刺し身は口いっぱいの甘み あら汁は上品、デミカツ丼はふんわり食感 瀬戸内海の“厄介者”をさばいてみたら味は絶品!

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2025年02月12日 12:10  まいどなニュース

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【クロダイ】全国に広く分布し、沿岸部の藻場や岩礁から汽水域まで広範囲に生息する。西日本では一般的にチヌと呼ばれる。成長とともに雄から雌に性転換する珍しい魚。大きいもので50センチ以上になる。(イラスト・山崎晋介)

 瀬戸内海を代表する地魚・クロダイ(チヌ)。かつては高級魚とされていたが、養殖マダイの人気に押され、今では食卓に上る機会がすっかり減り、養殖ノリやカキを食い荒らす“厄介者”とまで呼ばれている。しかし、その身は刺し身でも、煮ても焼いても、おいしく食べられるという。プロの料理人に調理法を教えてもらえる教室があると聞き、記者(23)がエプロンを片手に向かった。

【写真】完成したチヌ料理3品。チヌとカキのデミカツ丼!?

 「食べて考える里海の未来 クロダイ料理教室」と題した教室は、環境省中国四国地方環境事務所(岡山市北区下石井)が企画。チヌの消費拡大と瀬戸内海の環境への関心を高めてもらおうと、1月下旬に岡山市内で開かれ約20人が参加した。飲食店主3人が講師となり、刺し身▽あら汁▽チヌとカキのデミカツ丼―の3品を調理し味わった。

□調理編  

 記者が挑戦したのは刺し身。魚をさばいた経験はないが、5歳から子ども用の包丁を持ちキッチンに立っていたので、料理の腕には自信がある。

 包丁を手に体長約30センチのチヌと向き合った。まずは三枚におろす。うろこと内臓は取り除いてあり、頭を切り落とすところからだ。胸びれの根元を切り、背骨に包丁を入れるが、硬い。切れない。岡山市内で日本料理店を営む今村一三さん(72)は「背骨の付け根辺りの軟らかい部分を見つけて切るのがこつです」と教えてくれた。

 結局、自分では歯が立たず、今村さんに切り落としてもらい、背骨と身を切り離す作業に入る。

 身に包丁を入れ骨に沿って滑らせていくのだが、そもそも包丁が入らない。見かねた今村さんが手伝ってくれた。すーっと滑るような包丁さばきに見入ってしまう。

 皮引きだけは、と思い挑戦。皮と身の間に包丁を入れ、皮の方を引っ張る。手が滑って苦労したが、なんとかきれいに仕上げることができた。

 次に完成した切り身「柵」を切っていく。つい包丁をのこぎりのように前後に動かしてしまう。「そうやると食感が悪くなってしまう。刃の全体を使って奥から手前に引くように」と今村さん。アドバイス通り、軽い力で手前に引くと、意外と簡単に切ることができた。

 大皿に大葉を並べ、刺し身を盛り付ける。ネギやミョウガ、今村さん特製のゆずみそといった薬味を添えて出来上がり。調理を始めて約30分。短時間で本格的に仕上がった。

□試食編  

 いよいよ、お待ちかねの試食タイム。チヌを食べるのは初めてだ。まず自分が担当した刺し身を口に運ぶ。少し心配だった臭みはない。むしろ、甘みが口いっぱいに広がる。弾力のある食感もいい。

 チヌと昆布でだしを取ったあら汁は身が柔らかく上品な味わい。デミカツ丼はサクサクの衣にふんわりとした食感のチヌがよく合う。どのメニューも想像以上においしかった。

 冬場のチヌは春の産卵に備えて身が太り脂も乗って絶品だった。塩焼きやなめろう、カルパッチョでもお薦めだそう。一人で一からさばくのは難しいが、スーパーに並んだ切り身を買えば、塩焼きぐらいには挑戦できそうだ。多様な生物が生息する豊かな海を守るためにできることから始めたい。

(まいどなニュース/山陽新聞)

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