83歳・近藤正臣の“孤独”「俳優やめた。もう取材なんて無理」 妻が認知症→里山でワンオペ介護…妻を亡くした“その後”

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2025年03月19日 13:00  ORICON NEWS

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『妻亡きあとに近藤正臣郡上八幡ひとり暮らし』の模様(C)NHK
 NHK BSでは、あす20日に『妻亡きあとに近藤正臣郡上八幡ひとり暮らし』(前8:00)を届ける。

【番組カット】愛する妻を失って…83歳・近藤正臣の今に迫る

 青春ドラマ『柔道一直線』でブレイクし、大河ドラマ『龍馬伝』・連続テレビ小説『カーネーション』など数多くの作品で活躍した昭和・平成の名俳優・近藤正臣(83)。40代で訪れた岐阜・郡上八幡の自然に魅せられ、8年前に妻と移住。釣りをしながら穏やかな晩年を過ごすはずだった。

 その後、妻が認知症を発症。里山でひとり、ワンオペ介護に追われるなか、自身も腰の手術を受けるなど、過酷な日々を送る。そして一昨年、56年間連れ添った最愛の妻を亡くし、ひとり暮らしに。伴侶を失った高齢者は、その後の人生をどう生きるのか番組では、83歳の近藤が向き合う「老い」と「孤独」に長期間密着。深い喪失感を抱えながらも、郡上八幡の自然や地域の人とともに、自分らしい生き方を模索し始める一人の老齢男性の日々を見つめた。

■担当ディレクター:小久保美葉子
Q番組立ち上げのきっかけは?
近藤さんは釣りが大好きで、40年間通い続けた岐阜県郡上八幡を終の住処と決め、数年前に妻と2人で移住したのは知っていました。釣りをしながら山や川での生活を楽しみ、穏やかな晩年を過ごしているはず人生の終盤に自然の中で暮らすことを選んだ、そんな生活をカメラに収めたいとご連絡すると、お返事の声は思ってもみないものでした。

「ヒロさんが亡くなってしまった」「妻がいないのが不思議、今は困り果てた“ただの老人”です」と、力無い声。実はその1ヶ月前に、長年連れ添った妻の裕子さん(ヒロさん)が亡くなっていたのでした。近藤さんは食欲も無くなり、体重は6キロ落ちたといいます。「俳優もやめた。もう取材なんて無理。それでもいいなら遊びに来るなら来て」。とりあえず、私たちはカメラを持たずに、郡上八幡で近藤さんに会うことになりました。

パートナーを亡くした83歳の一人の男性が、“その後”をどう暮らし、どう生きていくのか――。その姿を見つめることで、いま、高齢でひとり暮らしをしている方々への様々なヒントがもらえるのではないか。そして、自分もそうなった時に、何を覚悟しておかなければならないのかも教えてもらえるのではないか…。近藤さんとお会いしてから1年後、取材が少しずつ始まりました。

Q近藤さんと長期間接してきて、感じたことは?
小学生時代から70年以上一緒に過ごしてきた奥さん(結婚生活は56年)との死別は、どれほどの悲しみ、絶望感なのだろうか…とても私達がはかり知ることはできませんが、それでも近藤さんは真摯にこちらの質問に答えてくださいました。そして、定期的に接していくうちに、近藤さんが少しずつ前を向き始めていることが感じられました。絶望していても、その状態を否定せず、できる範囲で一つひとつ丁寧に暮らす。そうすると、気持ちも徐々に現実を受け入れてくるようになるのではないか……そんなことを、近藤さんの日常を見つめながら感じました。

Q番組に、どんな思いを込めましたか?
「大切な存在」や「人生の目的」を失っても、人は生きていく覚悟をしなければならない時があります。そんなとき、周りを見ると、自然とか、動物とか、自分の元に寄り添ってくれるものはあって、流れのままに生きていく生き方もあるような気がします。そして、近藤さんは今ようやく、そんなふうに生き始めていると感じました。

おひとりで暮らしているご高齢の方、ご高齢の親と離れて暮らしている子ども(=中年世代)の方々、いま介護をしている方々、近い将来に近藤さんのような暮らしがやってきそうな50代〜60代の方々…。あまり光の当たらない、でも直視すべきテーマを、近藤さんの日常を通して知り、考えていただければと思います。いま、ひとり暮らしのご高齢の方は、全国津々浦々の地域社会にいらっしゃいます。そして、それぞれの当事者や関係する方々が、日々難しい問題に直面されていると思います。そんな方々に、静かに寄り添い、ひとりでも多くの人に、お届けできれば…と願っております。

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