冬ドラマのベテラン名演ベスト3。可愛すぎる54歳女優も最高だけど、強烈な62歳“トレンディ俳優”に釘づけ!

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2025年03月19日 16:20  女子SPA!

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女子SPA!

画像:PR TIMESより
冬クールのドラマがいよいよ佳境に入っています。多種多様な作品が出そろった今クールで、超ベテラン俳優の演技が光っていたドラマも。毎クール全部のドラマチェックを欠かさないアラフォー筆者が、特に印象的だった3人を紹介します。

◆小林聡美『法廷のドラゴン』

柔らかい雰囲気なのに個性的。そんな空気を纏う小林聡美(59)は、『法廷のドラゴン』(テレビ東京系)に欠かせない存在でした。

女性初のプロ棋士誕生を期待されながらも弁護士に転向した主人公・天童竜美(上白石萌音)と、父親の事務所を受け継いだ弁護士・歩田虎太郎(高杉真宙)を中心に繰り広げられる痛快リーガルドラマだった本作。小林は、虎太郎の父の時代から「歩田法律事務所」を支え、竜美と虎太郎のバディを近くで見守るパラリーガル兼経理・乾利江を演じました。

◆心地よいテンポを生み出す達人

将棋オタクの主人公・上白石と、少し頼りない高杉のキャラクターが愛らしい作品でしたが、役の通りふたりに必要不可欠だったのが小林の存在。会話劇を得意とする小林らしい演技が、作品に小気味よいテンポをもたらしています。若手にはない安定感で、コミカルにもシリアスにも空気を自在に操っていました。常に事件を将棋に例える異色の展開であっても視聴者が迷子にならなかったのは、小林の功績が大きいといえるでしょうか。

電話を取る際「歩田法律事務所です」と名乗る前に、毎回違う枕詞をつけていたのも印象的。「今ならなんでも引き受ける」「文句があるならかかってこいの」「歩のない将棋は負け将棋の」など、一言で事務所の状況を表す秀逸さが小林のキャラにフィット。衣裳がさりげなくお洒落でありながら老眼鏡や肩こり解消グッズなどを駆使するなど細やかな演技も光り、魅力的でした。改めて「小林聡美さん、やっぱり素敵」と感じる作品です。

◆永作博美『バニラな毎日』

夜ドラ『バニラな毎日』(NHK総合/原作:賀十つばさ氏による同名小説)に出演していた永作博美(54)の“お節介おばさん”も素敵でした。夢だったこだわりの洋菓子店を開くも、経営に行き詰まり店を閉じたパティシエ・白井葵(蓮佛美沙子)。彼女の前に突如現れたクセの強い料理研究家・佐渡谷真奈美を永作は演じました。

◆図々しさと繊細さのバランスが絶妙

白井を巻き込み“心に傷を抱えるカウンセリング患者のための”お菓子教室を始める佐渡谷は、図々しくて、人との距離をぐいぐい縮める大阪のおばちゃんです。朝ドラ『舞いあがれ!』でもヒロインの母親役で大阪のおばちゃんを演じていましたが、それとはまたひと味違います。図々しいだけではない、押しつけのお節介でもない、その裏にある心の機微が繊細に表現されていました。そこに永作らしい愛らしさと上品さも相まって、唯一無二のキャラクターを創り上げています。

「白井のために」「心に傷を抱えた生徒のために」と奮闘する佐渡谷ですが、彼女自身も傷を抱えている。一見、明るく陽気に生きてきた風に見える佐渡谷にも、過去があって、葛藤があって、人間らしい奥深さが表現されていました。なかでもその笑顔ひとつで、喜びだけでなく哀しみや労わり……さまざまな感情を、視聴者に届けた演技はお見事! 永作の多彩な笑顔があったからこそ、優しくて、心に沁みる、そして前向きになれる作品になったのではないでしょうか。

◆三上博史『東京サラダボウル』

そして最も強烈なインパクトを残したのは、なんといっても三上博史(62)。

地上波の連続ドラマは約6年ぶり!『東京サラダボウル』(NHK総合、原作:黒丸氏による同名漫画)に出演しました。ミドリ髪の警察官・鴻田麻里(奈緒)×中国語通訳人・有木野了(松田龍平)が、在日外国人居住者に向き合う社会派エンターテインメントである本作。三上は、現在と4年前の過去を繋ぐ、“真相”を握る刑事・阿川博也を演じました。

◆圧倒的な存在感と深い葛藤表現

阿川は、中国語を駆使する優秀なベテラン刑事でありながら、外国人聴取で意図的な誤訳を行ったことで干されていたという設定で、物語のはじめからその存在は匂わされていました。まず第6話のラストにお目見えしたときの存在感よ!「三上博史きたー!」とテレビの前で歓喜したのは、きっと筆者だけではないはず。

第7話から鴻田の相棒となった阿川。悪人なのか善人なのか、ベテランの風格は間違いないが飄々(ひょうひょう)としていてどこか掴めない。そんな独特の空気を醸し出す三上から、まったく目が離せなくなりました。

事件にどんな関わり方をしていたのかが最終回まで分からなかったのは、三上の表現が秀逸だったからこそ。そして最終回の三上には、とことん魅せられました。犯した過ちに葛藤し、苦悩していたこと。そこから逃げようとした心の弱さまでをもさらけ出しました。もともと存在感のある役者さんですが、年齢を重ねたからこそできる役柄で、もっと私たちを楽しませてほしいと改めて思いました。

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ドラマ作品には欠かせないベテラン俳優の存在。それをより強く感じさせられた冬クールでした。

<文/鈴木まこと>

【鈴木まこと】
日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間でドラマ・映画を各100本以上鑑賞するアラフォーエンタメライター。雑誌・広告制作会社を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとしても活動。X:@makoto12130201

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