限定公開( 1 )
NTTドコモは2月16日、「NTTドコモ歴史展示スクエア」にて、家族とともに子どもの成長を支えるブランド「comotto(コモット)」の取り組みの一環として、フィーチャーフォン「F503i」を題材に、プログラミングを学べる体験型ワークショップを開催。あわせて、来場者に携帯電話の歴史を公開した。
プログラミングで題材となるF503iのおもちゃは、ドコモが小学館の雑誌「小学8年生」とタッグを組み、2月28日頃に発売予定の雑誌の付録。ドコモは、この雑誌の発売を前に、本付録のおもちゃを使って、プログラミングを学べる場を設けた。
本付録は、F503i当時のデザインを忠実に再現したもので、手持ちのスマートフォンやタブレットとBluetoothで接続することで、簡単に着メロを作成でき、プログラミングの仕組みを学べる。着メロ以外のミニゲーム機能も搭載予定だという。
F503iは、ドコモが2001年に発売した、富士通製(現・FCNT)のフィーチャーフォン。形状はいわゆる折りたたみ式やスライド式ではなく、1枚板にディスプレイとキーボードが配置されたストレートタイプとなる。発売当時としては最大となる2型の大画面カラーディスプレイを搭載し、503iシリーズでは最大となる最大50件(または200KB)のiアプリを保存できるストレージを備えた。
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F503iがプリインストールしていたiアプリは、ゲームやユーティリティーなど6種類。背面には、「myアプリキー」を搭載。長押しで事前に設定したお気に入りのiアプリを起動できる。
これに似た機能は、現代のiPhoneにおける「アクションボタン」といえる。AppleがiPhoneの新機能として「iPhone 15 Pro」「iPhone 15 Pro Max」で打ち出したこのアクションボタンでは、消音モード、カメラ、集中モードなど、任意のアプリや機能を割り当てておけば、アクションボタン1つで起動できるのがアドバンテージだ。
Androidスマートフォンにも似た機能がある。iPhoneほどの機能の割り当てはできないが、2020年冬モデル以降のシャープ製スマートフォンが搭載する「Payトリガー」では、指紋センサーを長押しするだけで、ロック画面からすぐに電子決済アプリを起動できるため、レジでスムーズに支払いを完了できる。こうしたショートカット機能は、形を変えて現代のスマートフォンにも受け継がれている。
●お題は着信音の作成 “単音”でも音階までプログラム可能
さて、ここからは本題のプログラミングの様子を見ていきたい。今回は、e-Craftが手掛けているプログラミング用アプリを使って、プログラミングを行う。自身もドコモの出身者であるe-Craftの額田一利社長は、「自ら雑誌付録の制作に関わった」ことを明かした。制作に「1年以上の期間を要した」とする額田氏は、付録が書店に並ぶときには「涙を流しているくらい、頑張って制作した」と胸を張る。
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先述の通り、今回のプログラミング内容は着信音の作成だ。額田氏はプログラミングの解説を行う前に、「昔の着信音は単音だった。しかも、利用者自身で作成でき、それが自分の趣味だった」と振り返った。
今回のプログラミングは、小学生の低学年から中学年を対象として実施。参加者は、会場内の卓上に置かれた「embot」アプリをインストールしたタブレットとおもちゃをBluetoothで接続する。さらに、雑誌の付録に含まれるプリクラのシールを切り抜いて、本物のF503iのディスプレイ(画面)を再現した。本物のF503iとほぼ同じ形とサイズのおもちゃであるため、ディスプレイまで再現すると、ボディーカラーは違えど、本物の携帯電話に見える。
本題である着信音の作成については、額田氏が実際のプログラミング画面をモニターに表示しながら丁寧に指導した。“単音”とはいえ、音の種類はさまざまで、シャープやフラットを選択することも可能だ。参加者は、どの音を鳴らすかを決め、「レ、ファ、ラ」という順に音階を作っていく。さらに、二分音符や四分音符といった拍の長さも設定できる。
●フィーチャーフォンが付録で復活を遂げたワケ comottoとの関連性は?
comottoは、ドコモが2023年2月28日に立ち上げたブランドで、「子どもの未来を、もっと。」をコンセプトに、さまざまな業界のパートナーとドコモの協創によって、子どもとその家族に学びや楽しさを提供している。
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ドコモは、comottoの立ち上げ以前から、子育て世代を応援するサービスやプログラムを提供してきた。しかし、「デジタル化の進展などにより社会の不確実性が増す現代では、子どもの探求力など、未来を生き抜く力を養うことが重要だ」と考えている。
ドコモでコンシューマサービスカンパニー ライフスタイルイノベーション部 キッズサービス担当部長を務める戸田陽子氏は、ワークショップを開催した理由について、「comottoが学校だけでは教えてくれない、学びを提供するブランドである」ことを挙げる。
F503iを題材とした理由については、2025年現在となっては「身近なスマートフォンが誕生するまでに、さまざまな課程をへたことを知ってほしい」とし、「iアプリが搭載されたF503iが、2001年の発売当時、画期的な端末であった」ことに触れた。
「PCでは当たり前になっていたアプリをダウンロードし、趣味や趣向に応じて、いつでもどこでも楽しめる、そんな体験がコンパクトな携帯電話の本体にぎゅっと詰まった、というのは、当時の最新技術だった」(戸田氏)
ワークショップの中では紹介がなかったが、「ドコモはF503iの開発秘話をまとめた動画を、雑誌の発売後にcomottoのサイトで配信する」(戸田氏)という。同氏によると、どうすれば使いやすく、もっと楽しめるのかを、ドコモとメーカーの技術者が一緒に考えて作っていた、当時の携帯電話の存在を知ってほしいという思いもあるようだ。
NTTドコモ歴史展示スクエアの展示コーナーでは、現代の携帯電話の原形ともいえる、肩に提げて携行できる「ショルダーホン」から、「ポケットベル」「PHS」、そして、現代のスマートフォンに至るまで、携帯電話にまつわるさまざまな情報を展示。来場した子どもが、ショルダーフォンを肩からかける場面も見られた。
comottoでは2023年9月29日、プログラミングに加えて工作を学べるイベントとして、JAXA、タカラトミー、ソニーグループ、同志社大学が共同開発した超小型の変形型月面ロボット「SORA-Q(ソラキュー)」を模した、ダンボールの教育用ロボットで子どもがレースを行うイベントも実施した。
F503iを題材としたプログラミングでは、いわゆるスマホネイティブ世代の子どもたちに、プログラミングを通して世の中のコミュニケーションを支えてきた携帯電話の歴史を知ってもらいたい意図だけでなく、ドコモの端末やcomottoをはじめとする各サービスにも興味をもってもらいたいという意図が伝わってきた。
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