米巨大IT、AI投資加速=ディープシーク登場でも継続

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2025年02月08日 19:02  時事通信社

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時事通信社

 【シリコンバレー時事】米巨大IT企業が生成AI(人工知能)投資を加速させている。6日出そろった2024年10〜12月期決算などで、5社のうちアップルを除く4社が今後、設備投資を増強すると強調。中国企業ディープシーク(深度求索)による「格安AI」の登場で過剰投資懸念もくすぶるが、市場拡大を見越し、アクセルを踏み込む。

 ◇成長占う設備投資

 10〜12月期はアマゾン・ドット・コムなど4社が四半期として過去最高の売上高と純利益を計上。マイクロソフト(MS)も売上高が過去最高、純利益は前四半期に次ぐ2番目の規模だった。アマゾンのジャシー最高経営責任者(CEO)は6日の電話会見で「24年は大成功の年」と述べた。

 生成AIが新たな技術革新と目される中、資金力と技術力で製品・サービスの開発を加速させてきた巨大ITの好決算は、市場で当然視される。投資家の目はもっぱら、収益成長を維持できるかに注がれている。

 先行きを占う上で重要なのが設備投資だ。生成AIの基盤モデルは、データセンターなどの開発インフラが欠かせない。インターネット経由でインフラを提供するクラウド事業で首位に立つアマゾンは、10〜12月期に約263億ドル(約4兆円)を投じた。ジャシー氏は「25年の設備投資ペースを合理的に表している」と言及。年1000億ドル(約15兆円)到達を示唆した。

 グーグルの親会社アルファベットやMSに加え、クラウド事業を手掛けていないメタ(旧フェイスブック)も製品・サービスへの生成AI搭載を進めるため巨費を投じる。アップルは非開示。

 ◇中国AIに動揺せず

 各社がさらなる設備投資に意欲を示す中、ディープシークの影響も関心の的だ。同社は、生成AIサービス「チャットGPT」を開発した米オープンAIの最新モデルに匹敵する性能を実現したと説明。モデル一つの学習コストがわずか560万ドル(約8億5000万円)とも主張した。

 これが事実なら、米競合企業の10分の1程度となり、データ量と計算能力に比例して基盤モデルの性能が向上するとの従来の考えを覆し得る。1月27日の米株式市場では、AI半導体でトップシェアの米エヌビディアなどAI関連銘柄が急落する「ディープシーク・ショック」が起きた。

 ただ、巨大ITに動揺は見られない。アルファベットのピチャイCEOは、ディープシークの技術を評価しつつも、「過去3年間を眺めると、学習に比べ(回答を示す)推論への支出割合が増えている」と指摘。メタのザッカーバーグCEOも「計算能力の大部分が学習に使われるわけではない」と語り、生成AIの性能向上には巨額投資の継続が必要との認識を示した。 

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