迎えたイニシエーション・スリラー。第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品されている。
名門校に赴任してきた栄養学の教師、ノヴァク。彼女は“意識的な食事/conscious eating”という、「少食は健康的であり、社会の束縛から自分を解放することができる」という食事法を生徒たちに教える。無垢な生徒たちはその教えにのめり込んでいき、事態は次第にエスカレート。両親たちが異変に気づきはじめた頃には時すでに遅く、ついに生徒たちはノヴァクとともに【クラブゼロ】と呼ばれる謎のクラブに参加することになる。生徒たちが最後に選択する、究極の健康法とは? そしてノヴァクの目的とは?
ミアが本作で演じたのは、栄養学を履修させたいという保護者からの要望を受け、「最新の健康法」を教えるべくとある名門校に赴任してきた新任の教師ノヴァク。健康的な体づくり、環境保護、自制心を鍛えるため…さまざまな目的のために集まった生徒たちに向け、ノヴァクは独自の健康法を説き、次第に“不食”へと導いていく。
この難役を演じるにあたり、撮影前にミアと監督の間で話し合いが行われた。その際にミアが告げられたのは、「ノヴァク先生が(子供たちに)教えている内容を、本当に信じているということ」だったという。「最初に脚本を読んだ時、彼女が生徒たちにどのように影響を与えるか自覚していて、その力を楽しんでいるように感じました。でも監督が主張したのは、ノヴァク先生が自らの教えを純粋に信じているということでした」と回顧する。
さらにミアは、「ノヴァク先生の教えの中には、多少の真実があるので動揺しました」と当時の心境を吐露しながら、「(彼女の教えの中には)合理的で正しく思えるものもあります。それが極端となってある種の教義となり、不条理な信念を押し付けるようになるので、とても危険なんです」と加えている。
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物議を醸すようなテーマ設定にも躊躇なく切り込む、ジェシカ監督ならではの鋭い表現が光る本作だが、そんな彼女についてミアは「(監督は)現実の不条理をよく理解していて、そこから逃げなかった。自然主義的な映画ではなくて、それがうまく機能しています。だからとても面白いのです、ダークな意味でね」と魅力を語る。
そして、本作の存在意義についても次のようにコメントしている。「重要な問題をたくさん提起しています。そして本作が描いているのは、私たちが目を向けるべき身近な問題で、優れた芸術がすべき提示だと思います」。
映画『クラブゼロ』は、12月6日より全国公開。