※画像はイメージです 昨年10月31日のハロウィン当日、各地で盛り上がりを見せていたが、JR岡山駅前では仮面姿で暴走するバイクに蹴りを入れようとする若者が出現。
蹴りは当たらず未遂に終わったが、15年11月に広島で行われた『えびす講』の名で知られる胡子大祭では、歩行者天国に突っ込む暴走族の改造バイクに複数の若者が蹴りを入れて転倒。これらの映像は、今でもYouTubeで見ることができる。
いくら違法走行している相手でも転倒すれば大事故につながりかねない。絶対やってはいけない危険な行為だが、「一緒にいた友人が、同じようにバイクに蹴りを入れたことがあります」と話すのは、中古車販売店に勤める今堀治さん(仮名・31歳)。
その出来事が起きたのは、まだ20代前半だった2010年代半ば。もう10年経つが、今でも鮮明に覚えているという。
◆横断歩道を歩いていると、信号を無視した暴走族のバイクが
「当時、就職して一人暮らしをしていた地方都市に中学・高校時代の友人が遊びに来たんです。近所の居酒屋で飲んだその日の晩、私が住んでいるアパートに歩いて帰る途中のことです。ちょうど数台のバイクがこちらに来ました」
ちなみに市販車と変わらない見た目の車両もあれば、「三段シート」と呼ばれる後部座席が上に伸びて背もたれのようになっている車両も。しかも、マフラーを改造していたのか、通常のオートバイよりも大きな音が出ていたそうだ。
「たまにそういう連中が夜走っているのは知ってましたが、遭遇するのはこの時が初めて。特攻服は着てなかったですけど、たぶん暴走族だったんでしょうね。私の地元からはすでに消えていたので、直接見ることができてちょっと嬉しかったのを覚えています」
ただし、隣にいた今堀さんの友人はまったく違う反応を示す。「チッ、うるせーな」と呟くなど苛立ちを隠さなかった。
ちなみにバイクは交差点に差し掛かった時、赤だったが停止せずにそのまま通過。2人が渡り始めていた横断歩道に向かってきていたとか。ところが、ここで友人が思いもよらない行動に出る。ちょうど目の前を横切った際、そのうちの1台に蹴りを見舞ったのだ。
◆友人の一撃によりバイクは転倒。それを見て慌てて現場から逃亡
「バイクは自転車くらいの低速で侵入してきたのですが、友人は『オラァーッ』と声を上げたと思ったら、いちばん後ろを走っていたバイクのテール部分に足が当たっていました。
つま先が少し触れた程度っぽかったですが、それでもバランスを崩すには十分だったのでしょう。10メートルも進まないうちにバイクは倒れてしまいました」
その様子を見るや否や友人は「逃げるぞ!」と一言。そのまま近くの細い路地へと向かう。でも、気になって路地に入る際に振り向くと、倒れたバイクを運転していた少年はすでに立ち上がろうとしており、無事を確認。
ホッとひと安心したが激怒した彼らに追いかけられてもおかしくない状況だったため、そのまま現場から立ち去ることに。急いでそこから数百メートルの距離にある自宅アパートへ逃げ込んだ。
◆「無視するアイツらの方が悪い!」反省の色なし
「あんなに本気で走ったのは学生の時以来ですよ。友人は『ごめん、気づいたら足が出てた』て口では謝っていましたが、反省している様子はまったくなかったですね。
『こっちは青信号で横断歩道を通っているのに、それを無視するアイツらのほうが悪い!』って。だとしても普通の人間はあんな真似しませんよね。
けど、友人はカッとなりやすい性格なのを忘れていました。特にあの時はお酒も入っていたし、それも影響してたのでしょう。大人になって多少丸くなったかなと思ってましたが、全然変わっていませんでした」
◆蹴りを入れたのはやりすぎだが、バイクも自業自得?
このエピソードは飲み会の席などで2人が喋っていたため、仲間内では知っている者も多い。そのため、張本人である友人は今でも周りからイジられることが多く、すでに結婚して二児の父親となった彼は「あの時は俺も若かったから…」と照れ臭そうに話す。
「私も蹴りは入れていませんが、一緒に逃げたので共犯です。それに交通ルールを守らない連中に友人が鉄槌を下したのを見て、『いい気味だ』と思ったのは事実。さすが子供にこんな話はできませんけどね(笑)」
もちろん、いかなる事情があっても走行中のバイクに蹴りを入れるのは許されない。
交通ルールを守っていなかったとしても自分で直接対応するのではなく、その場合は速やかに110番に通報して警察に任せるようにしよう。
<TEXT/トシタカマサ>
【トシタカマサ】
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。