なぜ警察署の番号から詐欺の電話が掛かってくるのか ネット電話サービス悪用の可能性、スプーフィング対策方法は?

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2025年03月19日 20:21  ITmedia Mobile

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 実在する警察署の電話番号から着信があり、出てみると「あなたが捜査対象になっている」と言われた──そんな不審な電話が3月から急増しているとして、警察庁が公式Xなどで注意を呼びかけています。


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 NHKなどの報道によると、実在する警察署の電話番号から不審な電話が掛かってくる事例が初めて確認されたのは2025年2月で、特に3月10日からの3日間で全国から同様の相談が400件以上寄せられているといいます。今後もこうした事例が増える可能性があり、不審な電話には一層の注意が必要です。


 とはいえ、こうした詐欺被害に遭わないために「相手の電話番号やWebサイトのURLをよく確認する」と、以前はよく言われていたものですが、スマホの着信画面に表示される電話番号が本物だとしたら、その場で見分けはつきません。


 そもそもなぜ悪意を持った人が、実在する警察署の電話番号から電話を掛けられるのでしょうか。


●なぜ警察署の電話番号から発信できるのか


 現時点で今回の事件の手口が確定しているわけではありませんが、考えられる可能性の1つが、インターネットを介して音声通話を行う「VoIP(Voice over IP)」技術を使ったネット電話サービスの機能を悪用する「電話/発信者番号スプーフィング」(Caller ID spoofing)です。


 VoIPを使うネット電話サービスは、サービスを提供する事業者によっては発信者の電話番号をユーザーが任意に変更できる機能を提供している場合があります。


 本来であれば、多数の内線番号を持つコールセンターのような環境で、多数の顧客に1つの代表電話番号を表示させるといった正しい用途に使われる技術ですが、こうした機能を悪用して警察署などの電話番号を設定している可能性が考えられます。機能としてもともと用意されているものなので、悪用するハードルは非常に低いと言えます。


 スプーフィングとは、サイバーセキュリティ用語で「信頼できる存在になりすまして行う詐欺行為」を意味しています。今回のケースでは、警察署の電話番号を使って、あたかも本物の警察から電話が掛かってきたように見せかけることで、「信用を得てから不安を煽り、詐欺に誘導する」という、まさに電話/発信者番号スプーフィングそのものです。


●対策は?


 発信者番号が偽装されてしまうと、着信画面で見分けることは非常に難しいでしょう。こうした状況から「電話の相手が実在する電話番号だから、相手も本物だ」という常識は、もはや過去のものであるという事実を理解することが重要です。


 悪意を持った人物は警察や金融機関などになりすまして被害者から金銭を要求したり、個人情報を引き出そうとします。今回の事件でも、LINEやSNSなどに誘導して金銭を振り込ませようとするやりとりをしたり、ビデオ通話で警察手帳や逮捕状を見せたりといった手口があったと報じられていますが、常識的に考えれば、あり得ないことです。


 もし、こういった内容の電話が掛かってきたら、落ち着いて内容を確認し、「折り返して確認する」あるいは警察の相談ダイヤル「#9110」に相談するといった工程を挟むことが適切です。


 年々、詐欺の手口が非常に巧妙化しており、一般人では対策が難しい局面にあります。特に発信者番号の偽装は電話を受けた人を驚かせて判断能力を低下させる悪質なものです。


 周りに高齢者や電話に慣れていない人がいれば、あなたの言葉でこうした対策を伝えてあげることも重要です。



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