イングランドのプロ審判協会(PGMOL)は9日、デイビッド・クート氏に関する調査結果を報告し、PGMOLでの雇用契約が同日付で解除となることを発表した。
プレミアリーグで審判を務めるクート氏については、今年11月に入ってからさまざまな疑惑が浮上していた。まずはリヴァプールと同クラブの前監督であるユルゲン・クロップ氏に対して、侮辱的な発言をしている映像がSNS上で拡散。映像の真偽、および撮影日時等は明かされていなかったものの、PGMOLは即時で調査を開始し、完全に調査が完了するまではクート氏を即時停職処分とする旨を発表した。
その後、イギリス『BBC』や『スカイスポーツ』など複数のメディアによって、クート氏にまつわる別の動画についての報道がなされた。今夏に開催されたEURO2024で撮影されたとされる動画内では、巻かれた米国紙幣から白い粉のようなものを嗅いでいるクート氏の姿が映し出されていた。加えて、自身が担当した10月30日のカラバオカップ(EFLカップ)4回戦トッテナムvsマンチェスター・シティの後、友人とドラッグパーティを行おうとしていた可能性を同メディア『サン』によって報じられている。
また、クート氏は『サン』によって、自身の担当する試合前、友人に対してとある選手にイエローカードを提示すると示唆していたことも指摘されている。2019年10月1日に行われたチャンピオンシップ第10節リーズvsウェスト・ブロムウィッチにおいて、当時リーズに所属していた北マケドニア代表DFエズジャン・アリオスキにイエローカードを提示しているが、このカード提示を試合前に“予告”するようなオンライン上でのやり取りまでもが明るみに出ていた。
これらのスキャンダルを受けて、PGMOLは適宜声明を出していたが、今回の契約解除は、冒頭のリヴァプールおよびクロップ氏に対する侮辱的な発言による調査を主として下された決断だと見られている。PGMOLは「デイビッド・クートの行為は雇用契約の条項に著しく違反しており、彼の審判としての地位は維持できないと判断された」と発表。加えて、次のような言葉で、クート氏に対するサポートを継続することも明かしている。
「デイビッド・クートをサポートすることが我々にとって重要な項目であることに変わりはなく、我々は引き続き、彼の心身面での健康のために尽力する」
なお、クート氏は今回の契約解除に対して、不服を申し立てる権利も有している。
2024−25シーズン、クート氏はプレミアリーグの6試合を担当しており、疑惑が報じられる直前の11月9日には、『アンフィールド』で行われたリヴァプールとアストン・ヴィラの一戦で主審を務めていた。