
夢と魔法の世界を描き続けてきたウォルト・ディズニー・スタジオの原点にして真の“ディズニー・クラシック”として今なお愛されている長編アニメーション「白雪姫」(1937年)が、新たなミュージカル映画として実写化。3月20日から全国公開されます。日本語のプレミアム吹替版で白雪姫を演じた俳優の吉柳咲良さん、7人のこびとの「おこりんぼ」を演じたお笑い芸人の津田篤宏さん(ダイアン)にインタビューしました。
【吉柳咲良】2004年4月22日、栃木県出身。2017年にミュージカル「ピーター・パン」の主役に抜擢される。ドラマや映画、アニメの声優など幅広く活躍。現在放映中のTBS系ドラマ「御上先生」に出演中。
【津田篤宏】1976年5月27日、滋賀県出身。NSC大阪校22期生。中学校の同級生だったユースケと「ダイアン」を結成。2018年に東京進出し、色々あった結果、全国的な人気を博す。
憧れのディズニー映画「いつかやってみたい」「まさか自分が」
ディズニー映画に携わることは、2人にとって夢であり憧れだったそうです。
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吉柳「事務所の先輩である高畑充希さんが実写映画『シンデレラ』(2015年)の吹替をしていたこともあって、自分もいつかやってみたいと思っていましたし、中でも王道のプリンセスには強い憧れを抱いていました。オーディションの機会をいただけること自体が貴重なので、絶対に勝ち取りたかった。決まってホッとしました」
津田「全く同じ意見ですね…。ディズニー映画なんて、僕のような芸人にとっては遠い存在ですから、素直に嬉しいですよ。家族もディズニー映画がめっちゃ好きで、特に嫁と娘は走り回って喜んでいましたね。車で遠出する時は、いつも後ろでディズニー映画が流れていましたから、それに加わることができたなんて、本当に光栄なことだと感じています」
白雪姫は「原点にして頂点」
2人は「白雪姫」にそれぞれどんなイメージを持っていたのでしょうか。
吉柳「優しさと思慮深さにあふれるやわらかいプリンセスという印象ですが、一方で7人のこびとに対してはちょっとお姉さんぽくもある。実は芯があって凛とした女性なのだと思います。今回の映画の白雪姫にも、優しさの中にある強さ、悩みながらも先に進もうとする葛藤…、そんなより人間らしい魅力が詰まっています。彼女の優しさが最終的には平和、美しさへとつながっていく。人の尊さを教えてくれる作品です」
津田「ディズニーの中でも古典に近いですよね。原点にして頂点というか。話はわかりやすいといえばわかりやすいですが、実はそんなに単純でもなくて、結構深いところがある作品だと思います。演じてみてあらためて面白さを感じました」
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実際どうなのか?津田の「おこりんぼ」役
気になる津田さんのおこりんぼ役についてはどうでしょう。
吉柳「7人のこびとは実写版の方がより個性が強く、キャラ立ちしているので楽しみにしていてください。津田さんのおこりんぼも、めちゃくちゃ似合ってます。ベテランの声優さんたちの中に交じっていても、言われなかったら気づかないくらい」
津田「オリジナルのおこりんぼの声に寄せたんですよ。声帯をちょっと酷使しまして。実はオーディションの2日ほど前に番組収録で大声を出し続けて声がトんでしまったんです。いつもと違うガッサガサの声でオーディションに行ったら、逆にそれがめっちゃいいと言われて。だから本番の前の日には枕に向かってできるだけ大きな声で叫んで、喉を酷使してから臨むようにしました」
一番好きなこびとは、やっぱり…?
