【ワシントン時事】日米両政府が7日(日本時間8日)に発表した石破茂首相とトランプ大統領の共同声明は、中国をにらんで同盟関係強化を継続する方針を打ち出した。台湾海峡問題に絡み、中国の動きを強くけん制。トランプ氏は日本の防衛力強化の取り組みを評価した。
声明は米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の沖縄県・尖閣諸島への適用を確認。同盟の抑止力・対処力を高めるため、自衛隊と米軍の指揮統制連携の向上、南西諸島での活動拡大、「核の傘」を含む拡大抑止の強化を図るとした。
また、日本が2027年度に防衛費を国内総生産(GDP)比2%へ倍増し、その後も防衛力強化に努めるとしていることを、米国として「歓迎」していると強調した。
首相は会談で、防衛力を抜本強化する考えを伝達。トランプ氏はこの後の共同記者会見で、「米国の抑止力をフルに発揮し、同盟国を100%防衛する」と語った。
声明は「自由で開かれたインド太平洋」の推進を掲げ、東・南シナ海情勢に関して中国を名指しし、軍事的活動に「強い反対」を表明。両岸関係に関しても「力や威圧による一方的な現状変更の試み」に反対する立場を明記した。
日本政府関係者によると、台湾を巡り日米の共同文書にこの表現が使われるのは異例。大規模演習など中国軍の活動活発化を踏まえた判断という。「台湾海峡の平和と安定」を維持する重要性も指摘した。