火曜ドラマ『まどか26歳、研修医やってます!』の場面カット(C)TBS 俳優の芳根京子が主演を務める、TBS系火曜ドラマ『まどか26歳、研修医やってます!』(毎週火曜 後10:00)。18日放送の第6話冒頭で行われる、まどかの大学の先輩で消化器外科2年目専攻医・遠山瑞希(堀田茜)の結婚式。そこでまどかたちが一丸となってフラッシュモブ(複数人が突然ダンスなどのパフォーマンスを行うこと)を披露する。その振付を行ったのが、ダンスカンパニー「Drastic Dance“O”」主宰で渡辺ミュージカル芸術学院・ダンス主任講師、洗足学園音楽大学ダンスコース教授を務める前田清実氏だ。前田氏にフラッシュモブの振付裏話や成長するために大切なことを語ってもらった。
【写真多数】芳根京子、鈴木伸之、高橋ひかる、大西流星ら…キャストを一挙紹介!――フラッシュモブの制作にあたって意識されたことはありますか?
最初に声を掛けてもらった時に、フラッシュモブといったら若者が振付をしたほうがいいのではないかと思ったんです。でも、その後の打ち合わせでプロデューサーと助監督から話を聞いているうちに「これは私がやろう」とスイッチが入りましたし、その場ですぐに振りが浮かびました。振付については自由にやっていいと言われたので、式場の椅子がはけるなどのタイミングを教えてもらって構成していきました。
――キャストの中にはダンス初心者もいましたが、そこは意識されましたか?
これまでもダンスがあまり得意ではない俳優さんたちとご一緒する機会はあったので、特別意識することはありませんでした。そして今回はキャスト1人ひとりについて、写真と役柄がまとめられた資料を助監督が用意してくださったので、その役柄に合った振りをイメージすることができました。リハーサルの時にご本人たちに「こういう理由でこの振りをつけたんですよ」と伝えると、「そういうことなんですか!」と驚いていました(笑)。
リハーサル当日は、うちのカンパニー「Drastic Dance“O”」メンバーがキャストの方々について、マンツーマンで振付を教える作戦をとりました。経験者の(木村)多江さんはすぐに覚えてくださって。大西(流星)くんはリハーサルに参加ができないことを聞いていたのですが、これまでに大西くんの先輩たちとお仕事をしてきた経験から覚えるまでそこまで時間がかからないだろうと思って振付ました。期待通り撮影当日すぐに覚えてくださいました。皆さん、フラッシュモブと一生懸命に向き合ってくださったのでとても楽しかったことを覚えています。
――芳根さんとは何かお話をされましたか?
とてもかわいらしい方ですよね。ドラマの主演として、そして研修医役として医療用語などのセリフ覚えが大変だという話を伺っていたので、エネルギーを温存してもらいたいなと思って、2小節程度を担当してもらいました。瞬時に覚えてくださいましたし、もしまたご一緒する機会があったら、今度は存分に踊ってもらいたいです。
――医療現場が舞台のドラマに、いきなりダンスシーンが入るわけですから大変ですよね。
俳優の仕事は大変ですよね。朝が早かったり、得意ではないことに挑戦したり。それにもかかわらず、皆さんとても明るかったです。ただ明るいだけではなくて、真面目に取り組んでくださって。個々の醸し出す雰囲気がとても明るいので、すぐにうちのメンバーを受け入れてくださって、皆さんに「ここはこうですよ」というアドバイスをスムーズに伝えられました。最後に全員が揃って踊った時に、ちょっと感慨深いものを感じましたし、きっといいシーンになったのではないかと思います。
――普段はどんな振付をされることが多いですか?
ミュージカルの場合、宝塚の場合、うちのカンパニーの場合とそれぞれ切り口が違うのでケースバイケースですね。その中でも台本がある場合は台本に則りながらも、多少演出家たちの想像を超えたいという思いで構想した振付を提示していくことが多いです。一方でうちの「Drastic Dance“O”」の時は、それこそ私が台本を書くことになるので、切り口としては進行表から音楽を考えて作っています。
――ドラマはまた作り方が違いますか?
違いますね。けれども、俳優さんたちに寄り添った、そんな振付でありたいと思って作ります。
――本作はまどかたち研修医の成長を描く物語ですが、前田先生が思う成長するために大切なことは何でしょうか?
ちょっと古くさい考え方かもしれませんが、成長するためには努力しかないと思います。やってやり抜いて、失敗しまくる、トライアンドエラーです。それで1段ずつ上がれたと思ったら、また目の前に壁が立ちはだかりますから。
――世代間のギャップも描かれていますが、カンパニー内でも感じられることはありますか?
ドラマ内でも「報・連・相」の重要性が語られていますが、私もミーティングでよく「報・連・相が甘い」「報告・連絡・相談なくして成長はない」と話します。若さは才能であり、大切にしたいもの。だからこそ「イマドキの若者は」と決めつけるのではなく、厳しくも温かい目で見守ることが重要だと考えています。世代間のギャップはありますが、情熱があれば伝わるはず。逆に、自分が時代遅れなことをしていれば訂正していきたいです。違いがあるからこそ面白く、お互いに良い部分を吸収し合うことが大切だと、改めて実感しています。