「俺のタバコの銘柄を覚えろ」コンビニのレジで横柄な態度のヤンキーに常連客のおじさんが平手打ち。思わぬ展開に…

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2025年03月15日 16:01  日刊SPA!

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※写真はイメージです
 日々の生活に欠かせないコンビニ。24時間365日営業している店舗も多く、いつでも必要なものが手に入れられる。しかしその便利さの裏には、店員たちの知られざる努力と苦労があるのだ。
 今回は、かつてコンビニでアルバイトをしていた山田幸次郎さん(仮名・30代後半)が遭遇した「迷惑客」のエピソードを紹介する。

◆「付き合おう」と迫る常連の女性

 山田さんが勤務していたコンビニには、深夜帯に訪れる独特な常連客がいた。

「50代半ばくらいの女性で、私は密かに“酎ハイマダム”と呼んでいました。その方は毎日買いに来てくれる常連なのですが、多いときには1日10回ほど来ることもありました。ただ、買うのはレモン酎ハイ1本だけ。それもぴったりの金額を握りしめてやって来るんです」

 彼女は自宅にレモン酎ハイを持って帰り、飲み干したらまた1本だけ買いに来ることを繰り返していたという。「変わった人だな」とは思いつつも、特に実害はなかったので迷惑には感じていなかった。

 しかし、ある日突然“異変”が起きてトラブルに発展してしまったのだ。

「ふだんはぴったりの金額なのに、この日はおつりが出たので“どうしたんだろう?”と思いました。そして小銭を渡そうとすると、両手を“ぎゅっ”と握ってきたんです」

◆店の外で待ち伏せ

 とはいえ、レジでは何も言われることはなかった。だが、早朝にアルバイトが終わって帰ろうとすると……。

「入り口の横に酎ハイマダムが座っていました。軽く会釈して通り過ぎようとすると、私の手をつかんで『付き合おう』と迫ってきたんです」

 山田さんは即座に「すいません」と断ったが、それで終わらなかった。

「彼女が大きな声で騒ぎ出したのですが、言い分としては『レジのときに色目を使ってきたのはそっちでしょ!』ということらしいです……もちろん違います」

 押し問答が続いたが、結局はオーナーが出てきて“出入り禁止”を言い渡すことで事態は収束した。当時若かった山田さんにとって、忘れられない経験となったそうだ。

◆「いい加減タバコの銘柄を覚えろ!」と激怒

 山田さんが勤務していたコンビニには、もう一人の厄介な客がいた。金髪でネックレスをたくさんつけた20代ぐらいの若い男性だ。

「2週間に1度来店してくるヤンキーのような見た目のお兄さんなのですが、いつも入店するなり、タバコを指さして銘柄や番号を指定するわけでもなく『1箱』とつぶやきます。正直、どれだかよくわかりません」

 当然、「どのタバコにしましょうか?」と銘柄を尋ねるのだが、舌打ちをしながらぶっきらぼうに答えるのだという。

「言い訳ではないですが、ものすごい種類のタバコがあるので、たまにしか来ないお客さんの銘柄なんて覚えられません」

 だが、銘柄を覚えていなかった山田さんに対して、ついに彼は「いつになったら覚えるの?」「いい加減覚えろよ!」と激怒した。

「私は『すいません、どのタバコにしましょうか?』と対応するものの、怒りは収まらない様子で、説教が5分程度続きました」

 そこに、この状況を一変させる人物が現れる。

◆常連のおじさん客の鉄拳制裁

 山田さんが困り果てていると、常連の50代ぐらいの男性客が来店した。レジに直行してくると、「なんかあったの?」と声をかけてきたのだ。

「おじさんはほぼ毎日来てくれる常連です。ひと通りの顛末を説明すると、いきなりお兄さんの後頭部に平手打ちを“バチーン”とかまして『店員さんに謝れ』と……。私は“これはお客様同士のトラブルになる”と面倒を覚悟しました。しかし、お兄さんが先ほどまでの態度とは打って変わって、おとなしく『すいません』と頭を下げたんです。

 突然の出来事にポカンとしていると、おじさんが『こいつはうちの社員や。迷惑かけてすまんな』と言って、お兄さんを外に連れ出しました。5分ほど経ってから店内に戻ってくると、お兄さんは再びレジに来て『先ほどは申し訳ありませんでした。28番のタバコをお願いします』と丁寧にタバコを注文していきました」

 帰り際にも「ありがとうございます。失礼します」と挨拶をして帰っていったという。まさに嵐のような展開に山田さんは驚いたとか。

◆「万引き!追いかけて!」30分に及ぶ追走劇

 ある夏の日の夜、山田さんがコンビニで経験した「最も印象的だった事件」が起きた。

 50歳くらいのスーツ姿の男性客が、店内を一周して何も買わずに帰ろうとしたその時である。

「バックヤードからオーナーの奥さんが慌てて出てきて、『万引き!追いかけて!』と叫びました。私は反射的にすぐ追いかけました」

 スポーツをしていた山田さんは、難なく犯人に追いつくことができた。しかし、自分で取り押さえていいものかよく分からず、距離を取りながら警察に電話することにした。

「警察につながって事情を説明すると『ケガをする可能性があるから自分では取り押さえないように』とのことでした。位置情報を口頭で伝えると、そこに警察官を向かわせるということで……犯人に追いついているけど捕まえず、ただただ追いかけっこをする時間になりました」

 犯人と山田さんの追跡劇は30分にも及んだ。

◆苦労して犯人が盗んだものは…

「犯人は『もうあきらめてくれ!』や『おれが何をしたんだ!』などと叫んでいました。ようやくパトカーが到着し、無事に犯人が取り押さえられましたが、息があがってしまって警察の質問にはしばらく何もこたえられないほどでした」

 現場検証のためコンビニに戻り、防犯カメラの映像や盗品の確認を行った。汗だくで疲労困憊な様子の犯人を見て、山田さんはいったい何を盗んだのか気になったという。

「そこまで苦労して万引きしたものは、なんと眉毛バサミでした。たしかに身なりの良いお客さんですが、なぜ万引きなんてしたのか。今でも疑問が残っています」

<取材・文/藤井厚年>

【藤井厚年】
明治大学商学部卒業後、金融機関を経て、渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』編集部員に。その後はフリーランスで様々な雑誌や書籍・ムック本・Webメディアの現場を踏み、現在は紙・Webを問わない“二刀流”の編集記者として活動中。若者カルチャーから社会問題、芸能人などのエンタメ系まで幅広く取材する。趣味はカメラ。X(旧Twitter):@FujiiAtsutoshi

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  • タバコの若い客とオヤジの話…ドラマみたいやね(⁠•⁠‿⁠•⁠)
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