青学の落研で出会った、ぐんぴぃという男。初対面なのに10分のエピソードトークを2本披露された話

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2025年03月19日 16:10  日刊SPA!

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―[振り返れば青学落研]―
YouTubeチャンネル登録者数180万人を突破した「バキ童チャンネル」。

唯一無二の企画とキャラクターを活かした動画が支持される一方で、中心メンバーのお笑いコンビ、春とヒコーキが出会った青山学院大学・落語研究会についてのエピソード動画も劣らない人気を集める。

今回、「青学落研の話」を、チャンネル出演者であり、青学落研出身者であり、春とヒコーキの学生時代からの友人でもある芸人・町田に振り返ってもらった。

◆ぐんぴぃとの出会い

僕はバキ童チャンネルにぐんぴぃの友人という形でたまに出演している、芸人の町田というものです。

今回、ぐんぴぃと土岡が大学時代に所属していた青山学院大学の落語研究会についての思い出を…ということで、僕が彼らと一緒に体験した青学落研時代をできるだけ振り返られればと思います。

やはりバキ童チャンネルといえばぐんぴぃ、僕がぐんぴぃと出会ったのは青山学院大学に入学した2010年の春。

2010年の出来事を調べてみると、3D映画アバターの大ヒット、せんとくんの登場、もしドラがベストセラーに、南アフリカワールドカップにおけるブブゼラなどがあった。とても懐かしい。

当時の青山学院大学はというと、入学してすぐ表参道の青山キャンパスに通うわけではなく、1、2年生の間は神奈川県の淵野辺駅にある相模原キャンパスに通わなければならなかった。(のどかで自然に溢れたとても素晴らしいキャンパスだが)

そんな中、僕が通っていた新設の学部は「他より1年早く2年生から表参道の青山キャンパスに通える」ということを売りにしていた。この事実を僕は特に重要視していなかったのだが、これが非常に重要な問題であった。

本来は2年もの間、相模原キャンパスに通わなければならないところを1年に短縮することができる。流行やファッションに敏感な人間たちがこの学部に集まってきてしまっていたのだ。

学部のクラスメイトたちは同年代とは思えぬほど洗練されていて、mixiで入学前にコミュニティを作るなどしていた。今となっては当たり前だが、当時はまだ一般的ではなかったスマートフォンを持っている人間も非常に多かったと思う。

それに対して僕が入学するにあたってしたこと、それは、周囲に少しでも面白いと思われたくて坊主にすること。

これが完全なる悪手であった。ファッションや流行に明るく、垢抜けた容姿のクラスメイトたちと比較して、特に運動もできず、何の情報も持たないダサい坊主頭は容易に浮いてしまった。

それに気後れしてしまい、女子と話しても散々なくらい盛り上がらない。何なら坊主が悪いとかでもなくて、普通に自信のなさが出すぎでとても会話にならない。

学部の女子といつかは仲良くなったりするのかなあ、なんてことを思ったりしたが結果的に4年間誰とも仲良くならなかった。

あの子可愛いなあ、あの子の笑い方素敵だなあ、なんて思ったりもしたが、彼女達が僕の大学生活の登場人物になることはなかった。

◆落研の部室でぐんぴぃと初の出会い

どうせモテる兆しもないので、何か打ち込めるものでも求めてサークルに入ろうと思い、今までに落語を見たり聴いたりはしたことはなかったけど、就活に有利そうだし、クドカンのタイガー&ドラゴンは好きだったので興味本位で落語研究会の部室を友人2人と3人で訪ねた。(坊主のダサいやつという軽いイジられ込みだが男の友だちは割りかしできた)

落研の部室には太っている男と、なんか変なイキり方した中学生みたいなやつが2人いた。

太っている方がぐんぴぃである。(当時はぐんぴぃと名乗っていない)今ほどは太っていなかったがそれでも充分に太っていた。当たり前にアイロンをかけてないシワシワの服を着こなし、寝癖そのままの無造作ヘアーで非常に臭そうであった。後にわかることではあるが臭そうではなく普通に臭かった。

もう1人は絶斗さんという方でそこまで見た目が変ということもなかったが、僕らが滞在した1時間ほどの間、1文字も言葉を発しなかった。後から喋らなかった理由を聞いたら、面白くないと思われたくなかったからだそうだ。辞めてしまえ。

こいつらは、ただものじゃない。直感でそう感じた。自分が女性だったら身の危険も感じたかもしれない。

2人は2年生だそうで、自己紹介ついでに落語研究会について軽く説明をしてくれた。ひとしきり説明を聞いたあと、僕の友人がぐんぴぃに、

「落研って面白いんですか?」

と質問を投げた。

「そうですねぇ面白いかわかんないけどこんな話がありまして…」

その時までは臭そうだけど丁寧で朗らかなおじさんのようだなあと思っていたが、友人の質問を受けたことでぐっとギアを上げて話しはじめた。

緩んだ空気に若干の緊張が走る。10分ほどの長尺の話を身振り手振りを交えながら情感を込めて話すぐんぴぃ。この人の話には本当に人を惹きつける魅力があるなあと今でも感じるがこの時から確実にそれは備わっていた。

◆ありえないサービス精神

ぐんぴぃが話したのは今となってはぐんぴぃの十八番エピソードである、地元でヤ●ザに軟禁された話。

面白かったです…。

「それと他には…」

弟とマリオカートごっこをしていたら車に轢かれた話も10分ほどする。

これも面白かったですわ…。

いや、待て待て待て。会ってすぐに長尺のエピソードトーク2本…??

僕は33年間生きてきて今まで会ってすぐ10分くらいの長尺エピソードトークされた事もないし、それを立て続けに2本??

ありえないサービス精神…。

部室を後にして、大学から駅までの帰り道、初対面なのに会ってすぐに長尺の面白エピソードトークを2つもされたこともあって友人2人はぐんぴぃのことを少しバカにしていた。

僕はたしかに変だよなあと思いつつもぐんぴぃのことをカッコいと思ってしまった。

◆青学という雰囲気の中で…

大学に入って出会った周囲の人はとにかくちゃんとしようとしているように感じた。周りに変なやつだと思われないように、どこかで受け答えを間違えたりしてダサいやつにならないように。

そんななかで出会ったぐんぴぃには衝撃を受けた。

普通の大学生が進む道とは真逆の道を爆走していた。なんなら今だってそうかもしれない。会ったばかりの部室で急に長くて面白い話をしてくれたときのまま。そっちに進んだって何もないだろうと思っていたけど違った。すごいねこりゃ。

落研の部室を一緒に訪ねた時の友人2人は軽音楽サークルに入ってその後はいかにもな大学生活を謳歌していた。男女で鍋したり、旅行したり…。僕は落研に入ったのでそういったこととは無縁の日々を4年間送ることとなる。

ともすると僕は大学生活における選択を間違えてしまったのかもしれない。

でも今のぐんぴぃの活躍を見れば、あの時、太ったよく喋る男のことをカッコいいと思ったことは間違ってなかった。

―[振り返れば青学落研]―

【町田】
ぐんぴぃの友人。芸人としての活動もしている。@saisaisai4126

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