津田「そら、おこりんぼですよ。それ以外は認めてないです(笑)。彼がこびとのリーダーやと思ってますし、実際に演じたらもっと好きになりました。でも『ねぼすけ』もかわいいよね。僕はこう見えてプロ意識が高いので、寝坊とか絶対できへんタイプなんですよ。だから彼の生き様にはちょっと憧れるな。おっさんになったら、何時に寝ても朝の7時半には目が覚めちゃう。(吉柳さんに向かって)寝るのにも体力が必要なんやで」
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「歌唱力が半端ない」レイチェル・ゼグラーとの出会い
吉柳さんにとって、来日した白雪姫役のレイチェル・ゼグラーさんとの出会いは大きな刺激になったそうです。
吉柳「歌唱力が本当に半端じゃないんですよ。彼女が隣で歌い始めた時に『絶対おかしい!』『ああ、これが本物なんだ!』と一気に鳥肌が立ちました。声質なのか、声の奥行きなのか、とにかく何もかもが全然違う。吹替が決まってから、ゼグラーさんの歌をずっと聴いていたので、一緒に歌うことができて夢のようでした」
吉柳「そんな感じだから、ゼグラーさんの歌い出しに私が『うわ、ヤバイ』という表情をした瞬間がスタッフ撮影の動画にしっかり残っています。でも私が歌い出した瞬間、実はゼグラーさんも同じような反応をしてくれたんです。すごく褒めてくれて、『あなたに会えて嬉しい』とまで言ってくださって。その時の動画が本国のスタッフさんの間で評判になって出回っているらしいんですが(笑)。吹替の私が言うのも変ですけど、皆さんにはできれば字幕でも見てほしい。彼女の歌声を聴かないなんてもったいないです!」
映画の中では津田さんも歌っているそうです。
津田「僕が歌った時も本国の人がウワーッてなったとかならんかったとか。…まあ誰も聴いてなかったと思いますけど(笑)。それはいいとして、吉柳さんの歌、僕も初めて生で聴いた時はほんまにビックリしましたよ。こんな上手い人がいるんやと思って。人間やなくてマシンちゃうかと思ったくらい。本当に綺麗な声。(吉柳さんに向かって)ありがとう」
2人の原点…「ダウンタウン」「ピーター・パン」
先ほど津田さんが「白雪姫」を「原点にして頂点」と表現しましたが、2人にとって芸能活動の「原点」とは。
津田「やっぱり僕が芸人を志すきっかけになったダウンタウン。ダウンタウンが原点であり頂点ですね。そこを目指して、結局はこんな芸風に落ち着いてますけど。ええんですよ。これが人生、これぞ人生です」
吉柳「私はミュージカル『ピーター・パン』です。デビューした13歳から18歳までピーター・パンを演じました。その間、映画やドラマにも出させていただきましたけど、最終的に戻ってくる場所はそこでした。なぜ原点かというと、1年目のウェンディ役が神田沙也加さんで、彼女と出会っていなければ私はミュージカルを好きになれていなかったと思うからです。現場では1年目からしごかれて、どうしようもなく嫌になっちゃって、稽古を中断するくらい泣いたこともあるんですが、沙也加さんはずっと横にいて励ましてくださいました。その時に支えていただいた思い出が今でも私の根底にあります。私の主軸はミュージカル。とにかく歌が好きだしこれからもやっていきたい。何年も続けてきたからこそ、今回の『白雪姫』につながったと思います」
津田「僕もそんな経験したかったな。13歳?ゲームボーイ持って走り回ってたわ」
吉柳「ゲームボーイって何ですか?」
津田「嘘でしょ!!!携帯ゲームの原点、言うたら白雪姫よ。僕もゲームボーイ持って走り回っていたからこそ今があるんかな」
吉柳さんはご自身の主戦場をミュージカルだと言いました。津田さんは?
津田「映画です。嘘です舞台です。生の舞台で笑ってもらえたら、また明日からも頑張ろうと思える。笑わせているつもりが、実は僕らの方が栄養をもらっているんです。感謝ですね」
「ハイ・ホー」で泣く
最後に、「白雪姫」の推しポイントを。
津田「吉柳さんの歌声。これは本当に幸せな気分になれると思いますよ。僕の中で頂点です」
吉柳「私は『ハイ・ホー』!感動して泣いちゃいました。アニメの世界からそのまま飛び出してきたような、ディズニーランドでショーを見ているような、そんな気持ちになりました。見たかったものが見られたことに昂ってしまって。まさか『ハイ・ホー』に泣かされるとは思いませんでした。『ハイ・ホー』ヤバいです(笑)」
「白雪姫」は3月20日から全国公開。
(まいどなニュース・黒川 裕生)