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『ハイキュー‼』×SVリーグ コラボ連載(34)
PFUブルーキャッツ石川かほく 細沼綾
(連載33:PFUブルーキャッツ谷内美紅は高校から本格開花 上を向けない時は田中龍之介の言葉が支えに>>)
「同世代に石川真佑ちゃんなど、(日本代表クラスの)すごい選手たちがいっぱいいて、以前は"雲の上の人たち"と見ていました。でも今は、『もっといったるで!』という気持ちになっています」
PFUブルーキャッツ石川かほくの細沼綾(24歳)は少しおどけながら、言葉を継いだ。
「得意なプレーに自信を持てるようになったので、昔のように"受け身"ではなくなりました。『こいつ、すごくなってきたな』って思わせたいし、追いついて、いつかは追い越したい。同世代の選手からは刺激をもらっています」
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極めて健全なライバル心だ。そして、彼女には"辿り着くべきイメージ"がある---。
埼玉県さいたま市に生まれた細沼は、小学4年の時に少年団のバレー部に入った。体験後、「楽しい、入る!」と即決した。最初はコートの隅で、コーチとボールをやりとりするだけだったが、どんどんのめり込んでいく。年上のお姉さんたちが打つスパイクに、「あんなの打てるんだ! ああなりたい」と、少女は目を輝かせていたという。
そして12歳の時、人生を決める決定的な瞬間があった。
「女子バレー日本代表が銅メダルを獲得した(2012年の)ロンドンオリンピックで、特に木村沙織さんのプレーをよく見ていました。遅い時間の放送もあったと思いますが、毎試合、居間に座布団敷いて座って、プレーのひとつひとつに拍手しながら。どんな場面でも決めちゃう木村さんの姿に『私もこういう舞台に立ってみたい!』と思いました」
バレーボール選手としての目覚めだった。中学2年で「長身者発掘育成合宿」に参加するなど、体格も実力も恵まれていた。
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「中学3年の時に、(県内のバレー強豪校である)春日部共栄の関係者の方と話をする機会があって。Vリーグの(入団につながる)お話などもして、『そういうルートがあるんなら』と思ったんです」
ポジションは、レフト、セッター、ライトなどを任された時期もあるが、基本的にミドルブロッカーとしてプレーしてきた。だから、ミドルとしてのこだわりがある。ポジション愛も強い。
「ほかのポジションの選手と比べると、自分は"ザ・ミドル"なタイプだなと思いますね(笑)。どんな人間性か、と言われると難しいんですけど......。器用なほうではないので、大胆なプレーが私らしさかなって思います。"ドシャット"など、ブロックでもチームの流れを作っていきたいです。
ミドルは一見地味で、バレーのなかでは目立たないポジションかもしれませんが......もっと『ここはミドルがいい仕事してるんだよ』と伝えていきたいですね」
細沼はコートで大胆に輝く。少女時代、テレビモニター越しに必死にプレーを追ったヒロインたちのように。
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「自分が目指しているのは、やっぱり日本代表に入ること。それが簡単じゃないことは、私自身が一番わかっています。でも、リーグが新たな『SVリーグ』になって、バレーボールの波が来ていると感じています。バレー界をもっと賑わせたいし、もっとお客さんに来てほしい。そして、『もっと私のことも見て』って思います(笑)」
その声は、軽やかに弾んでいた。
【細沼が語る『ハイキュー‼︎』の魅力】
――『ハイキュー‼︎』、作品の魅力とは?
「第1話、中学時代の日向(翔陽)はまだ上手じゃなくて、影山(飛雄)のチームに負けます。その試合の前に影山が言った、『「諦めない」って 口で言う程簡単な事じゃねえよ』ってセリフが好きなんです。
バレーにのめり込んでも思い通りにならず、つらいことも多いんです。やめていく子もたくさんいました。私もエリート街道を歩んできたわけではなくて、日本代表にも入ったことがないし、振り返れば"諦める機会"も多かったと思うんですよ。でも、バレーが好きだから諦めずにここまで続けてきた。だから影山の言葉は、『そうだよな』と共感します」
――共感、学んだことは?
「長期合同合宿の"第3体育館組"たちのブロック練習で、クロ(黒尾鉄朗)が言った言葉はミドルブロッカーとして共感できることが多いです。スパイクを止めるだけがブロックじゃないし、チームワークがハマる瞬間というのを(灰羽)リエーフに理解させるところも、『その通り!』ってなります(笑)」
――印象に残った名言は?
「烏野の縁下(力)の『逃げる方が絶対後からしんどいって事は もう知ってる』ですね。自分も、トライせずにやめちゃったことがあったので。もう何事も、やらずじまいにはしたくないです」
――好きなキャラクター、ベスト3は?
「1位はクロですね。プレースタイルや言葉、キャプテンとしての周りへの配慮、立ち回りなど全部が好きです。レシーブもうまいし、器用ですごいなって。2位は全国3大エースのひとり、井闥山学院の佐久早(聖臣)。描かれているシーンは多くないですけど、キャラがいいのと、取りづらい回転をかけるスパイクの打ち方もいいですね。
3位は稲荷崎のセッター、宮侑。純粋にトスを打ってみたいです(笑)。ミドルはセッターとのコンビが重要ですが、『アンダーは腕2本 オーバーは指10本 よりいっぱいのモンで支えたんねん』っていう彼の献身性はすごいです」
――ベストゲームは?
「烏野vs青葉城西です。烏野はインターハイ予選で一度負けましたが、春高バレーの予選では烏野の選手たちの成長具合がわかるじゃないですか。例えば、山口(忠)もサーブが入るようになったり。青葉城西も、及川(徹)さんがすごくいいキャラですね。"狂犬"の京谷(賢太郎)の能力も生かしていて、かっこいいです!」
【プロフィール】
細沼綾(ほそぬま・あや)
所属:PFUブルーキャッツ石川かほく
2000年5月25日生まれ、埼玉県出身。180 cm・ミドルブロッカー。小学4年でバレーを始め、中学2年の時に『長身選手発掘育成合宿』に招集される。春日部共栄高校に進み、2年連続でインターハイに出場。2018年にKUROBEアクアフェアリーズ富山に入団。2022年にPFUブルーキャッツ石川かほくに移籍し、2024−25シーズンはキャプテンを務める。