6年前、「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家の男性を殺害した罪に問われた元妻の裁判で、和歌山地裁は無罪を言い渡しました。
裁判長
「主文。被告人は無罪」
その瞬間、殺人の罪に問われた元妻は涙ぐみ、弁護人から渡されたハンカチで涙をぬぐっていました。
野崎幸助さん 2016年
「(Q.これ1千万円あるんですか)そうそう。私はいつも7億円くらい自分の家に置いている」
貸金業や酒の卸売業など、幅広く事業を展開して一代で財を成した野崎幸助さん。6年前の2018年2月、55歳年下の須藤早貴被告と結婚。
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しかし、その3か月後に死亡します。死因は急性覚醒剤中毒でした。
警察は直接的な証拠が見つからない中、3年にわたる捜査の末、元妻の須藤被告を逮捕。死亡当日に長時間2人きりでいた点や、覚醒剤の売人と接触していた点などの状況証拠から須藤被告の犯行と判断したのです。
一方で須藤被告は、今年9月から始まった裁判で無罪を主張。
先月の被告人質問では…。
須藤早貴 被告
「(野崎さんは)愛犬のイブが死んでから『死にたい』と言ってました。従業員の前でも言ってました。『もう自分も死んでしまいたい』と」
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覚醒剤については、野崎さんから頼まれて密売人から購入したと主張しました。
須藤早貴被告
「『ダメだから(=性的な満足を得られないから)覚醒剤を…』と言われました。『お金くれたらいいよ』と冗談で言ったら、バッグから20万円を出して渡してきました」
さらに、密売人から受け取ったものは覚醒剤ではなかったと訴えました。
須藤早貴 被告
「(野崎さんに渡した日の)翌日の夕食のときに、『使い物にならん。ニセモノや』『もうお前には頼まん』と言われました」
一方、検察側は「遺産目当ての殺人は強盗殺人と同程度の悪質さ」と糾弾。無期懲役を求刑していました。
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そして、きょう。
記者
「注目の裁判の判決を一目見ようと、傍聴券抽選の列には大勢の人が並んでいます」
傍聴券の抽選倍率はおよそ6倍に達しました。
午後1時半過ぎに始まった裁判で、和歌山地裁は「被告が購入したものが覚醒剤であったとは言い切れない」などと指摘。「野崎さんが自殺以外の目的で覚醒剤を使用し、誤って致死量を摂取した可能性を否定できない」として無罪を言い渡しました。
和歌山地検は「判決文の内容を精査し、上級庁とも協議の上、適切に対応したい」としています。