
子どもが生まれると、将来のことを考える機会が増えます。しかし、最近では「ちょっと気が早すぎるのでは?」と思うような受験相談を耳にすることが増えてきました。
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まだオムツが取れてないのに、受験の話!?
埼玉県在住のGさん(40代)の娘は現在中学2年生。2年前中学受験をし、都内の難関校に入学しました。毎年2月1日が近づくと、当時のことを鮮明に思い出します。受験は決して楽な道のりではありませんでしたが、今では過去を振り返る余裕もできました。
ところが最近、Gさんの周囲で、まだ子どもを持たない人や未就学児を育てる人たちから、中学受験に関する相談を相次いで受けました。そのタイミングの早さには驚かされることばかりです。
最初に相談を受けたのは、高校時代の友人・Xさん。
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「中学受験って、いつから準備すればいいの?」
「えっ、お子さん…まだ3歳だよね!?」
思わずツッコミを入れてしまったGさん。でもXさんは本気です。Gさんの娘が通う「A校」と、都内の難関「B校」であればどちらがいいか。入学後の学習スタイルや進学実績など、具体的な情報を熱心に聞いてきます。
いやいや、3歳といえばまだ文字を書きはじめたばかりの年齢で、偏差値の話ですか? しかも、学校の人気や偏差値なんて数年もたてば変わるもの。今からそんなに悩んでも仕方ないのでは…。
まだ生まれてきていないのに、受験の話!?
そんな驚きが冷めやらぬ数日後、今度は職場の後輩・Yさんから相談を受けました。
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「中学受験のことで聞きたいんです!」
Yさんはまだ妊娠中のはずです。なにかの聞き間違いかと思って確認すると、気迫のこもった返事が。
「女の子だって判明したので、そろそろ計画を立てようかと!」
そ、そうなの?
まさか胎児の段階で中学受験の話が出るとは。さらに「大学は◯◯大学を目指してもらう」などと、将来のプランまでガチガチに固めています。
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もちろん、子どもの将来を考えるのは悪いことではありません。しかし、さすがに早すぎるのではないでしょうか?
「受験には早めの準備が大事」というけれど
SNSやネットには、「受験には早めの準備が大事!」という情報があふれています。しかし、Gさんが実際に受験を経験して感じたのは、「どれだけ先回りしても、子どもの適正は時間が経たないと分からない」ということでした。
Gさんが娘の中学受験を考え始めたのは小3の頃。そこから塾に入り、小4の夏頃になって、ようやく娘の学力の現状が見えてきました。
そこで初めて、「成績を上げるのって、こんなに難しいのか…」ということを知りました。受験の大変さをリアルに実感した瞬間でした。
確かに、早期教育にはメリットもあるでしょう。しかし、早く計画を立てるあまり、親の期待が膨らみすぎると、「思ってたのと違う!」と苦しくなってしまう可能性もあるかもしれません。
Gさんも受験を始めた当初は「偏差値至上主義」だった時期がありました。「もっと早く始めていたら、さらに上を目指せたのでは?」と思うことも。
しかし「それ、ほんとに娘のため?」と、自分に問い直すと、答えは「NO」でした。
受験はマラソン、ダッシュしすぎると息切れします
これまでの経験を振り返ってGさんは、中学受験は短距離走ではなく、マラソンのようだと感じています。親が息切れしてしまうと、子どもも途中で走れなくなってしまいます。
受験の準備で本当に大切なのは、早く勉強を始めることではなく、「子どもが自分で走れるようにサポートすること」ではないかと思っています。
焦らず、じっくり。子どもと一緒に成長していくことが、最も大切な「受験対策」かもしれない…と、Gさんは今になって思うのです。
この話をXさんやYさんにも伝えましたが、その時は納得した様子だったものの、数日後にはまた受験塾や偏差値の話題を振られます。
Gさん自身も数年前は受験のことで頭がいっぱいになり、子どもの将来に過剰な焦りを感じていました。「自分で経験してみないと、分からない」…そう思いながら、今日も中学受験の質問をしてくるXさんやYさんの話を聞いています。
(まいどなニュース特約・松波 穂乃圭)
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