ロッテは昨季チーム犠打がリーグ5位の93犠打だったが、5月は25度の犠打機会全て成功させるなど、シーズン序盤は高い犠打成功率を誇った。近年のマリーンズの攻撃において犠打は欠かせない。その一方で、SNSなどでファンから盗塁を増やして欲しいとの意見や、犠打が得点に結びついていないのではないかと指摘されることも多い。では昨季、犠打がどれだけ得点に結びついたのか振り返っていきたい。
調べてみると、昨季93犠打中得点に結びついたのは43犠打。昨季得点に繋がる犠打が最も多かったのは、小川龍成と友杉篤輝の8犠打だ。ちなみに昨季小川がチームトップの20犠打、次いで友杉の19犠打だった。
小川は「バントは自分のところで自信がないところ。本当に練習も数多くやりますし、試合の時も1球1球集中してバントをしっかり決められるように。自信がないからこそしっかり練習して、できているのかなと思います」と話す。
6月8日の広島戦では0−1の5回無死一、二塁の第2打席、1球目できっちりと送りバントを成功させると、二死後、荻野貴司の打球を三塁手が後逸する間に二者が生還し逆転。結局、同試合は3−1で勝利した。
友杉は2度決勝点に繋がる犠打を決めている。4月28日の楽天戦、0−0の3回無死一塁で、1ストライクから2球目にピッチャー前に送りバントを決め、ポランコがライト前に適時打。7月3日の日本ハム戦では、4−5の6回無死一、二塁でピッチャー前への送りバントがエラーを誘い満塁としチャンスを広げ、藤原恭大がレフトへ逆転の2点適時二塁打を放った。
▼ 得点に繋がる犠打を決めた選手トップ3
1位 8犠打 小川龍成
1位 8犠打 友杉篤輝
3位 7犠打 中村奨吾
◆ 還した選手は?
送りバントで得点圏に進め、“還す”ことが多かった選手を調べてみると、最も多かったのはソトの9回だ。
4月10日の西武戦、2−2の10回無死一、二塁で愛斗がピッチャー前に送りバントを決めると、ソトは一死二、三塁の第5打席、アブレイユが1ボールから投じた2球目の156キロツーシームをセンター前に弾き返す決勝の適時打。
送りバントを成功させ、ソトに回ってきた打席での打点数は15。そのうち9月8日の楽天戦、9月13日の西武戦では本塁打を放っている。ソトは得点圏打率昨季、リーグ3位の.321をマークしており、ソトに関しては走者を犠打で進めてソトに打席を回すという戦術はうまくいっていたようだ。
犠打から得点という場面を振り返ったが、一方で送りバントから得点に繋がらなかったケースも多く、課題点が残ったのも事実。犠打に頼らず、打って、打って得点できれば一番良いのは間違いない。マリーンズの武器である1つ先の塁を狙った走塁を活かした攻撃に、バントをうまく使い得点していくのが理想的だろう。今季はどんな攻撃をしていくか注目だ。
取材・文=岩下雄太