衆院予算委の証人喚問で、挙手する佐川宣寿氏=2018年3月27日 学校法人森友学園に関する財務省の公文書改ざん問題を巡り、近畿財務局職員赤木俊夫さん=当時(54)=の自殺は同省理財局長だった佐川宣寿氏の改ざん指示が原因だとして、妻雅子さん(53)が1650万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(平木正洋裁判長)は雅子さん側の上告を退ける決定をした。12日付。佐川氏の賠償責任を認めなかった一、二審判決が確定した。
裁判官5人中4人の多数意見。学者出身の宇賀克也裁判官は上告を受理すべきだとする反対意見を付けた。
国家公務員の職務中の不法行為は国が責任を負うと法律で規定されており、訴訟では佐川氏個人の賠償責任を問えるかが争点だった。
一審大阪地裁は2022年11月、「公務員の個人責任を認める法的根拠は見いだし難い」として請求を棄却。雅子さん側が求めた佐川氏による説明や謝罪も「道義上はともかく、法的義務が発生すると考えられない」と退けた。二審大阪高裁も23年12月、地裁判決を支持し、雅子さん側の控訴を棄却した。
雅子さんは、国にも損害賠償請求訴訟を起こしていた。国は当初争う姿勢を示したが、その後主張を一変させて請求を認める「認諾」を行ったため、佐川氏との訴訟だけが継続していた。
最高裁の決定を受け、雅子さんは「反対意見を出してくれた宇賀裁判官だけがこの問題に向き合ってくれたと思う」などとするコメントを出した。